蜂の巣といえば木や天井からぶらさがっているものを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、蜂の種類によっては土の中に巣を作ることがあります。気づかぬうちに踏み抜いてしまい、襲われる危険があるため注意が必要です。
そこで本記事では、土の中に巣を作る蜂の種類と見分け方を詳しく解説します。後半では駆除の方法や、プロに任せるべきか否かの判断基準も解説するので、ぜひ参考にしてください。
土の中に巣を作る蜂の種類
土の中に巣を作る蜂の種類は、主に次のとおりです。
- ツチバチ
- クロスズメバチ
- オオスズメバチ
- クロアナバチ
それぞれの蜂の特徴を詳しく見ていきましょう。
ツチバチ
分類 | ハチ目ツチバチ科ツチバチ亜科 |
体長 | 1~2.5cm |
見た目の特徴 | ・全体的に黒い ・腹部に黄色や白の模様が入っている種類もいる |
性格 | ・おとなしい ・単独行動が多い |
ツチバチと一口に言っても、さらに細かな分類があり、見た目にも少しずつ違いがあります。キオビツチバチなど、一見すると蜂には見えないタイプもいるため気づかないこともあるでしょう。体長は比較的大きめです。
性格は比較的おとなしく、基本的には単独で行動します。遭遇しても静かにその場を離れれば、襲われるリスクは低いといえるでしょう。また、刺されると痛みはあるものの、毒性はあまり高くありません。
クロスズメバチ
分類 |
ハチ目スズメバチ科 |
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体長 | 1~1.2cm(女王蜂は1.5cm) |
見た目の特徴 | ・全体的に黒い ・腹部の白い縞模様が目立つ ・足が白い |
性格 | おとなしい |
クロスズメバチはジバチ(地蜂)とも呼ばれる比較的小さい蜂です。スズメバチ科ながら性格はおだやかで、危害を加えない限りは攻撃してきません。巣に近づくと威嚇音を鳴らしてくれるので、それ以上近づかなければ襲われるリスクは低いといえます。
ただし、ひとたび襲われると危険です。クロスズメバチは巣が大きくなりやすく、巣の中に1,000匹以上の蜂がいる可能性があります。見つけたら静かに、その場を離れましょう。
オオスズメバチ
分類 | ハチ目スズメバチ科 |
体長 | 2.7~3.7cm(女王蜂は4~5cm) |
見た目の特徴 | ・オレンジと黒の縞模様
・一般的なスズメバチより大きい |
性格 | 攻撃的 |
オオスズメバチは世界最大のスズメバチで、毒性・攻撃性ともに高く危険です。刺されると強い痛みがあり、めまい・動機が激しくなるほか、最悪の場合は死に至ることもあります。
カチカチとアゴを鳴らす威嚇音も特徴です。威嚇をしても去らない生物を攻撃対象とみなし、襲い掛かります。巣の周辺だけでなく、エサとなる樹液の周辺などでも攻撃性が高いため注意しましょう。
また、攻撃対象とする範囲が広いため、十分に距離をとっているつもりでも、襲ってくることがあります。オオスズメバチの追跡距離は30mほどです。
クロアナバチ
分類 | ハチ目アナバチ科 |
体長 | 2.5cmほど |
見た目の特徴 | ・全体的に黒い
・アリに似ている |
性格 | おとなしい |
クロアナバチは水ハケや日当たりが良い場所を選んで、土の中に巣を作る蜂です。大きなアリのような見た目で、よく観察すると頭部や胴体に蜂らしい毛が生えています。
性格はおとなしく、巣を踏み抜いたり破壊したりしなければ、攻撃してくる危険はほとんどありません。
しかし、見た目がアリに似ておりブンブンと飛び回ることも少ないため、気づかぬうちに巣を踏んでしまう可能性が高い蜂の種類ともいえます。毒性はもっているため、クロアナバチが巣を作りそうな場所では注意が必要です。
土の中の蜂の巣の見つけ方
土の中に巣を作る蜂はほとんどが自然の環境を好むため、林や森の中に棲んでいます。プロでない限りみつけ出すのは困難であり、防護服の着用が欠かせません。これらの前提をふまえた上での見つけ方を解説します。
蜂を追跡する
蜂を見つけたら、行動を追いかけてみましょう。巣に戻るところまで追いかけられれば、場所を発見できます。ただし、オオスズメバチの可能性が高いときは追跡はやめましょう。逆に追跡・攻撃される恐れがあります。
おとなしい性格の蜂の種類であれば、3m程度の距離を保って追跡すれば襲われるリスクは軽減できます。
土表面に穴があることを確認する
蜂を見失った場合、付近に巣がある可能性があります。周辺の地面をよく観察し、巣の出入口となる穴を探しましょう。穴を発見したら、しばらく注視してみてください。蜂の出入りがあれば、その下に巣が広がっています。
ただし、穴の近くまで行くと巣を踏み抜いてしまうリスクがあります。スマートフォンのカメラの拡大機能などを使って、あまり動かずに探すことをおすすめします。
土の中の蜂の巣の駆除方法
大前提として、オオスズメバチの自力駆除は厳禁です。巣の規模や蜂の数に関係なく、プロ以外が手を出して良い蜂の種類ではありません。比較的おとなしい蜂の種類のみ、自力駆除を検討しましょう。
土の中の蜂の巣駆除に必要なもの
土の中の蜂の巣の駆除には次のようなものが必要です。
- 防護服
- 革手袋
- スプレー式の蜂用殺虫剤(600ml缶2本)
- 燻煙式の蜂用殺虫剤(60~120g缶2個)
- 3m前後の丈夫な棒
- 針金
- スコップ
- 厚手で丈夫なゴミ袋
防護服・革手袋・スプレーは蜂に襲われたときの対策として必要なものです。
巣の駆除には、燻煙式の殺虫剤(以下、燻煙剤)と棒、針金を使います。棒に針金を巻きつけて燻煙剤の缶を固定すれば、巣から距離を保ったまま駆除できる装置が完成します。
防護服を用意できないときは、手に入りやすいもので代用する方法もあります。詳しくは次の記事をご覧ください。
土の中の蜂の巣駆除の手順
土の中の蜂の巣を駆除する手順は次のとおりです。
- 棒に燻煙剤を取り付ける
- 燻煙剤を点火する
- 燻煙剤を巣穴に近づけて10~20秒間、煙を浴びせる
- 燻煙剤を巣の中に突っ込む
- 蜂が襲ってきたらスプレーで対処する
- 十分な時間が経ってから、蜂が出てこないことを確認する
- スコップを使い、巣穴を土で埋める
- 巣に戻ってきた蜂がいれば、スプレーで適宜処理する
- 後日、蜂がいないことを確認して巣を掘り起こす
- ゴミ袋に入れて口を閉じる
駆除の際に巣の中にいた蜂は死滅させられますが、巣に戻ってくる蜂もいるため8~9番の処理をおこないます。埋めるときの土の厚さは10cmが目安です。埋めたところに殺虫スプレーを散布しておけば、戻ってきた蜂にも効果があります。
駆除をおこなった当日では、まだ戻ってくる蜂がいる可能性があるため、巣の撤去は後日おこないましょう。スコップで掘り起こし、素早くゴミ袋に格納してください。念のためにスプレーを吹きかけ、ゴミ袋の口を閉じましょう。
土の中の蜂の巣には近づかないのが一番
森や林などの自然環境で巣を作っている蜂には関わらないのが一番です。オオスズメバチの可能性もあるため危険性は高いといえます。見極めるために近づくのも危険です。
一方、自宅の庭に巣を作られるなど放置したときに実害がある場合は、駆除を検討しましょう。家の中から、あるいは防護服を着用して蜂を観察し、おだやかな蜂であると判断できれば駆除できる可能性があります。
ただし、見極められないときなどオオスズメバチの可能性が少しでもある場合は、プロである蜂駆除の専門業者に相談することをおすすめします。