蜂の巣の作り方とは?巣作りの目的と種類ごとの構造・巣材を解説

一般的に「蜂の巣」といえば、球状のの巣をイメージする方が多いのではないでしょうか。実は、蜂の種類によって巣の形状や巣材は異なります。つまり、巣を見ればどの種類の蜂かが分かるということです。

そこで本記事では、蜂が巣を作る方法や素材、構造の特徴などについて、蜂の種類ごとに詳しく解説します。中には近づいてはいけない危険な蜂もいるので、蜂の巣の特徴をおさえておきましょう。

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    蜂が巣を作る目的

    蜂の巣作りには次のような目的があります。

    • 雨風・直射日光をしのぐ
    • 次世代を育てる
    • 食糧の貯蔵

    雨風は蜂の飛行を妨げるほか、体温を奪って活動を低下させます。また、多くの蜂は高温にも弱いため、直射日光を避けるためにも巣は重要です。

    巣作りは次世代を育てる場所としても機能します。スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチは巣作りがピークを迎えた後にオス蜂と新女王蜂が誕生し、交尾をおこなうのが特徴です。次世代を守り育てるために働き蜂が食糧を運び、警戒態勢をとります。なお、ドロバチやアナバチは巣内で育ったすべての蜂が次世代となるタイプで、働き蜂はいません。

    巣には食糧の貯蔵という機能もあります。ミツバチは蜂蜜や花粉を貯蔵し、成虫・幼虫ともに貯蔵したものを食べます。ミツバチ以外の蜂が貯蔵するのは、主に幼虫が食べるための肉団子です。成虫が他の昆虫を狩り、団子にしたものを幼虫のもとに運びます。種類ごとの違いは以下で詳しく解説します。

    蜂の種類ごとの巣の作り方

    スズメバチの巣

    ここでは、主な蜂5種類の巣作りの特徴を解説します。

    蜂の種類巣材構造・形場所営巣開始時期
    ミツバチ蜜ろう楕円形、板状の層閉鎖的な場所4~6月
    スズメバチ樹木の繊維球形、とっくり型閉鎖的な場所4月下旬~5月
    アシナガバチ樹木の繊維傘のような形低木の茂み、軒下4~5月
    ドロバチ土や泥泥の塊、とっくり型外壁、岩面、葉の裏7~9月
    アナバチ泥や苔、枯草土の中5~7月

    以下で、種類ごとの巣づくりの違いを詳しく見ていきましょう。

    ミツバチの巣作り

    蜂の種類ニホンミツバチ、セイヨウミツバチ
    巣材蜜ろう(働き蜂から分泌される物質)
    構造・形楕円形の板状
    六角形のハニカム構造
    接着面からぶらさがったような形
    場所閉鎖的な場所(屋根裏、床下、木の洞、洞窟など)
    営巣開始時期4~6月

    ニホンミツバチとセイヨウミツバチは、女王蜂だけでなく働き蜂も一緒に越冬できる種類です。春から夏にかけて新女王蜂が誕生すると、旧女王蜂派と新女王蜂派に分かれ、新女王蜂派は別の場所に引っ越します(分蜂)。新な巣作りが始まるタイミングです。

    屋根と壁がある閉鎖的な場所を好んで営巣します。巣の全体像は楕円形の板が垂れ下がったような形で、板を形成するのは綺麗な六角形が並んだハニカム構造です。働き蜂が分泌する蜜ろう(ビーズワックス)で作られます。場所の利点を生かしているため外殻はなく、育房室や蜂蜜・花粉の貯蔵庫がむき出しです。

    なお、ニホンミツバチ・セイヨウミツバチと同じミツバチ上科に属する蜂でも、クマバチマルハナバチコシブトハナバチハキリバチは巣の作り方が異なります。詳しくはそれぞれのリンク先をご覧ください。

    スズメバチの巣作り

    蜂の種類キイロスズメバチ、モンスズメバチ、コガタスズメバチなど
    巣材樹木の繊維

    唾液
    構造・形初期段階は提灯型またはとっくり型
    球形に変化
    波模様やマーブル模様の外殻
    外殻と中枢の間に空気層がある
    場所閉鎖的な場所を好む(屋根裏、床下、木の洞など)
    高い木の上部の枝下などにも営巣可能
    営巣開始時期4月下旬~5月

    キイロスズメバチモンスズメバチなどのスズメバチ科スズメバチ属の多くは、球形の巣を形成します。巣の初期段階、女王蜂が冬眠から目覚めて単独で営巣するものは提灯型やとっくり型ですが、働き蜂が羽化した後に波模様やマーブル模様の球形へ変化するのが特徴です。

    巣材は樹木を嚙みちぎった繊維と唾液を混ぜたもので、多くの働き蜂が様々な場所から巣材を集めてくるため、模様が生まれます。出来上がった巣の材質は和紙に似ており、色は茶色や灰色です。外殻と中枢(育房室と食糧庫)の間には空間(空気層)があり、断熱の役割を果たしています。

    4月下旬以降で営巣が開始され、9~10月にピークを迎えます。スズメバチの種類にもよりますが、直径が50cmを超えることも少なくありません。

    なお、スズメバチ科には上記の巣の特徴に該当しないものもいます。地中を好むオオスズメバチクロスズメバチ、キイロスズメバチ等の巣を乗っ取るチャイロスズメバチなどです。その他を含めた日本国内のスズメバチ17種類の詳細は次の記事をご覧ください。

    アシナガバチの巣

    蜂の種類キアシナガバチ、セグロアシナガバチなど
    巣材樹木の繊維

    唾液
    構造・形傘のような形
    六角形の育房室
    灰色~茶色の紙のような質感
    場所雨風をしのげる開放的な場所(低木の茂み、軒下など)
    営巣開始時期4~5月

    ミツバチやスズメバチと違い、アシナガバチは比較的開放的な場所を好みます。低木の茂みやベランダ、玄関の軒下など人の生活圏でも営巣しやすい蜂です。傘のような形、あるいはお椀を逆さにしたような形と形容される巣を作ります。灰色や茶色の紙のような質感で、民家の外壁と同化して見えるため発見が遅れることが少なくありません。

    スズメバチのように外殻を持つ巣ではなく、六角形の穴(育房室)を外側から確認できるのも特徴です。幼虫がサナギになるときに、成虫が穴に蓋をします。蓋の色は白が基本ですが、黄色い蓋をするキボシアシナガバチなどもいます。アシナガバチの種類を詳しく知りたい人は、次の記事をご覧ください。

    ドロバチの巣

    蜂の種類スズバチ、ミカドトックリバチなど
    巣材泥や土
    唾液
    構造・形泥の塊
    とっくり型
    場所外壁、岩面、葉の裏など
    営巣開始時期7~9月

    ドロバチは泥や土と唾液をまぜたものを手でこねて、ぺたぺたと貼り付けて営巣します。巣は小さく10cmに満たないものが多いため、外壁に営巣されても泥汚れにしか見えないことがあるでしょう。

    また、他の蜂と違い働き蜂がおらず、成虫も基本的には巣を守る行動をとらないので、成虫がいなくなった後は、より一層ドロバチの巣とは気づきづらくなります。営巣後の流れは次のとおりです。

    1. 巣を完成させる
    2. 卵を産みつける
    3. 狩った昆虫や肉団子にしたものを巣に入れる
    4. 泥で巣穴に蓋をする
    5. 成虫は飛び去る(戻ってこない)
    6. 幼虫が大きくなり成虫になると蓋を破って出ていく

    ドロバチの巣と気づくには、成虫が営巣しているタイミングか、じっくり観察したときのいずれかになるでしょう。なお、ドロバチは人に対してほぼ無害で、成虫が去った後は巣を高圧洗浄機などで落としても刺される心配はありません。ドロバチを詳しく知りたい人は次の記事をご覧ください。

    アナバチの巣作り

    蜂の種類クロアナバチ、キンモウアナバチ、フジジガバチなど
    巣材

    枯草
    構造・形穴の中に巣材を敷く、仕切りを作る
    場所竹筒
    枯れ木の孔
    他の虫が開けた穴
    土の中
    民家の軒下の壁
    営巣開始時期5~7月

    アナバチには、土の中に穴を掘るタイプと既存の穴を利用するタイプがいます。穴の中に苔や枯れ木などを敷き詰めたり、仕切りを作ったりして営巣します。土を掘るタイプは地中50cm程度の深さまで掘り進めますが、巣自体の規模は小さく育房室は1~5個程度しかありません。

    働き蜂もおらず毒性・攻撃性ともに弱いため、人にとってはほぼ無害です。むしろ、農作物に食害をもたらす虫を狩ってくれるため、農業では益虫とされています。

    人工的に蜂の巣を作ることはできる?

    養蜂場

    蜂の巣自体を人工で作ることはできません。日本においてミツバチは養蜂されていますが、ミツバチが好む環境の木箱を提供することで営巣を促しています。

    日本の伝統的な養蜂で使われる木箱は「重箱式巣箱」と呼ばれる構造のものです。複数段に分かれた複数段の箱を組み立て、下部にはミツバチが出入りするための「巣門」と呼ばれる小さな穴を開けます。上部に通気性を確保するためにスノコやメッシュ状の蓋を取り付けたら完成です。

    巣箱を自然環境に設置することで、分蜂したミツバチの群れが巣箱に誘引される仕組みになっています。積み重ねられる構造になっているため、巣の成長に応じて箱を追加できる点が特徴です。なお、セイヨウミツバチは養蜂に適しており何年も飼育できますが、ニホンミツバチは野生で、翌年も同じ巣箱を使ってくれるとは限りません。

    巣を作らない蜂もいる

    寄生性のある蜂は巣を作りません。次のような蜂が該当します。

    • ヒメバチ
    • タマバチ
    • ツノヤセバチ
    • ヒゲナガクロバチ
    • ヤセバチ
    • クロバチ

    他の昆虫や植物に卵を産みつける寄生蜂は巣を作りません。細いシルエットの蜂に多くみられる特徴です。

    なお、チャイロスズメバチも自分では巣を作らない傾向があります。キイロスズメバチが営巣し、働き蜂の卵を産んだ段階で巣をのっとります。その後生まれたキイロスズメバチの働き蜂に、自分の卵や幼虫を育てさせる寄生性のある蜂です。ただし、乗っ取れそうな巣がないときは、自力で営巣します。

    蜂の種類によって巣の作り方は異なる

    蜂の巣の巣材や形状、場所は蜂の種類によって大きく異なります。マーブル模様の球形や傘のような形の巣は、危険性の高いスズメバチやアシナガバチのものであるため、近づかないようにしましょう。人の出入りがある場所に営巣されたときは、プロに駆除を依頼することをおすすめします。

    ドロバチやアナバチは営巣規模が小さく危険性もほとんどありません。泥の塊のような巣や地面の穴をみつけても、放っておいてあげましょう。ただし、地面の穴についてはオオスズメバチやクロスズメバチの巣の可能性もあるため、近づかないことをおすすめします。

    ミツバチについては、自然環境で見られるのはニホンミツバチの巣です。ハニカム構造がむき出しの、垂れ下がったような形が目印です。ニホンミツバチは希少な存在になりつつあるので、発見しても放っておきましょう。なお、セイヨウミツバチは養蜂に限られ、日本では野生として生息していません。

    蜂の巣の見た目や場所で見極め、適切な対処を心がけましょう。

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