スズメバチの中でも、オオスズメバチ・キイロスズメバチなどはとくに危険です。巣を放置すればするほど危険性が増すため、早急な駆除が求められます。
本記事では、スズメバチの巣を放置することの危険性と駆除方法の選択肢を詳しく解説します。自分で駆除できる場合もありますが、スズメバチの駆除は基本的にはプロに任せるのが安心です。その理由とともに、詳しく見ていきましょう。
なお、スズメバチ1匹が飛来して困っている場合の対処法は次の記事を参考にしてください。
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スズメバチの巣は放置するほど大きくなる
スズメバチの巣を放置することは、他の蜂の巣を放置するよりもハイリスクです。その理由を2つ解説します。
60cmを超えることもある
スズメバチの巣の初期は、冬眠から目覚めた女王蜂だけで営巣されているため、小さなものです。しかし、6月下旬以降で働き蜂が羽化すると、巣は急激に肥大化しはじめます。
巣の大きさがピークを迎えるのは10月です。屋根裏などの外敵が少ない環境で、駆除されることなく放置された場合、巣の直径が60cmを超えることもあります。
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働き蜂の数が1,000を超えることもある
危険なスズメバチのピーク時の数は次のとおりです。
スズメバチの種類 | ピーク時の数 |
オオスズメバチ | 100~500匹 |
キイロスズメバチ | 700~1,000匹 |
チャイロスズメバチ | 300匹ほど |
ツマアカスズメバチ | 2,000匹以上 |
モンスズメバチ | 50~300匹 |
最盛期はこれだけの蜂が巣にいる可能性があるため、集団攻撃されると重症化するリスクが高いといえます。巣を放置する危険性をイメージしやすいのではないでしょうか。
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スズメバチの巣を見つけたときの最初の対応
スズメバチの巣を見つけたときは、まず次の2つの行動をとりましょう。
- 静かにゆっくり退避
- 遠くからスマートフォンのカメラで探る
その理由を解説します。
静かにゆっくり退避
スズメバチは巣の近くでは防衛本能によって攻撃性が高まっているため、素早い退避が重要です。ただし、大声を出したり激しい動きをしたりすると外敵とみなされやすいため、追跡されるリスクがあります。
とくに、スズメバチが顎をカチカチと鳴らす警告音を発しているときは巣が近い証拠です。まずは姿勢を低くして後ずさりし、ある程度距離がとれてからも静かにゆっくり離れましょう。
遠くからスマートフォンのカメラで探る
巣の規模や蜂の行動を観察したい場合は、距離をとった上で、スマートフォンのカメラを向けてください。ズーム機能を使えば、安全を確保しながら状況を把握できます。防護服を着用しない限り、巣に近づいてはいけません。
スズメバチの巣の駆除はプロに任せるのが無難
スズメバチは危険性が高いため、駆除はプロに任せるのが無難です。危険性が高い理由を解説します。
スズメバチの毒性は強い
スズメバチの中でも、オオスズメバチやキイロスズメバチなどのスズメバチ属の蜂は強い毒性をもっている傾向にあります。痛みが強く大きく腫れるほか、アナフィラキシーショックを引き起こす危険性も高いため要注意です。
とくにオオスズメバチはマンダラトキシンという独自の神経毒を持っており、刺されるだけでも、めまいや呼吸困難に陥ることがあります。
スズメバチは集団攻撃をしかけてくる
巣を駆除しようとすると、巣の中にいる数百匹以上の蜂が一斉に攻撃をしかけてくるリスクがあります。単体の毒が弱い種類であっても、多数のスズメバチに刺されれば短時間で重症化するリスクがあるためハイリスクです。
また、集団で襲われると焦ってしまうため、転倒や落下などによるケガのリスクもあります。
スズメバチの追跡距離は長い
危険性の高いスズメバチ属は追跡距離が長い傾向にあり、遭遇した場所から30m以上追いかけてくることがあります。ツマアカスズメバチにいたっては、追跡距離が40mです。
一度襲われると逃げ切ることが難しいため、防護服着用と迅速な駆除が必須といえます。巣が大きい場合、プロ以外が駆除するのは困難です。
スズメバチ駆除の費用相場
蜂の種類 | 基本料金 | 相場 | 平均価格 |
スズメバチ | 10,000~15,000円 | 10,000~40,000円 | 16,288円 |
蜂駆除の料金は基本料金と追加料金で構成されています。基本料金は蜂の種類ごとに設定されていることが多く、スズメバチの場合は10,000~15,000円が相場です。その基本料金に、次のような項目の条件に応じた追加料金が加算されます。
- 蜂の巣の大きさ
- 蜂の巣の数
- 出張費
- 高所作業
- 狭所作業
スズメバチ以外の蜂も含めた駆除の費用相場は、次の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
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スズメバチの巣を自分で駆除できるケース
スズメバチの巣を自分で駆除するのは、上記の理由からおすすめはできません。しかし、次にあげる3つの条件をすべてクリアしている場合は、自分でも駆除できる可能性はあります。
- 蜂の巣の初期段階
- 必要なアイテムを揃えられる場合
- 夜間に作業できる場合
蜂の巣の初期段階
4~6月上旬の、10cm以下の巣であれば初期段階なので、働き蜂が羽化していない可能性があります。成虫が女王蜂しかいない状況であれば、比較的安全に駆除できるでしょう。
ただし、10cm以下の巣でも働き蜂がいないとは言い切れません。駆除に向かう前に巣を観察し、働き蜂の出入りがないことを確認しましょう。
必要なアイテムを揃えられる場合
スズメバチの巣を駆除するためには、2本の蜂用殺虫スプレーと防護服が必須です。蜂用ではない殺虫スプレーは、かえって刺激してしまい危険なのでやめましょう。
防護服は購入するとなると高額ですが、自治体で貸し出しているケースがあります。あるいは、防護服相当の重装備でも代用可能です。これらの準備ができるのであれば、自分で駆除できる可能性が高まります。アイテムの詳細は次の記事をご覧ください。
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夜間に作業できる場合
スズメバチは基本的には夜に活動が低下するため、安全に駆除できる可能性が高まります。時間は日没後2~3時間が経過したときが目安です。
自分でも駆除できる可能性がある6月上旬の場合、日没の時間は概ね19時頃なので、21~22時以降が目安となります。活動が再開される日の出前には駆除を終えましょう。
ただし、モンスズメバチは夜行性で、24時以降も活動している場合があります。モンスズメバチの可能性があるときは、必ずプロに任せましょう。
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無料で駆除してくれる自治体もある
スズメバチの巣は放置すると隣人まで刺されるリスクがあり、危険性が高いため、一部の自治体では無料の駆除サービスを提供しています。具体例を見てみましょう。
都市名 | 補助金・サービスの内容 | 条件・特徴 | 備考 |
寝屋川市(大阪府) | スズメバチの巣の駆除費用を全額負担 | 令和6年度から開始、スズメバチ限定 | アシナガバチやミツバチは対象外。 |
品川区(東京都) | 品川区が業者に委託して蜂の巣を駆除する | 所有者・管理者の同意と立会い | スズメバチ以外の蜂も対象 |
※2025年4月現在
無料で駆除してくれる自治体は限られますが、補助金制度や防護服の無料貸し出しサービスを展開している自治体もあります。各自治体のホームページや問い合わせ窓口で確認してみましょう。
スズメバチの巣の駆除はプロに任せるのが安心!
スズメバチは危険性が高い種類の蜂が多く、6月下旬以降は巣の規模が大きくなるためプロ以外が駆除するのはハイリスクです。自分で駆除できる3つの条件に合致しない場合は、蜂駆除業者や役所に相談しましょう。