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日本のマルハナバチ10種類の見た目と特徴を解説

マルハナバチはふわふわと丸い体に愛嬌たっぷりの見た目で、花の周りを飛び回る姿がかわいらしい蜂です。日本には、在来種・外来種を含めて16種類のマルハナバチが生息しています。

この記事では、マルハナバチの中から代表的な10種類を厳選し、見た目の特徴や性格、生息地、巣のつくり方まで詳しく解説します。

それぞれのハチたちの魅力を知れば、身近な自然の見え方が変わってくるはずです。ぜひ、マルハナバチの世界をのぞいてみてください。

マルハナバチ属10種類の一覧

マルハナバチは、ハチ目ミツバチ科ミツバチ亜科(マルハナバチ亜科)に分類されます。名前の通り丸い蜂です。日本には外来種も併せると、16種のマルハナバチが生息しています。本記事でまとめた日本のマルハナバチ10の一覧は以下の通りです。

種類 体長
クロマルハナバチ 12~19mm
アカマルハナバチ 10~20mm
ヒメマルハナバチ 9~16mm
コマルハナバチ 10~14mm
ミヤママルハナバチ 12mm
トラマルハナバチ 12~20mm
ホンシュウハイイロマルハナバチ 15~18mm
エゾオオマルハナバチ 11~22mm
セイヨウオオマルハナバチ 10~20mm
ニセハイイロマルハナバチ 11~18mm

以下ではマルハナバチの種類ごとに、見た目や特性を解説します。

①クロマルハナバチ

体長 12~19mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・全体的に黒い

・オスは胸周りに黄色い毛

性格 基本的に穏やか

見た目

クロマルハナバチは体長12~19mmです。黒い毛に覆われています。女王蜂と働き蜂は似た色合いですが、雄は胸周りに黄色い毛が密集しています。

性格・特性

性格はおだやかで、人を刺すことはほとんどありません。5月から10月まで活動し、花の受粉に重要な役割を果たします。本州と一部の島に分布し、北海道や南西諸島にはいません。

巣の特徴

5月から10月にかけて地中の狭い空洞に巣を作ります。ネズミが使った古い巣や他のマルハナバチが巣をつくったことのある場所などです。自分の体からロウを出して巣を作り、花粉と蜜を集めて産卵します。

②アカマルハナバチ

体長 10~20mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・全体に生えるの赤褐色の毛が特徴

・腹の先の方が黒い

性格 基本的に穏やか

見た目

アカマルハナバチは体長10~20mmです。赤褐色の毛が特徴です。腹の先は黒く、そのさらに先端が白くなっています。

性格・特性

北海道だけに生息するマルハナバチの亜種です。生息数が非常に少なく、生態はあまりわかっていません。花から花粉を集める際に「バズフォージング(buzz foraging)」と呼ばれる、振動によりエサを集める行動が観察されています。

③ヒメマルハナバチ

体長 9~16mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・全体に淡い色味のふわふわとした体毛

・腹は黄色と黒の縞模様

性格 基本的に穏やか

見た目

ヒメマルハナバチは体長9~16mmです。全体に淡い色味のふわふわとした体毛が生えています。腹には黄色と黒の縞模様があります。

性格・特性

性格はおだやかで、人に対して攻撃することはほとんどありません。標高が高い場所を好み、5月から10月に活動します。花を訪れて花粉や蜜を集める様子がよく見られます。特に秋は目撃されやすく、観察の機会が増えます。

④コマルハナバチ

体長 10~14mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・胸や腹の毛が黒い

・腹の先端だけ黄色い

性格 基本的に穏やか

見た目

コマルハナバチは体長10~14mmです。胸や腹の毛は黒く、腹の先端だけ黄色いのが特徴です。体は丸みがあり、メスは全体に黒っぽい色合いです。オスは全身が黄色の毛に覆われていて、お尻にオレンジ色の毛があります。

性格・特性

性格はおだやかで、人への攻撃性はほとんどありません。花粉や蜜を集めて暮らし、花の受粉に重要な役割を果たします。繁殖期の雄は、木の幹や葉にフェロモンで「匂いマーク」をつけ、巡回しながら雌との交尾を狙うという独特の行動をします。

巣の特徴

地面の中や木の隙間など、閉じた空間に巣を作ります。自分たちで巣をつくるだけでなく、鳥の巣箱を乗っ取ることもあるようです。ヤマガラやシジュウカラが使っていたコケや獣毛を再利用して、自分の巣を作るケースがあります。

⑤ミヤママルハナバチ

体長 12mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・胸や腹の毛が黒い

・腹の先端だけ黄色い

性格 基本的に穏やか

見た目

ミヤママルハナバチは体長12mmです。胸の毛は赤みがかった褐色で、側面はレモンイエローです。全体的に濃い色合いで、毛が豊かでふわふわしています。腹部に黄色と黒の縞模様があります。

性格・特性

他のマルハナバチと比べても威嚇行動が少なく、おだやかな性質です。刺激を受けると「擬死」と呼ばれる行動をとり、数分間じっと動かなくなることがあります。ミヤママルハナバチは本州の標高200~2,500mの山地が生息地です。さまざまな植物から花粉や蜜を集めます。

巣の特徴

地面の中や木のすき間に巣を作ります。飼育下では、女王蜂が体からワックスを出し、柔らかい蜜壺を作って底に卵室を作ります。巣は小さめで、働き蜂や雄蜂の数も少なめです。刺激があると、女王蜂が一時的に巣を離れることもあります。

⑥トラマルハナバチ

体長 12~20mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・腹に黒と黄色の縞模様

・胸部にはオレンジ色の毛が密集

性格 基本的に穏やか

見た目

トラマルハナバチは、腹の黒と黄色の縞模様が特徴です。体調は12~20mmです。胸部には明るいオレンジ色の毛が密集してふさふさしています。

性格・特性

攻撃性はマルハナバチにしてはやや強めで、巣を刺激すると刺されることがあります。森に多く生息し、樹林やその周辺、神社やお寺の境内でも見かけます。昼間に活動し、飛ぶ動きは素早いです。年1回発生し、女王蜂は4月下旬、働き蜂は6月、雄と新女王蜂は8月下旬から11月中旬に現れます。女王蜂は成虫で冬を越します。

毒量・毒性

毒性は強くありません。刺された場合は痛みを伴いますが、アレルギーがなければ大きな健康被害には至らないケースが多いようです。

巣の特徴

ネズミの古い巣など、地中の空間を利用して巣を作ります。巣の材料は腹から分泌される蜜蝋です。球状の部屋を作ります。巣の規模は大きく、繭の数は400~1,300個になることもあります。巣の上には保温用のワックスをかけるのが特徴です。

⑦ホンシュウハイイロマルハナバチ

体長 15~18mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・腹に黒と灰色の縞模様

・全身に黄色みがかった灰色の毛

性格 基本的に穏やか

見た目

ホンシュウハイイロマルハナバチは、15~18mmです。全身が黄みがかった灰色の毛で覆われています。また腹には黒と灰色の縞模様があります。

性格・特性

ホンシュウハイイロマルハナバチは長野県や山梨県など、本州中北部の高地に分布する蜂です。春から秋にかけて花々を回り、蜜や花粉を集めます。活動は4~10月で、雄は秋に現れます。

巣の特徴

巣はなかなか見つかりませんが、地中や草原で小規模の巣を作るようです。花粉ポケットで幼虫に餌を与え、蜜壺で蜜をためます。材料となる蜜蝋の量は少なく、限られた材料で巣を作ります。

⑧エゾオオマルハナバチ

体長 11~22mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・腹部には黒と白と黄色の帯

・お尻が黄色

性格 基本的に穏やか

見た目

エゾオオマルハナバチは11~22mmの体長です。腹部には黒と黄色と白の帯があり、セイヨウオオマルハナバチと似た外見をしています。見分けるポイントはお尻です。セイヨウオオマルハナバチはお尻の先端が白色ですが、エゾオオマルハナバチのお尻は黄色い毛で覆われています。体毛はふさふさしており、雌と雄で色の違いはあまり見られません。

性格・特性

平地から山地まで幅広い場所に生息し、春の早い時期から活動を始めます。市街地や庭の花にもよく訪れ、人目に触れる機会が多い蜂です。活動期間は長く、秋まで飛んでいる姿が見られます。個体数が多く、北海道で最もよく見られるマルハナバチの一つです。

巣の特徴

地中に巣を作り、冬は土の中で越冬します。日当たりがよく、柔らかい土を選んで越冬することがわかっています。春になると、女王蜂が目覚めて1匹で巣作りを始め、花粉や蜜を集めながら巣を広げていきます。

⑨セイヨウオオマルハナバチ

体長 10~20mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・腹部には黒と白と黄色の帯

・お尻が白色

性格 基本的に穏やか

見た目

セイヨウオオマルハナバチは体長10~20mmです。黒い体に黄色の帯があります。エゾオオマルハナバチに似ていますが、お尻の先端が白く、翅が茶色っぽく見えるのが特徴です。

性格・特性

ヨーロッパ原産で、1991年にトマトやナスなどの受粉のため日本に導入されました。野外に定着し、在来のマルハナバチに悪影響を与えています。在来種の餌や巣の場所を奪うので、生態系への影響が大きい蜂です。2006年に「特定外来生物」に指定され、輸入や飼育などは原則禁止です。北海道では駆除も行われています。

巣の特徴

セイヨウオオマルハナバチの巣は、1つの巣に複数の女王蜂がいる「多雌性」です。そのため、短期間で多くの働き蜂が育ちます。巣を作る場所は地面の中、建物のすき間、草地などさまざまです。

⑩ニセハイイロマルハナバチ

体長 11~18mm
見た目の特徴 ・ずんぐりした形

・腹に黒と灰色の縞模様

・全身に黄色みがかった灰色の毛

性格 基本的に穏やか

見た目

ニセハイイロマルハナバチは体長11〜18mmです。体は灰白色の長い毛で覆われています。腹にははっきりした縞模様が見られます。近縁のハイイロマルハナバチとの違いは、腹の第2節側面に黒い毛が少ない点です。雄の触角はギザギザ状で、これも見分けるポイントです。

性格・特性

性格はおだやかで、人を攻撃することはほとんどなく、観察しやすいハチです。草原に生息する種で、北海道や東北の平地でよく見られます。マメ科などの花から花粉や蜜を集め、春から秋にかけて活動します。特に花が多い時期に活発です。

巣の特徴

地面や土の中に巣を作り、自然のくぼみや動物の古い巣を利用します。草原のような開けた場所が好みです。越冬時には日当たりがよく、柔らかい土の斜面上部を巣作りの場所に選びます。

個性豊かなマルハナバチたちをもっと身近に感じよう

日本に生息する代表的なマルハナバチ10種をご紹介しました。それぞれが異なる見た目や暮らし方を持ち、毛の色や模様、行動の違いもさまざまです。マルハナバチはおだやかな性格で人を刺すことはほとんどありません。

花とともに生きる姿は、身近な自然を魅力的に見せてくれます。気になる種類があれば、ぜひ身の回りで探してみてください。いつもの風景が、ちょっと変わって見えるかもしれません。

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ハチお助け本舗編集部①

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