蜂に刺されたときの症状は、人によって大きく異なります。痛みや腫れだけで済むケースもあれば、重症化して死に至るケースもあるため注意が必要です。まずは蜂に刺されないことが一番ですが、万が一の事態に備えて、症状の程度や適切な対処法を知っておくことをおすすめします。
そこで本記事では、軽症と重症の症状の違いから応急措置の方法、病院に行くべき理由を解説します。いざというときの備えとして、ぜひ参考にしてください。
蜂に刺されたときの症状

蜂に刺されたときの症状は、軽症と重症の2つに分けられます。軽症は応急措置後の経過観察でも問題ありませんが、重症の場合は救急車を呼ぶ必要があるため、まずは症状を把握しておきましょう。
軽症の症状:応急措置後に経過観察
蜂に刺されたときの軽症は、刺された部分だけに生じる局所症状を指します。具体的には次のとおりです。
- 痛み
- 痒み(かゆみ)
- 腫れ
- しこり
このような症状の場合、痛みや腫れは1日程度、痒みやしこりは数日間で落ち着く傾向にあります。応急措置をほどこした上で、経過観察しましょう。応急措置の方法は、本記事の「蜂に刺されたときの対処法」をご覧ください。
なお、軽症は過去に蜂に刺されたことがない人(ハチアレルギーがない人)、毒性の弱い蜂に刺された人に起こる症状といえます。
重症の症状:救急車を呼ぶ
蜂に刺されたときの重症は、ハチアレルギーが原因のアナフィラキシーショックによる全身症状です。次のような症状があらわれます。
- 蕁麻疹(じんましん)
- 呼吸困難
- 吐き気
- めまい
- 動悸
- 発熱
- 腹痛
- 意識障害
めまいや吐き気、頭がぼんやりする感覚がある場合、軽度に思えても短時間で悪化して意識を失う恐れがあるため、全身症状の可能性があれば、すぐに救急車を呼びましょう。実際に、蜂に刺されてから15分で気分が悪くなり、30分で自発呼吸が停止、その後に死亡した事故事例もあります。
なお、アナフィラキシーショックを引き起こすハチアレルギーは、過去に蜂に刺されたことがある人が注意すべきものです。次の記事では、蜂に刺されたときの症状の詳細とアナフィラキシーショックのメカニズムを解説しています。ぜひご覧ください。

蜂に刺されたときの対処法(応急措置)

ここでは、症状が軽度のときや救急車を待つ間にできる応急措置の手順とNG行動を解説します。
応急措置の手順
- 刺された場所から50m以上離れる
- ピンセットで針を抜く
- 患部を流水にあてる
- 3を継続しながら毒を絞り出す
- 市販薬を塗る
- 患部を冷やす
蜂の中には40mほど追跡してくる種類もいるため、50m以上は距離をとりましょう。その上で、ピンセットを使って毒針を抜きます。毒針を抜く理由は、毒針に毒の袋がついているからです。素早く丁寧に抜くことで、さらに多くの毒が体内に注入される状況を防げます。
毒針を抜き終えたら、患部を流水にあてながら指で強くつまんで、毒を絞り出しましょう。毒を絞り出しきったら、市販薬を塗ります。腫れている部分よりも広めに塗るのがコツです。その後、保冷剤などで患部を冷やせば応急措置は完了です。
蜂刺されの応急措置に適した市販薬
市販薬の効果は含有する成分によって異なります。次の表を参考にしてください。
効果 | 成分 | 商品例 |
---|---|---|
痛み・腫れの緩和 | ステロイド成分 (副腎皮質ホルモン) | フルコートF リンデロンVs ベトネベートN軟膏AS |
痒みの緩和 | 抗ヒスタミン成分 鎮痒成分 | ムヒアルファEX アレルギールクリーム |
化膿の予防 | 抗生物質 | フルコートF ベトネベートN軟膏AS |
応急措置の段階ではステロイド成分を重視して症状を緩和し、後日のケアで痒みの緩和や化膿の予防に有用な市販薬に切り替えるのがおすすめです。
応急措置のNG行動
民間療法や迷信に近い対処法の中には、現代の医学ではNGとされるものがあるため注意が必要です。とくに次の3つは広く認知されている一方で誤った方法なので、実践しないよう気を付けましょう。
- 毒を口で吸い出す
- おしっこをかける
- 指や爪で毒針を抜く
毒を口で吸い出すと、口の中の傷や粘膜から毒を吸収して重症化する恐れがあるため、絶対にNGです。ハチアレルギーがない人でも、呼吸困難や意識消失を引き起こす可能性があります。
おしっこをかけるのもNGです。以前は「蜂に刺されたときはアンモニアが良い」という説があったため、おしっこをかけるという民間療法がありました。しかし、現代ではアンモニアには蜂毒を緩和する効果がないことがわかっています。むしろ、おしっこに含まれる雑菌が傷口に入り込んで炎症を起こす恐れがあるのでやめましょう。
ピンセットがないからといって、指や爪で毒針を抜くのもおすすめしません。力加減や角度を間違えやすく、毒針を押し込んだり、途中で折ったりして、抜きづらくしてしまう恐れがあるからです。毒の袋をやぶって、皮下に入り込む毒量を増やす可能性もあります。
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応急措置後は皮膚科・小児科を受診

蜂に刺された後は、軽度症状であっても念のために病院へ行きましょう。受診する科は大人なら皮膚科、子供なら小児科が基本です。外科や内科は蜂毒の局所症状に対応できない可能性が高いため、適していません。
ただし、皮膚科・小児科ならすべての病院が対応できるとも限らないため、受診前に電話で相談しましょう。病院選びに迷ったときは、各自治体のコールセンターまたは救急医療センターに相談するのもおすすめです。
なお、重症の場合は救急車を呼んでください。救急隊員に蜂に刺されたことを伝えれば、対処可能な病院に搬送してもらえます。軽症の場合と同様に、すべての病院でアナフィラキシーショックに対応できるわけではないため、同行者が自ら病院へ運ぶのはおすすめできません。
軽度症状でも病院に行くべき理由

軽症でも病院へ行くべき理由は、ケガの悪化を防ぐためとアレルギー検査を受けるためです。それぞれを詳しく解説します。
ケガの悪化を防ぐため
応急措置だけでは、蜂に刺された部分の傷口が化膿したり、赤みや腫れがひかなかったりすることがあります。病院で適切な処置を受けることで、悪化を防ぎましょう。また、既往症や体質を鑑みて、適切な薬を処方してもらえるため、市販薬を使い続けるよりも安心感があります。
アレルギー検査を受けるため
軽症で済んでも、ハチアレルギーを発症した可能性はあります。病院で蜂毒に関するアレルギー検査を受けておきましょう。蜂に刺されたことがあれば、保険適用で検査を受けられます。
ハチアレルギーをもった人が再び蜂に刺されると、アナフィラキシーショックによって重症化する可能性が高いため危険です。実際の事例として、複数人が蜂に刺されて1人が死亡した事故がありました。この死亡した人は、過去に蜂に刺された経験があり、ハチアレルギーを発症していた可能性が高いと言われています。
アレルギー検査でハチアレルギーであることがわかった場合、エピペンを処方してもらえるようになります。エピペンは、アナフィラキシーショックの症状を緩和するためのアドレナリン自己注射薬です。ハチアレルギーであれば常備しておくことをおすすめします。
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蜂がいる場所には応急措置グッズを持って行こう

蜂に刺されたとき、軽症で済むか重症になるかは人によって異なります。軽症であれば応急措置をした上で病院へ、重症ならただちに救急車を呼ぶなど、症状に合わせて正しい対処法を選択することが大切です。また、蜂と遭遇する可能性が高いときは、応急措置に使える以下のようなアイテムを備えていくことをおすすめします。
- ピンセット
- 2L以上の清潔な水
- ステロイド系の軟膏(市販薬)
- 保冷剤
- エピペン(ハチアレルギーの場合)
とはいえ、上記は万が一の事態への備えです。まずは刺されないことが大切なので、蜂に刺される危険が高い場所やシーズンには気を付けましょう。とくに、ハチアレルギーがある場合は毒性の弱い蜂に刺されても重症化する恐れがあります。蜂駆除の必要がある場合も無理せず、蜂駆除業者に相談してください。

蜂刺されに関するよくある質問
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