蜂の巣が近くにできると、できる限り早く駆除したいものです。コストを抑えるために、自分で駆除したいと考えることもあるでしょう。しかし、駆除方法さえ知っていればどんな蜂でも駆除できるというわけではありません。
本記事では、自分で駆除できる蜂の種類と蜂の巣の見極め方から駆除方法まで詳しく解説します。蜂用の駆除スプレーで重要な成分や蜂に必要なもの、駆除のタイミングや手順などがわかります。安全のための注意点も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ウロウロしている1匹の蜂はスプレー・トラップで駆除
蜂の巣が近くにないことは確認済みで、蜂1匹が庭やベランダをウロウロしているだけという場合にはスプレーやトラップで撃退しましょう。
蜂用の殺虫スプレーで駆除する
蜂の駆除には蜂専用の殺虫スプレーが必須です。蚊やハエ向けの殺虫スプレーでは効果がなく、刺激することで危険度が増すため注意しましょう。蜂用スプレーには次のような成分が含まれています。
成分名 | 効果 |
---|---|
トラロメトリン | 蜂を寄せ付けない |
フタルスリン | 即効性がある |
メトフルトリン | 即効性がある |
レスメトリン | 殺虫効果が高い |
プラレトリン | 殺虫効果が高く、即効性がある |
モンフルオロトリン | 即効性があり、蜂の動きを止める |
なお、蜂から距離をとりながら対処できるよう、噴射距離が3m以上のものを選ぶことをおすすめします。市販の蜂駆除スプレーを選びたい人は、次の記事をご覧ください。
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蜂の巣が近くにあるときはNG
蜂の巣が近くにあるときは、1~数匹の蜂を駆除するのはやめましょう。スズメバチなどは攻撃を受けると仲間を呼ぶフェロモンを出すため、巣から大群が飛び出してくる恐れがあります。
オオスズメバチはNG
オオスズメバチの場合は、たとえ1匹であってもスプレーを吹きかけないよう注意してください。毒性・攻撃性・飛行力が極めて強いため、一撃で仕留められなければ刺されて重症化するリスクがあります。
オオスズメバチへの対処はプロ向けの防護服の着用が必須なので、見つけたら静かにその場を離れることをおすすめします。
トラップを仕掛けて駆除する
なお、蜂に狙いを定めるのが難しいときや、飛来する蜂が多いときはトラップを使って駆除する方法もあります。市販品のトラップでは、誘引捕獲タイプ・粘着タイプ・毒エサタイプが選択肢です。
誘引捕獲タイプは蜂が好む匂いで蜂をおびき寄せ、殺虫剤まで誘導するトラップです。巣作りの初期段階で効果を発揮します。ただし、蜂をおびき寄せるため、蜂の数が多い時期には向いていません。
粘着タイプは蜂が飛来しそうな場所に設置するタイプです。蜂を動けなくすることで、死を待ちます。
毒エサタイプは蜂に毒入りのエサを持ち帰らせて、巣内の全滅を狙うタイプです。狙い通りに持ち帰ってもらえれば、最も効果があります。
なお、誘引捕獲タイプのトラップは自分で作ることも可能です。
詳しくは次の記事をご覧ください。
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蜂の巣を自分で駆除できるかを見極めるポイント
蜂の巣を自分で駆除できるかどうかを見極めるポイントを次の3つに分けて解説します。
- 蜂が危険な種類ではない
- 蜂の巣の大きさが10cm未満
- 開けた場所に巣がある
蜂が危険な種類ではない
危険性が高い蜂の代表例は次のとおりです。
オオスズメバチを自分で対処するのを諦めましょう。毒性・攻撃性ともに高いため、たとえ1匹であっても極めて危険です。
オオスズメバチ以外のスズメバチの場合は、小さい巣で働き蜂の数が多くなければ自分で対処できることもあります。ただし、オオスズメバチやキイロスズメバチが属するスズメバチ科スズメバチ属の蜂は毒性と攻撃性が強いため、巣の駆除は高難度です。大群に襲われる危険がある場合は避けましょう。
アシナガバチはスズメバチと比べるとおだやかで、数もそれほど多くないため自分で対処できる可能性があります。ただし、後述する条件次第です。
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駆除しやすい蜂
次の蜂は毒性・攻撃性が低いため、必要なアイテムさえそろえれば比較的安全に駆除できます。
ただし、これらの蜂は人を積極的に襲うことはないため、民家や園芸、農作物に影響しない限りは、放っておいても実害がない蜂です。農作物の受粉を助けるはたらきもしているため、必要以上に駆除するのはやめておきましょう。
蜂の巣の大きさが10cm未満
巣の大きさが10cm以上になると、女王蜂が産みつけた卵から働き蜂が孵っている可能性が高いため注意が必要です。15cmになる頃には群れをなしていると考えられます。駆除のために巣を攻撃すると、群れで襲い掛かってくるため危険です。
蜂の巣から離れた場所でスマートフォンのカメラの拡大機能などを使って確認し、10cm以上の可能性が高いか否かを見極めることをおすすめします。
開けた低所に巣がある
退路を確保できない場所で駆除するのは危険です。屋根裏や軒下などの高所や狭所に入り込んで駆除するのはやめましょう。脚立を使わなければならない高所も、素早く逃げられないため危険です。このような場所の蜂の巣の駆除はプロに任せることをおすすめします。
また、蜂の巣の全体像が確認できない場合も避けましょう。室外機の中や換気扇の中などは、目に見えている部分の巣が10cm未満だったとしても、奥に広がっていたり、2つ目の蜂の巣があったりするからです。
家の外壁やベランダの柵、庭の木の枝先や土の中などの開けた場所・手が届く高さの巣であれば、自分で対処できる可能性があります。
蜂の巣を自分で駆除する場合のおすすめな時期
蜂が活動的な季節に巣を自分で駆除するのは危険です。活発になる前かピークが終わった後を狙いましょう。
4~6月上旬
4~5月は女王蜂が巣作りを始める時期で、働き蜂がいないため比較的安全といえます。適した場所が見つかると巣を作り、卵を産みつけます。6月半ば以降で卵が孵ることが多いため、6月上旬までは駆除しやすいといえるでしょう。
ただし、6月上旬よりも前に卵が孵ることもあります。先述のとおり、巣が10cmを超えていたら群れをなしている可能性が高いため、プロに任せることをおすすめします。
11月下旬~2月
多くの蜂は冬に活動を停止し、生き残った蜂も冬眠期間に入るため駆除しやすくなります。目安は11月下旬~2月の寒い時期です。
とくにスズメバチの場合、冬になると働き蜂はほとんど死に、女王蜂も越冬のために土に戻るため巣は空になります。
ただし、空になったスズメバチの巣に、アシナガバチが越冬目的で引越してくることがあるため、必ずしも安全とはいえません。アシナガバチの場合は女王蜂だけでなく、働き蜂も生き残っていることがあります。巣を駆除する前に様子を観察しましょう。
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蜂を自分で駆除する方法
上記までで、自分で駆除できる条件がそろっていると確認できたら、万全の装備をして駆除作業に入りましょう。適切な時間帯と必要なもの、駆除の手順を解説します。
蜂の巣駆除に適した時間帯は21時以降
蜂は日没で帰巣し、2~3時間で活動が低下するため、一網打尽かつ比較的安全に駆除しやすくなります。
日没の時間は季節と地域によって異なりますが、最も日が長い夏至の日没時間である19時頃を基準とすると、2~3時間が経過した21時以降がおすすめです。
日の出とともに活動が再開されるので、21時以降から夜明けまでには駆除を完了しましょう。
ただし、モンスズメバチは夜行性で比較的長い時間起きているため、21時頃は危険です。比較的安全に駆除できるのは深夜2時頃とされています。
蜂の巣の駆除に必要なもの
蜂の巣の駆除に必要なものは次のとおりです。
- 防護服または防護服相当のウェア
- 蜂用殺虫スプレー2本
- 剪定鋏(はさみ)
- 蜂用の忌避剤スプレー
- 赤いセロハンをつけた懐中電灯
- ゴミ袋(2重にしておく)
- ほうきとちりとり
- トング
防護服または防護服相当のウェアを用意できないときは、危険なので自分で駆除するのを諦めましょう。殺虫スプレーは必ず蜂用のものを用意してください。蚊やアブ用の殺虫剤では効かず、かえって刺激するだけで危険になることがあります。
また、夜に作業するため光源も必要です。一般的なライトだと日光と同じで蜂が活発になってしまうため、蜂が感知できない赤色のライトを用意する必要があります。懐中電灯に赤いセロハンをつければ問題ありません。
上記に加えて必ず備えておきたいのが、自分以外の誰かです。万が一にも刺されて意識を失ったときが危険であるため、離れたところで様子を見てくれる人を必ず確保しましょう。
なお、防護服相当のウェアの詳細を含め、必要なアイテムを詳しく知りたい人は次の記事をご覧ください。
地蜂(クロスズメバチ)など土の中に巣を作る蜂の場合
土の中に巣を作る蜂の場合は手順や使うものが異なります。詳しくは次の記事をご覧ください。
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蜂の巣を駆除する手順
蜂の巣を駆除する手順は次のとおりです。
- 防護服を着用する
- 赤色の光源で視界を確保する
- 静かに近づく
- 蜂の巣の下の地面にゴミ袋の口を開いた状態で置く
- 蜂の巣から1~2mの距離をとってスプレーを噴射
- 20~30秒間は噴射を続ける
- 蜂が出てこなくなることを確認する
- 剪定鋏などをつかって蜂の巣をゴミ袋に落とす
- 念のために落とした蜂の巣にスプレーをかける
- 蜂の巣があった場所に忌避剤をかける
- 巣の破片や蜂の死骸をほうきとちりとりで片付ける
- ゴミ袋に蜂の巣を入れて口を閉じる
20~30秒間スプレーを続けることが大切です。1本使いきっても蜂がいるときは、2本目にすばやく切り替えましょう。駆除が完了したら巣を落とし、ゴミ袋に入れます。散らばった巣の破片や蜂の死骸も、ほうきやちりとり、またはトングで拾ってゴミ袋に入れましょう。
また、生き残った蜂や外出していた蜂が戻ってくることがあるため、忌避剤の散布を忘れないこともポイントです。
なお、駆除した蜂の巣は基本的には燃えるゴミ扱いですが、自治体によって回収方法が異なる可能性があります。念のため、自治体のホームページなどで確認してください。
蜂の巣を駆除するときの注意点
最後に、蜂の巣を安全に駆除するための注意点を2つ解説します。
蜂に驚かずにスプレー噴射を続ける
蜂の巣にスプレーをかけると、蜂が一斉に飛び出してきます。これは驚いた反応で、ただちに攻撃してくるわけではありません。噴射をやめなければ薬剤が付着して蜂は落ちるので、一斉に飛び出してきても慌てずにスプレーをかけ続けましょう。
死んだ蜂を触らない
スズメバチは死んだ後でも、刺激があると反射で刺してくるため注意が必要です。絶対に素手で触らず、ほうきやちりとり、あるいはトングなどで死骸を撤去しましょう。
蜂の巣が小さく危険性が低いときは自分でも駆除できる
蜂の巣が10cm未満で蜂の数が少なく、手が届く場所であれば自分でも蜂の巣を駆除できる可能性があります。
安全に駆除できる状況だと判断できたときは、必要なものをそろえて夜間に駆除作業に取り組みましょう。無事に駆除が完了したら忌避剤を散布し、死んだ蜂の反射などに気を付けながら片付ければ完了です。
しかし、巣が10cmを超えていたり、オオスズメバチだったりした場合は、プロに相談しましょう。あるいは、一人で作業するしかない場合も、万が一の際に危険なためプロに相談するのがおすすめです。自分や家族の安全を一番に考えて判断しましょう。