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刺される被害多発!キイロスズメバチの生態と毒性

キイロスズメバチは、日本全国に広く分布するスズメバチの一種です。体格は小型ながら、その攻撃性や巣の規模、都市環境への適応能力により、年間を通じて最も人間との接触機会が多い蜂として知られています。

この記事では、一般的な知識を超え、キイロスズメバチの生態的戦略や行動特性、最近の研究成果にまで踏み込んで解説します。

キイロスズメバチの基本情報

体長
  • 働き蜂:1.7~2.4cm
  • オス蜂:2.7cm
  • 女王蜂:2.5~2.8cm
見た目の特徴 ・オレンジがかった黄色と黒の縞模様

・腹胸部の小楯板

性格 極めて攻撃的
毒性 強い
幼虫の捕食対象 クモ、バッタ、ハエ、アブなど

※成虫が狩ったもの

成虫の捕食対象 果実の汁、樹液、昆虫、魚介類、生肉
分布 本州、四国、九州、沖縄、各諸島
巣の場所
  • 木の枝
  • 木のうろ
  • 土の中
  • 民家

キイロスズメバチの働き蜂は1.7~2.4cmで、スズメバチの中では最小クラスです。しかし、ピーク時の数が1,000匹を超え、攻撃力は優れています。また、毒性も強く、追跡距離も30mと長いため、一度襲われると逃れるのが難しくなるでしょう。

都市に適応しており、人が刺される被害の多い種類です。

都市適応型スズメバチの代表格

キイロスズメバチがどれだけ都市に適応しているかを、詳しく解説します。

巣の場所

キイロスズメバチは、都市部の建築構造を巧みに利用するスズメバチです。オオスズメバチが森林や草地に巣を作るのに対し、キイロスズメバチは住宅街の屋根裏、軒下、換気口内部など、閉鎖的で暖かい場所を好みます。雨風や日光による温度上昇を防げるからです。

  • 屋根裏
  • 軒下
  • 床下
  • 換気口内部
  • 換気扇の外部フード
  • コンクリートの隙間
  • ベランダ

都市部での駆除依頼件数は他種よりも多く、人間の生活圏との重なりが強い蜂といえます。また、都市温暖化の影響で、活動期間が長期化している可能性も指摘されています。

バーベキュー会場が好き

タンパク質を摂取するために捕食するのは、基本的には他の昆虫です。しかし、次のようなものも食べることがあります。

  • エビ
  • イカ
  • 生肉

これらの食材がそろっているバーベキューはキイロスズメバチに狙われやすいため注意が必要です。また、バーベキューのシーズンはキイロスズメバチが活発な5~10月と重なる点でも、接触のリスクが高いといえます。

ゴミにも寄ってくる

キイロスズメバチは魚や肉などの生ごみや、ジュースの飲み残しも捕食します。ゴミを家の外で管理する場合は、容器類はしっかりと洗い、蓋つきの容器に入れるのがおすすめです。餌場が近いと判断されると、近くに巣を作られるリスクも高まります。

キイロスズメバチの活動時期

キイロスズメバチの巣作りからピーク、活動終了までの時期と働き蜂の数を紹介します。

キイロスズメバチの巣作りシーズン

3月~4月に女王蜂が冬眠から目覚め、巣作りを開始します。初期の巣はボウルを逆さにしたような形です。女王蜂単体で、徐々に提灯のような球体まで仕上げます。5月~6月になると働き蜂が羽化しはじめ、巣作りを手伝うため巣が大きくなっていきます。

この頃の働き蜂は数十匹程度です。

7~9月で活発化

7月になると働き蜂の数が多くなっており、巣も大きく攻撃性が増しています。放っておくと巣の直径が40cmを超えるほど大きくなることがあるため、要注意です。秋になる頃には、最大で60~80cmに達することもあります。

ピーク時の働き蜂の数は1,000匹を超えることもあり、集団攻撃されるリスクもあるため危険です。

9~11月で新女王蜂が誕生

秋になると新女王蜂とオス蜂が誕生し、交尾がおこなわれます。その後、新女王蜂は越冬の為に巣を出て、土の中に潜ります。オス蜂は交尾後に死ぬため、巣の周辺に死骸が落ちているのを見ることがあるでしょう。

なお、10月までは活発な働き蜂も、11月下旬頃、気温が低くなると寒さに耐えきれず死んでいきます

キイロスズメバチの毒性と毒量

キイロスズメバチの毒量は国内最強のオオスズメバチに次ぐ約0.4mgで、成分も強力です。次のような成分を含む毒をもっています。

毒の成分 作用
ヒスタミン 血管拡張、腫れ、発熱
セロトニン 強い痛み
カテコールアミン 痛み、神経興奮
アセチルコリン 強い痛み、神経興奮
ハチ毒キニン ―(痛みに作用する可能性)
マストパラン 肥満細胞の破壊
ホスホリパーゼA1 細胞膜の破壊(アレルゲン)
ヒアルウロニダーゼ 毒の浸透促進
アンチゲン5 ―(アレルゲン)
プロテアーゼ タンパク質の分解

これらが複合的に作用し、アナフィラキシーショックを引き起こすリスクを高めています。

また、ホスホリパーゼA1とアンチゲン5はアシナガバチも持っているアレルゲンです。スズメバチに刺されたことがなくても、アシナガバチに刺されたことがあればスズメバチの毒でアナフィラキシーショックを起こす恐れがあります。

キイロスズメバチの巣が大きくなる前に駆除しよう

キイロスズメバチは小型ですが、攻撃力・毒性ともに強く集団で攻撃してくるため危険です。都市に適応していることもあり、遭遇率が高い点でも危険な蜂といえます。巣が最大化する前に駆除することで、被害の拡大を防ぎましょう。

ただし、キイロスズメバチはプロ以外が駆除するにはハイリスクな相手です。女王蜂単体が営巣しているシーズンなら自力で駆除できる可能性がありますが、働き蜂が誕生している場合は蜂駆除業者に相談することをおすすめします。

 

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