春から夏にかけて、庭や公園の木の枝、建物の軒下などに無数のミツバチが固まっているのを見かけたことはありませんか? これは「分蜂(ぶんぽう)」と呼ばれるミツバチの自然な行動で、新たな住処を求めて引っ越しをしている最中の姿です。
ミツバチの分蜂は一見すると驚くかもしれませんが、実は攻撃性が低く、むやみに刺激しなければそれほど危険ではありません。
本記事では、ミツバチの分蜂の仕組みや時期、対処法、注意点について詳しく解説します。
ミツバチの分蜂とは
ミツバチの分蜂は、新しい群れを作るために行われる自然な行動です。分蜂する理由や分蜂の特徴を解説します。
旧女王蜂と働き蜂の引っ越し
ミツバチの巣が十分に成長すると、新しい女王蜂が生まれ、旧女王蜂と一部の働き蜂が新しい巣を求めて旅立ちます。ミツバチの自然な繁殖の証でもあり、この行動を「分蜂」と呼びます。
集団移動中に塊で休む
分蜂したミツバチは、すぐに新しい巣を見つけられるわけではありません。そのため、移動の途中で木の枝や建物の壁などに一時的に集まり、塊になって休むことがあります。
蜜を抱えて移動しており攻撃性は極めて低い
分蜂中のミツバチは、移動先での巣作りのためにたっぷりと蜜を抱えています。このため、普段よりもおとなしく、攻撃性が極めて低い状態にあります。むやみに刺激しない限り、基本的に人間に危害を加えることはありません。
ミツバチが分蜂する季節・時期
ミツバチの分蜂は、特定の時期に集中して発生します。
春~夏
分蜂は主に春から初夏にかけて行われます。これは、ミツバチの巣が成長し、群れが十分に大きくなったタイミングで起こるためです。
気温が高く晴れた日
分蜂が発生しやすいのは、気温が高く晴れた日です。一方、雨の日や気温が低い日はミツバチの活動が鈍く、分蜂のタイミングを見送ることが多くなります。
ミツバチの分蜂時期に対処しておくべきこと

Bees on honeycombs.
分蜂の時期には、ミツバチが思わぬ場所に巣を作らないよう、いくつか対策をしておくことが大切です。
空き箱を撤去する
ミツバチは、閉鎖的で適度に湿度が保たれる場所を巣作りに適していると判断します。庭やベランダに放置された空き箱や不要な容器は、ミツバチの格好の営巣地となる可能性があるため、事前に片付けておくと良いでしょう。
花のプランターを室内に入れる
ミツバチは花の香りに引き寄せられるため、ベランダや庭に花のプランターがあると、分蜂した群れが寄りつく可能性があります。
分蜂の時期には、一時的に室内に入れるのも、巣作りの予防策として有効です。
営巣に好む場所に忌避剤を散布しておく
ミツバチが営巣しやすい場所(軒下や倉庫の隙間など)には、ミツバチが嫌うハーブ系の忌避スプレーを散布しておくと、分蜂の群れが寄りつくことを防げます。特にミントやユーカリなどの香りはミツバチが嫌うとされており、予防対策として有効です。
ミツバチの分蜂における注意点

A group of bees near the hive in flight
分蜂を見つけたときは、むやみに刺激を与えないようにすることが重要です。
つつかない
分蜂中のミツバチは基本的におとなしいですが、刺激すると攻撃的になることがあります。
木の枝や壁などに固まっている群れを、棒などでつつくなどの行為は厳禁です。むやみに刺激を与えないように気をつけましょう。
殺虫剤をかけてはいけない
殺虫剤をかけると、ミツバチは飛び回って攻撃的になるため危険性が高まります。
ミツバチは生態系にとって重要な存在であり、むやみに駆除すべきではありません。分蜂したミツバチを見つけた場合も、放っておけば数時間~数日で移動することがほとんどです。
もし巣作りが心配な場合は、自治体や養蜂業者に相談しましょう。
ミツバチの分蜂は引っ越しの最中で害はない
ミツバチの分蜂は、新しい巣を求めた引っ越しの最中で、攻撃性が低く危険はほとんどありません。分蜂の季節は春から夏にかけてで、特に晴れた日に発生しやすくなります。
分蜂対策として、空き箱を撤去したり、花のプランターを室内に入れたりすることで、ミツバチの営巣を防ぐことができます。また、分蜂を見つけたときは、つついたり殺虫剤を使ったりせず、落ち着いて様子を見守ることが大切です。
ミツバチは花粉を運び、農作物の受粉を助ける大切な存在です。自然の営みの一環として、分蜂を理解し、適切な対応を心がけましょう。