アシナガバチの巣を見つけたら?自力で駆除できるかを見極める方法や手順を解説

家の周りで見かけた蜂の巣がアシナガバチのものだった場合、自力で駆除することはできるのでしょうか。アシナガバチの攻撃性が高まる時期や、どの程度の大きさの巣なら自力で駆除可能なのかも気になるところです。
ここでは、アシナガバチの巣を自力で駆除することは可能なのかを見極める方法や駆除する際の手順などについてわかりやすく解説しています。アシナガバチの種類や特徴も紹介していますので、蜂や蜂の巣を見かけて困った際にお役立てください。
目次
アシナガバチの駆除は自力で行なっても大丈夫?
基本的にアシナガバチは益虫で、比較的おとなしい性質の蜂です。そのため、アシナガバチの駆除を自力で行なえるかどうかは、巣の大きさや見つけた時期によって異なります。
以下のような条件にあてはまる場合、アシナガバチの巣を自力でも駆除できる可能性が高いでしょう。
駆除しやすい位置に蜂の巣がある
1階の軒下など、手が届く範囲にアシナガバチの巣がある場合は、作業がしやすいため自力でも駆除できる可能性があります。また、庭先の木や芝生の植え込みなどの広さがあり開放的な場所にある巣も、蜂が出てきた際に避難しやすいため、自力で駆除するハードルは下がるでしょう。
反対に、脚立が必要なほどの高さにある巣は、落下してくる危険性があります。室外機や壁の中など、狭くて閉鎖的な場所に巣がある場合も、手が届きにくく避難する場所の確保がしにくいため、自力での駆除は難しくなるでしょう。
巣の大きさが15㎝以下
巣の大きさが15㎝以下であればまだ巣が完成しておらず、中にいる蜂の数も少ないと考えられるため、自力での駆除も可能です。
巣が15cmを超えて20cmほどになると、完成した巣の中でも大きなものとなってきます。完成した巣は中にいる働き蜂の数も増えるため、駆除したあとに出てくる蜂の数が多くなる恐れがあります。
自力でアシナガバチの巣を駆除するなら、できるだけ巣が小さい段階で駆除するのが望ましいタイミングだといえるでしょう。
4~5月の攻撃性が高まる前の時期
アシナガバチはおおむね6月頃から活発に活動し始めて、8~9月には活動の最盛期を迎えます。この時期は蜂の数が多くなり、巣が近くにあればアシナガバチを見かける頻度も高まるでしょう。
益虫とはいえ、活動期のアシナガバチは警戒心も高まっているため、油断すると刺される恐れがあります。自力で駆除するなら、アシナガバチの攻撃性がまだ高まっていない4~5月頃に行ないましょう。
上記の条件にすべて当てはまる場合は、アシナガバチの巣を自力で駆除できますが、1つでも当てはまらない場合は無理せず、専門業者へ相談することをおすすめします。
アシナガバチの特徴や種類について
アシナガバチを安全に駆除するにあたり、アシナガバチの見分け方や行動時間、特徴などを紹介します。アシナガバチだと思い込んで、自力で駆除を試みたら実は危険なスズメバチだったということのないように、見分けるポイントを覚えてしっかりと確認することが大切です。
アシナガバチの特徴
アシナガバチはその名の通り、長い後ろ脚を持っていることがわかりやすい特徴です。スズメバチがまっすぐ俊敏に飛ぶのに対し、アシナガバチはゆっくりふわふわと飛ぶ、といった飛び方にも違いがあります。
活動時間はおもに日中で、日光が射して気温が高く、明るい時間に活動します。活動中の時間帯でもそこまで攻撃性は高くありませんが、うっかり刺激を与えると刺されてしまうことも考えられます。
アシナガバチに限らず、蜂に刺されてしまった場合はアナフィラキシーショックを起こす危険性があるため、十分に注意しましょう。
アシナガバチの巣の特徴
アシナガバチの巣はシャワーヘッドのように、下へ向かって広がる形状をとなっています。薄いグレーやベージュのような色合いをしており、六角形の穴がたくさん開いているのが目印です。
室外機の中やベランダの軒下、玄関の周辺など、屋外で天候の影響を受けにくい場所を好んで巣が作られていることが多いという特徴があります。洗濯物を干す場所の近くに巣があることに気づかず、洗いあがった洗濯物を取り込む際、気が付かないうちに蜂を巻き込んでしまって刺されるケースも少なくありません。
アシナガバチの種類
人を刺す蜂の種類は限られており、ミツバチやスズメバチと並び、アシナガバチもそのなかの一種です。ひとくちに「アシナガバチ」といってもその種類は多く、世界全体では800ほどの種類が確認されています。
そのうち、日本で確認されているアシナガバチは11種類あり、そのなかでもよく被害が出る4種を以下で紹介します。
・セグロアシナガバチ
アシナガバチのなかでも攻撃性が高いうえに毒性も強く、黒い背中と2.5cm前後の比較的大きな体長を持っている種類です。北海道を除いた全国に広く分布し、都会にも生息しているため民家に巣を作りやすく、特に被害が多く報告されています。
・キアシナガバチ
キアシナガバチも、セグロアシナガバチと並ぶ大きな体のアシナガバチです。背中に黄色い斑点があり、毒性が最も強い危険なタイプといえます。刺されたときの痛みはスズメバチと同レベルともいわれており、攻撃性も高めです。
・フタモンアシナガバチ
1.5~2cm以下の体長を持ち、お腹の辺りに黄色い斑点が2つあるのがアシナガバチです。里山に多く生息しており、刺されたときは鋭い痛みを伴うものの、そこまで毒性は強くありません。
・コアシナガバチ
1~1.5cm程度とアシナガバチのなかでは小型なタイプで、沖縄を除く全国に広く分布しています。山で見かけることが多く、黒っぽい色に黄色と赤茶色の模様が入っていることが特徴です。小型ながら、高い攻撃性と強い毒性を持つアシナガバチです。
アシナガバチを駆除するための事前準備
アシナガバチを自力で駆除する際に、事前に準備しておきたい道具などを紹介します。
駆除に必要な道具
アシナガバチの駆除に必要な道具や服装は、以下のとおりです。
・防護服もしくは肌を露出しない服
防護服は役所が貸し出ししている場合もありますが、貸し出されていない場合はできるだけ白っぽい服装を選ぶようにしましょう。蜂は黒い色に反応する性質を持っているため、頭や目などの黒い部分も隠せるように、帽子やタオルも活用します。
・殺虫スプレー2~3本
蜂専用の殺虫剤を使います。遠くからでも使えるように、噴射距離があるものがおすすめです。
・懐中電灯
蜂が巣に戻って休んでいる、夕方~日没後の時間帯の駆除がおすすめのため、場所の確認や足元を照らすことのできる懐中電灯があると便利です。ただし、蜂は明るいところに寄って来る習性があるので、巣に直接光を当てないようにすることが重要です。
・長めの棒または剪定用の長ハサミ
巣の駆除に成功したあと、巣を撤去する際に使用します。
この他、ゴム手袋や軍手、駆除した巣を入れるビニール袋なども準備します。顔を覆うことのできる防虫ネットや、蜂の死骸をつかむトングなどもあるとよいでしょう。
駆除する前に戸締りと隣家へのお知らせを忘れずに
アシナガバチを駆除する際に、驚いた蜂が家の中に入ってくる恐れがあります。巣の周囲にある窓や、玄関の戸締りをしっかりと確認しておきましょう。
また、アシナガバチの巣が隣家にも接している場合、一部の蜂が隣家へ逃げていくことも考えられます。駆除する際は近隣へその旨と時間帯をきちんと伝え、戸締りや出入りに注意してもらうようにしましょう。
自力でアシナガバチを駆除する方法と手順
事前準備が整ったら、自力でアシナガバチを駆除します。夜間に殺虫剤を使用して駆除するのが一般的な方法です。駆除は、以下の手順に沿って行ないましょう。
【手順】
・2~3m離れたところから殺虫剤を噴射
巣の位置を確認したらアシナガバチの巣へ静かに近づき、2~3m離れたところから殺虫剤を噴射します。噴射を始めたら途中でやめずに、1本使い切るまで続けましょう。自分のほうへ薬剤がかからないよう、風向きにも注意が必要です。
・安全な場所から様子を伺う
殺虫剤を使い切ったら、少し離れた安全な場所から様子を伺ってみましょう。飛んでいる蜂がいなくなっていれば、駆除は成功です。
もしも、まだ飛んでいる蜂がいるようならば、もう1本殺虫剤を使いましょう。ただし、蜂が攻撃してきそうな様子を見せた場合は無理をしないことが大切です。
・一晩放置して、翌日駆除できているか確認
蜂がいなくなってもすぐに巣は撤去せず、一晩放置します。翌日、巣の様子をもう1度見て、駆除が成功しているかどうかを確認しましょう。もし、外から巣に戻ってきたアシナガバチを見つけた場合は、ここで殺虫剤を使って駆除します。
・巣を撤去して袋に入れて破棄
駆除に成功したことが確認できたら、巣を撤去します。撤去の際は、巣の落下地点あたりにあらかじめビニール袋を準備しておきましょう。
蜂に毒が残っているため、巣や蜂は素手で触らないように注意してください。ビニール袋に巣を入れたら、中で生き残った蜂が動き出さないよう、もう1度袋の中へ殺虫剤を噴射しておきましょう。
いずれの場合も、蜂の数が増えてきたり、攻撃する素振りが見えたりするときは無理をしないことが肝心です。風向きが変わって風速が強くなった、急な来客があったなど、想定外のことが起こった場合も、無理に駆除を進めないようにしましょう。
アシナガバチを自力で駆除する際の注意点
アシナガバチを自力で駆除する際、特に注意したい点についても紹介します。
スズメバチよりおとなしいが油断は厳禁
アシナガバチは、一部攻撃性が高めの種類がいるものの、基本的にはおとなしく、刺激しなければ人間を攻撃してくることはほとんどありません。
しかし、おとなしくても毒性が強いタイプもいるため、スズメバチなどと同じく刺されると大変危険です。全身性のアナフィラキシーショックを起こす可能性があり、最悪の場合は命を落とす原因にもなりかねないため、アシナガバチといえども油断しないようにしましょう。
駆除の際は、蜂を刺激しないよう極力大きな音を立てないようにします。香水など匂いのするものも蜂にとって刺激となる場合があるため、駆除する前は身に着けないことが大切です。
もし、攻撃してきて危険を感じたら絶対に無理して駆除を続けようとせず、すみやかに安全な場所へ避難しましょう。
駆除後1週間は戻り蜂に注意
巣を駆除した際に逃したアシナガバチが、しばらくしてから戻ってくることがあり、これを「戻り蜂」と呼びます。巣を駆除してから数日以上経っても戻ってくる場合があるため、1週間は注意深く様子を伺いましょう。蜂が寄り付かないように、殺虫剤をこまめに噴射しておくことも大切です。
戻り蜂について詳しくはこちらをご覧ください。
「蜂の巣を駆除したのに蜂が戻ってくる?原因と対策を徹底解説!」
駆除が難しそうな場合や不安を感じたときは業者へ
林野庁が発表しているデータによると、蜂刺されによる死亡者数は、令和元年で11人となっています。死亡するケースはそこまで多くないとはいえ、重篤な症状が出る、回復に時間がかかる、痛みや腫れに悩まされるといったケースも含めれば、その数はもっと多くなるでしょう。
アシナガバチはスズメバチより体が小さく、おとなしい性質であるとはいえ、刺された際の毒性まで弱いわけではありません。作りかけの巣で、開放的な場所にある場合は自力で駆除することも可能ですが、事前の準備やいくつかの対策は必須です。
もし、少しでも自力での駆除に不安を感じるなら、スピーディーかつ安全に駆除できる専門業者に依頼するのがよいでしょう。
まとめ
アシナガバチはほぼ全国に広く分布している蜂で、スズメバチやミツバチと同様、人を刺す種類の蜂です。性質は比較的おとなしく、スズメバチに比べると小型であるため、開放的な場所にある15cmよりも小さな作りかけの巣であれば、自力で駆除することも可能です。
アシナガバチを自力で駆除する際は、活動が弱まる時期や時間帯を選び、服装にも注意して殺虫剤を使用して駆除します。小型でおとなしい性質とはいえ、毒性が強いタイプも多く存在するため、自力にこだわり過ぎずに、少しでも不安なら専門業者の「ハチお助け本舗」へ駆除依頼をお待ちしております。
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