ハチお助けコンテンツ 蜂の種類・生態

チュウレンジハバチとは?葉を食い荒らす厄介者の駆除・予防対策

春から秋にかけて庭木や果樹に発生するチュウレンジハバチは、バラの葉を食害する害虫として知られています。この記事では、チュウレンジハバチの生態と駆除方法、バラの被害を未然に防ぐための予防策について詳しく解説します。

チュウレンジハバチとは?

まずはチュウレンジハバチの生態と発生時期を解説します。

生態と特徴

分類 ハチ目ハバチ亜目ミフシハバチ科
体長 8mm
幼虫の捕食対象 バラの葉
成虫の捕食対象 花の蜜

チュウレンジハバチの成虫は毒針を持っておらず、攻撃性もありません。頭から胸までが黒く、腹部は鮮やかなオレンジ色をしているのが特徴です。

幼虫は芋虫に似ており、緑色の体に黒い斑点が並んでいます。この幼虫がバラの葉を食い荒らします。集団で葉を食べつくし、葉脈しか残さないためバラが光合成できなくなることに注意が必要です。

発生時期

チュウレンジハバチの成虫は、4月から10月ごろにかけて活動し、気候条件や地域によっては年間で3~4回ほど発生することもあります。特に春先~初夏が活発で、とくに5月は注意が必要です。

被害のサイン

被害のサインは次の2つです。

  • 枝の切れ目
  • 葉の欠け

画像のように、チュウレンジハバチはバラの茎に切れ込みを入れて卵を産みつけます。切れ目を見つけたら、孵化しないように早めに駆除しましょう。

チュウレンジハバチの幼虫の食害を受けると、葉が不規則な形に穴だらけになります。とくに新芽や柔らかい若葉が集中的に狙われるようです。

食害が進むと、植物の光合成機能が低下し、成長が著しく阻害されます。これにより、バラであれば花が咲かなくなったり、衰弱して枯れたりするため注意が必要です。

チュウレンジハバチの駆除方法

チュウレンジハバチの幼虫による食害を食い止めるための4つの駆除方法を詳しく解説します。なお、成虫は産卵するとすぐに飛び去るため、駆除するのは困難です。卵・幼虫の駆除方法に限定して解説します。

1.卵を掻き出す・潰す

バラの茎の切れ込み(産卵跡)をみつけたら、中の卵を掻き出して駆除しましょう。楊枝や歯ブラシを使うと掻き出せます。難しい場合は、針で卵を潰してしまえば孵化しなくなります。

2.幼虫をつまみとる

孵化してしまった幼虫が少なければ、ピンセットや割り箸でつまみ取ってしまうのが効果的です。作業の際は手袋や軍手をつけましょう。除去したものは密封し、燃えるゴミとして処分します。

ただし、幼虫は葉の裏側や枝の陰などに潜んでいることが多いため、一回の作業では取り切れない可能性があります。定期的にチェックすることが大切です。

3.高圧水流による物理的駆除

農薬を使いたくない場合や、幼虫の数が比較的少ない場合には、ホースを使った高圧水流で幼虫を吹き飛ばす方法も有効です。葉の表面や裏側に付着している幼虫を強い水流で地面に落としましょう。

落ちた幼虫はそのまま放置せず、踏み潰すか捕殺して処理します。水圧の調整をしながら、植物を傷めない範囲で行うことがポイントです。

4.農薬の使用

大量発生してしまった場合は、農薬の使用が効果的です。次のような薬剤が効果を発揮します。

  • 住友化学園芸 ベニカXファインスプレー
  • 住友化学園芸 ベニカR乳剤
  • 住友化学園芸 オルトラン粒剤

ベニカR乳剤は原液で、水で薄めて使います。ベニカXやベニカR乳剤などのスプレータイプの薬剤は、葉裏までしっかりと届くように散布することが重要です。風のない日を選び、朝や夕方の涼しい時間帯に散布すれば、薬剤の効果を最大限に発揮できます。

オルトラン粒剤は土に混ぜるタイプの薬剤です。植物が薬液を吸収して葉まで行きわたらせるため、葉を食べた幼虫は薬剤の効果によって死にます。

チュウレンジハバチの予防策

最後に、チュウレンジハバチの予防策を3つ紹介します。

1. 発生前の薬剤散布

チュウレンジハバチの発生を未然に防ぐためには、発生前の予防散布が有効です。春先の3月末から4月初旬の時期に、成虫が産卵する前に薬剤を散布しておくことで、卵の孵化や幼虫の発生を抑えることができます。

薬剤は予防用のものを選び、説明書に従って適切な濃度で散布しましょう。

2. 定期的な見回りと早期発見

幼虫が発生してしまった場合でも、被害が拡大する前に早期発見できれば、大きな被害を防ぐことができます。

少なくとも週に1回は植物全体をチェックし、特に葉裏や新芽周辺に注意を払いましょう。発見が早ければ、手取りだけで対処できるため、薬剤を使わずに済むこともあります。

3. 天敵の保護と活用

チュウレンジハバチの幼虫は、クモやカマキリなどの天敵によって捕食されることがあります。これらの天敵を保護することで、自然の力を借りて害虫の発生を抑制することが可能です。

農薬の使用を最小限に抑え、生態系のバランスを保ちながら駆除することは、長期的には最も効果的な対策となります。クモやカマキリを見つけても追い払わずに、活躍してもらいましょう。

まとめ

チュウレンジハバチは、バラに深刻な被害をもたらす害虫ですが、生態を理解し、発生時期を見極めることで効果的に対処できます。

駆除方法には、割り箸やピンセット、高圧水流を使った物理的な方法と、薬剤を使用する方法があります。クモやカマキリが住んでいる場合は、追い払わずに駆除を任せてみるのもおすすめです。状況に応じた駆除方法を選びましょう。

  • この記事を書いた人

ハチお助け本舗編集部①

ハチお助け本舗編集部は、
生活を脅かすハチの情報を発信する専門チームです。

「ハチ被害をなくしたい」という強い思いのもと、
現場で得た知識や経験を活かし、
ハチ駆除の専門家から寄せられた意見も参考にしながら、
読者の皆様にとって本当に役立つコンテンツを目指します。

-ハチお助けコンテンツ, 蜂の種類・生態