「蜂の巣を食べる」と聞くと驚く人も多いかもしれません。しかし、実は一部の蜂の巣は食用として親しまれています。
中でも「巣蜜」と呼ばれるミツバチの巣は、濃厚な甘さと栄養価の高さで注目されている食材です。
本記事では、蜂の巣の味や含まれる栄養素、食べられる種類と食べ方まで、知られざる魅力を詳しく解説します。
食べられるのはミツバチの巣のみ
蜂の巣は食用になるといったものの、実際に食べられるのはミツバチの巣のみです。「巣蜜」と呼ばれる、ミツバチが蜜を貯蔵した巣をカットしたものが食用とされています。
一般的なはちみつと異なり、巣蜜は蜜と巣の両方を味わえるのが特徴です。巣の部分には蜜蝋が含まれており、ほんのりガムのような食感があります。
蜜蝋には栄養素も豊富に含まれているため、ゆっくり噛みしめながら味わうのがおすすめです。
食べられない蜂の巣
蜂の巣は住宅街や公園など、さまざまなところで見られますが、食用にできるのはミツバチの巣だけです。例えば、次のような巣は食用には適していないので注意しましょう。
スズメバチの巣 | 木や泥、紙のような素材で作られていることが多いため、食用には適さない |
アシナガバチの巣 | 樹皮や木材からできているため、食用にはならない |
その他の蜂の巣 | 泥で作られるドロバチの巣や、地面・木の中に穴を掘って作られるアナバチなどの巣も食べられない |
蜂の巣(巣蜜)の味
蜂の巣(巣蜜)は濃厚な甘みと深いコクがあり、ザクッとした食感の後にトロッと蜜が広がる、独特でクセになる味わいが特徴です。
一般的には非常に甘く濃厚で、花の種類によって香りや風味が変化します。
ミツロウ自体は無味ですが、噛み続けるとガムのような感覚があり、自然由来のデザートとして人気があります。
蜂の巣に含まれる栄養と体への効果
蜂の巣には、はちみつや蜜蝋、プロポリスなど、身体に役立つ栄養が自然由来の成分が詰まっています。
ここでは、蜂の巣に含まれる主な栄養素や、期待される効果について詳しく解説します。
ビタミン
蜂の巣にはB群やCなど複数のビタミンが含まれており、日々の生活を支える潤滑油のような役割を果たします。
B1やB2は糖質や脂質の代謝に関与し、栄養のエネルギー変換をスムーズに促します。ビタミンCには抗酸化作用があり、肌や粘膜を健やかに保つことが期待できる栄養素です。
さらに、ナイアシンやパントテン酸といった補酵素的なビタミンも含まれており、ホルモンバランスや神経機能を整えるとされています。
ミネラル
蜂の巣に蓄えられている成分には、カリウムや鉄、マグネシウムやカルシウムといったミネラルも含まれます。とくにカリウムは余分な水分の排出を助け、むくみや高血圧の予防が期待できるでしょう。
マグネシウムや鉄はエネルギー生成や血液の形成に関係しており、不足しがちな栄養素を補う手段としても役立ちます。
アミノ酸
プロリンなどのアミノ酸も、蜂の巣を構成する蜜蝋やローヤルゼリーに多く含まれています。
プロリンは体内でコラーゲンの合成を助けるとされており、肌の弾力や関節の柔軟性をサポートしてくれます。
必須アミノ酸も含まれており、バランスよく身体を支えてくれる素材です。
ポリフェノール
ポリフェノール類は、蜂の巣を守る働きのあるプロポリスに豊富に含まれています。
強力な抗酸化力を持ち、細胞の酸化ダメージを抑えることで、老化の進行をゆるやかにする効果が期待されます。
また、血流を改善したり、体内の炎症反応を穏やかにしたりする働きも期待できるため、美容や健康の維持において心強い成分といえるでしょう。
糖類
蜂の巣の中に蓄えられたはちみつには、ブドウ糖と果糖が主体となって含まれています。
消化吸収が早く、エネルギーに変わるスピードが速いのが特徴です。そのため、疲れたときの回復や運動後の補給に適しており、効率的に体力をサポートします。
オリゴ糖
巣蜜に含まれるオリゴ糖は、腸内で善玉菌の栄養源として働く成分です。とくにビフィズス菌や乳酸菌の増殖を助けるため、腸内環境を整える効果が期待できます。
便通の改善に寄与し、体内の老廃物をスムーズに排出しやすくなる点でも注目されています。
腸内フローラのバランスを維持することは、免疫機能や肌の健康にもつながるとされ、日々の食生活に取り入れることで、内側からの体調管理をサポートしてくれるでしょう。
プロポリス
ミツバチが植物の樹脂や新芽から採取し、巣を衛生的に保つために利用するプロポリスには、強力な抗酸化作用や抗菌性が認められています。体内に取り入れることで免疫の活性化や炎症の抑制に役立つとされており、アレルギーや風邪予防への応用も進んでいます。
さらに、生活習慣病の対策としても注目されており、血糖値の安定や抗ウイルス効果など、多方面での健康維持が期待される成分です。
ローヤルゼリー
ローヤルゼリーは、女王蜂だけが一生食べ続ける特別な栄養源です。ビタミンB群やミネラル、アミノ酸が豊富に含まれています。とくに注目されるのが「デセン酸」や「類パロチン」といった希少成分で、新陳代謝の促進やホルモンバランスの調整を助けるとされています。
蜂の巣を美味しく食べる方法
巣ごと楽しめる蜂蜜は、工夫次第で驚くほど美味しく味わえます。食感や風味を活かす食べ方を知っておくことで、日々の食卓がより豊かになるでしょう。
ここでは、蜂の巣のおすすめの食べ方を紹介します。
ヨーグルト
冷たいヨーグルトに巣蜜をのせると、甘みと酸味のバランスが絶妙なハーモニーを生み出します。
舌の上でとろける蜂蜜と残る蜜蝋の歯ごたえのコントラストも楽しく、食べ応えのある朝食やおやつになるでしょう。
とくに無糖ヨーグルトとの相性がよく、自然な甘さを引き立てながら栄養面でも優れた一品に仕上がります。
トースト
焼きたてのトーストに巣蜜をのせると、パンの温かさで巣の部分がほどよく柔らかくなります。甘さと香ばしさが口の中で一体となり、シンプルながら満足感のある味わいを楽しめます。
トーストの香ばしさが蜜蝋の独特な舌触りを和らげるので、初めて巣蜜を口にする人にもおすすめです。バターやクリームチーズと組み合わせると、味に深みが出て一層美味しくなります。
クラッカー
薄く焼き上げたクラッカーの上に巣蜜をのせれば、パリッとした食感としっとりした甘みが交差する贅沢な味が広がります。
軽い前菜やワインのおともとしても相性が良く、隙間時間などに手軽につまめる点も魅力です。
ナッツやブルーチーズなどを添えれば、味の奥行きがさらに増して食卓に華やかさを加えられます。
ナッツ
ローストしたナッツと巣蜜を合わせると、香ばしさと自然な甘さが調和し、シンプルながら満足感のあるスナックに変わります。
ナッツの油分が蜜蝋の風味をやさしく包み込み、口の中でまとまりやすくなります。
食べる際にナッツの種類を変えるだけで印象がガラリと変わるため、飽きずに楽しめるでしょう。小腹が空いたときや、甘いものが欲しいときにもぴったりです。
チーズ
塩気のあるチーズに巣蜜を組み合わせると、甘じょっぱい味わいがクセになるおやつが完成します。
とくに、クセのあるチーズとの相性は抜群です。チーズのうま味が蜂蜜の香りと調和し、ワインのお供としても喜ばれる組み合わせになります。
柔らかめの白カビチーズから、熟成感のあるセミハードチーズまで、巣蜜の濃厚さがそれぞれの個性を引き立ててくれるでしょう。
駆除した蜂の巣は食べられる?
蜂の巣は、駆除後の処理方法によって食用に適するかどうかが変わります。使用した駆除手段や、保存状態を見極めることが重要です。
食べても問題ない燻煙で駆除すれば可
燻煙によって駆除された蜂の巣は有害な薬剤を使っていないため、衛生管理ができていれば食用として問題ありません。
ただし、高温多湿の環境下では菌が繁殖しやすくなるため、駆除後はできるだけ早く冷蔵・冷凍などで清潔に保存しましょう。
蜂用殺虫スプレーで駆除した場合は不可
市販されている蜂専用スプレーを使って駆除した巣には、殺虫成分が内部に残留しているリスクがあります。
人体への悪影響が懸念される成分が含まれているため、たとえ見た目に異常がなくても口にしないようにしましょう。
カビが生えていたら食べられない
湿気の多い場所で放置されていた巣や、保存方法に不備があった巣には、カビが繁殖してしまうことがあります。カビには人体に有害な毒素を発する種類もあります。
口に入れると健康被害につながるおそれがあるため、廃棄を選ぶのが賢明です。
蜂の巣は味・栄養・食べ方まで魅力満載の自然食品
蜂の巣の中でも、食べられる蜂の巣はミツバチが作る巣蜜のみです。ビタミンやミネラル、アミノ酸など豊富な栄養素が含まれており、美容や健康面でも多くの効果が期待されています。
トーストやチーズなどと組み合わせることで、日常の食卓にも取り入れやすくなります。蜂の恵みをまるごと味わえる巣蜜は、栄養と美味しさを兼ね備えた一品です。