コーヒーの匂いには防虫作用があるとされているため、蜂よけにも使えるという説があります。しかし、結論としては「蜂よけにはならない可能性が高い」といえます。むしろ、寄せ付けてしまう可能性すらあるため注意が必要です。
本記事では、コーヒーの匂いが蜂よけにならない理由を、蜂の種類による違いや
結論:コーヒーの匂いは蜂よけにならない可能性が高い
コーヒーの匂いは蜂には効かない可能性が高いといえます。その理由を解説します。
ミツバチはコーヒーの匂いを好む可能性
ミツバチはコーヒーの木の花などの、カフェイン入りの蜜を採取したときに、リピートする可能性が高いことが論文によって示されています。カフェインがミツバチにとってなんらかの報酬になる可能性が考えられていますが、詳しいメカニズムは不明です。
また、カフェイン入りの蜜を採取したミツバチは、糖分だけを採取したミツバチと比べて、花の香りを記憶する可能性が3倍高いことも、実験によってわかっています。
ミツバチが苦味を嫌うほどのカフェイン濃度ではない場合、コーヒーの匂いに引き寄せられる可能性があります。
【参考文献】
Sarah E J Arnoldほか「Bumble bees show an induced preference for flowers when primed with caffeinated nectar and a target floral odor」Curr Biol. 2021 Sep 27;31(18):4127-4131.e4. doi: 10.1016/j.cub.2021.06.068. Epub 2021 Jul 28.
G A Wrightほか「Caffeine in floral nectar enhances a pollinator's memory of reward」Science. 2013 Mar 8;339(6124):1202-4. doi: 10.1126/science.1228806.
スズメバチは個体差がある可能性
スズメバチに関しては、コーヒーの匂いを嫌うという説と好むという説にわかれています。しかし、コーヒーの味を覚えたスズメバチが、コーヒーに執着した事例があるため、コーヒーが忌避剤として有用とはいえないようです。
スズメバチは蜜を集めることはしませんが、移動中に蜜や果汁を吸うことがあるため、コーヒーも栄養補給の選択肢である可能性があります。
コーヒーの匂いが蜂の行動を阻害する可能性
コーヒーが蜂よけに使えるという説もあります。ここでは、2つの可能性を紹介します。
強い香りで蜂のフェロモンの効果を阻害する可能性
蜂はフェロモンで仲間に居場所や危険を知らせる機能をもっています。コーヒーの匂いは強いため、フェロモンの臭いを届けにくくするのではないか、という説です。しかし、実験結果などのエビデンスは見当たりませんでした。
コーヒーを焚いた煙と蒸気で撃退できる可能性
インターネット上では、コーヒーカスを燃やし、発生した煙と蒸気で撃退する方法が紹介されています。コーヒーに効果があるのかは不明ですが、蜂は煙を嫌うため効果はありそうです。
ただし、強烈な臭いがたちこめるため室内では使えません。屋外の蜂を寄せ付けなくするためであれば、一定の効果が期待できるでしょう。
コーヒーの匂いが効く虫
コーヒーの匂いが効く虫は次のとおりです。
- 蟻(あり)
- 蚊
- ナメクジ
- カタツムリ
- ネキリムシ
- ヨトウムシ
- ネコブセンチュウ
コーヒーの匂いが、これらの虫を寄せ付けなくする効果は期待できます。虫が発生しそうな場所にコーヒーカスを置いたり、植木の土に混ぜたりすれば忌避効果を発揮してくれるでしょう。
蜂よけにはコーヒーではなく忌避剤を使おう
蟻やナメクジよけにはコーヒーの匂いが有用な可能性がありますが、蜂には逆効果の可能性があるため、おすすめできません。蜂専用の忌避剤など、確実に効果があるものを使いましょう。
逆に、農作物の受粉などで蜂を引き寄せたい場合には、薄めたコーヒーが有効な可能性があります。人には匂いがわからない程度まで水で割ってから散布するなど、実験してみてはいかがでしょうか。