春から初夏にかけて、ミツバチの大群に遭遇したことがある方もいるのではないでしょうか。その大群はほとんどの場合、分蜂(ぶんぽう)によって形成された蜂球(ほうきゅう)です。
本記事では、ミツバチの分蜂の習性を詳しく解説します。分蜂がおこなわれる理由や時期、養蜂における分蜂の取り扱い、寄せ付けないようにするためのポイントまで解説するので、遭遇したときの対応や自宅周辺の対策にお役立てください。
このような方におすすめ
- 分蜂がおこなわれる理由を知りたい方
- 分蜂がおこなわれる時期を知りたい方
- ミツバチの塊(分蜂蜂球)に遭遇したときの対応が知りたい方
- 自宅に分蜂のミツバチが寄り付くのを防ぎたい方
※1 対応地域・対応する加盟店により異なります ※2 対応地域・加盟店・現場状況により、お事前にお客様の同意を得たうえで、調査・見積り費用をいただく場合がございます ※3 作業後1週間以内に同じ場所に再発した場合に限ります
目次
ミツバチの分蜂とは

分蜂の習性があるのは、ミツバチ科ミツバチ亜科ミツバチ族ミツバチ属に分類されるミツバチだけです。日本では野生のニホンミツバチと養蜂されているセイヨウミツバチが該当します。同じミツバチ亜科でも、マルハナバチは分蜂をおこないません。
女王蜂の引っ越し
分蜂は女王蜂が働き蜂を引き連れて、生まれ育った巣を飛び立つ引っ越しのことです。
ミツバチの巣の中では何匹かの新女王蜂が生まれますが、それらを産んだ母女王蜂が引っ越しをすることを第一分蜂と呼びます。第一分蜂では約半数の働き蜂と半数弱の蜂蜜(貯蜜)を携えて引っ越しをするので、元の巣の規模は一気に減少します。
しかし、ミツバチの群れの数は大きく、ニホンミツバチでは最大2万匹、セイヨウミツバチでは最大4万匹に達するため、半数が引越しても大群です。また、旧女王蜂が残した卵の羽化や新女王蜂による産卵(1日あたり1,000以上)によって、減った数も急速に回復します。
なお、回復スピードが早すぎて群れの数がただちに増える場合は、先に生まれた新女王蜂が一部の働き蜂を引き連れて引っ越しをする後発分蜂がおこなわれることもあります。
一般社団法人 日本養蜂協会 中村 純「養蜂技術指導手引書2022 ミツバチを知るためのミツバチデータブック 生物学編」
元の巣から数百メートル以内の引っ越しが多い
分蜂がおこなわれた後は、新たな巣作り場所を探す旅が始まります。とはいえ、新たな巣の候補地はほとんどの場合、元の巣から数百メートル以内です。
数キロメートルに及ぶ長距離を移動することはないため、分蜂をみつけたら近距離に元の巣があると考えられます。
集団移動中に塊(分蜂蜂球)を形成して休む
分蜂がおこなわれた直後は、元の巣から30m以内の場所に集まって分蜂蜂球(ぶんぽうほうきゅう)を形成します。そこから働き蜂が周辺を偵察し、巣作り(営巣)に適した場所の情報を収集します。
好条件の場所がみつかれば営巣を開始し、近くになければ移動して再び蜂球を形成します。この分蜂蜂球が、街中でみかけるミツバチの群れの正体です。
移動の陣頭指揮をとっているのは女王蜂で、女王蜂が向かうところへ働き蜂が一斉に付いていきます。女王蜂が室内に侵入すれば、働き蜂もなんとかして室内に入り込もうとするので、注意が必要です。
車に群がることも少なくない
分蜂蜂球が形成されやすいのは木の枝などですが、ぶらさがりやすい突起物があれば木の枝以外も選ばれます。軒下やベランダの手すり、車に群がることも少なくありません。
車が選ばれる理由のひとつとして、突起物以外に色や材質があげられます。蜂は紫外線を反射する色、物に対して好意的な反応を示すため、車のボディやミラーが光を反射していると反応しやすいと考えられるからです。
蜜を抱えて移動しており攻撃性は極めて低い
第一分蜂では元の巣の貯蜜の半数弱を抱えて引っ越しをします。抱えるといっても手に持つわけではありません。働き蜂の体内にある蜜嚢(みつのう)に蓄えています。収容量は体重の3分の1に達するほど重いため、機敏には動けません。
また、お腹がパンパンなので、腰を曲げる動作が必要な毒針を刺す行為も難しくなっています。こうした事情から、分蜂中のミツバチの攻撃性は極めて低いといえます。積極的に刺激しなければ、襲われることはありません。
ミツバチが分蜂する季節・時期

ミツバチが分蜂をおこなうのは主に春(3~5月)の晴れた日です。その理由を解説します。
春(3月下旬~5月上旬)
ミツバチは暑さに強い種類ではなく、気温が30度を超えるとぐったりするため、暑くなる前に行動します。分蜂がおこなわれるのは、訪花にも適した気温20~25度の頃、3月下旬~5月上旬の春がメインです。
農林水産省 みつばち協議会「施設園芸農家向け ミツバチにうまく働いてもらうために 花粉交配(ポリネーション)用ミツバチの管理マニュアル」
夏や秋は稀
6月に入ると梅雨のシーズンに突入するため、分蜂がおこなわれることはほぼありません。翅(はね)が濡れると飛行が妨げられるためです。また、先述のとおり暑さにも強くないため、7~8月に分蜂がおこなわれることも稀です。
秋(9月~10月)は真夏と比べれば涼しくなるので活動しやすくなりますが、訪花できる植物も減り、エサが少なくなってくるので春ほど好条件というわけではありません。諸条件がそろえば可能性はある、という程度です。
晴れた日
先述のとおり、翅が濡れることは避けたいため晴れた日を選びます。晴れが続いたことで気温が保たれ、20度を超えている日が絶好のタイミングです。晴れが続きやすいという点でも、3月下旬~5月上旬が選ばれています。
養蜂では王台を潰すことで分蜂をコントロールしている

複数回にわたって分蜂がおこなわれると蜂が激減するため、養蜂では群れの数を安定させるために、女王蜂の発生数をコントロールする必要があります。そのコントロールのための手段のひとつが「王台」を潰すことです。
王台は女王蜂が育つために作られる場所で、女王蜂が食べるためのローヤルゼリーが集められます。つまり、王台さえなければ女王蜂は育たないということです。女王蜂が育たなくなれば、分蜂は延期されます。
女王蜂は1~2年は活発に産卵をするので、養蜂においては毎年新女王蜂に誕生してもらう必要はありません。母女王蜂が弱って来た頃に生まれる新女王蜂さえいれば、分蜂することなく女王蜂が入れ替わる静穏交替(せいおんこうたい)がおこなわれます。
なお、女王蜂の入れ替わりは人にとっては静穏ですが、ミツバチにとっては穏やかなものとはいえません。母女王蜂が弱ってきたことを察した働き蜂と新女王蜂がクーデターを起こし、母女王蜂を追い出すなどするシビアな世界です。
ミツバチの分蜂蜂球を見つけたらどうする?

ミツバチの分蜂蜂球をみつけたときの対応を3つに分けて解説します。
放っておく
基本は放っておくことです。分蜂蜂球をつついたり、殺虫剤をかけたりするのはやめましょう。動きが鈍く攻撃性が低い状態とはいえ、過剰に刺激すれば刺してくることがあるからです。
そのまま営巣まで発展すれば厄介ですが、分蜂蜂球の段階では無害なので、慌てて対処する必要はありません。
近隣の養蜂場に連絡してみる
ミツバチは近年減少傾向にあるため、近隣の養蜂場や農家がミツバチを欲している可能性があります。ホームページなどでミツバチに関して情報提供を求めているなど、連絡がとれそうな状況であれば連絡してみましょう。捕獲しに来てくれる可能性があります。
自分で捕獲して養蜂してみる
養蜂を自分でやってみたい方は、捕獲を試みましょう。セオリーは分蜂のそばにミツバチが好むような木箱(巣箱)を置いて入るのを待つ方法です。気に入ってくれれば定着し、営巣が開始されます。
網や籠で強制的に捕獲するなど方法もありますが、養蜂経験者などのノウハウを持っている方以外にはおすすめできません。ミツバチを積極的に刺激することになるので、防護服も必要です。
なお、捕獲まではうまくできても、養蜂を続けるのは簡単なことではないため覚悟しましょう。ミツバチはデリケートで、病害虫から守ってあげる必要があるほか、巣が気に入らなくなれば再び引越してしまうからです。とくにニホンミツバチはなかなか定着しません。
また、近隣住民の迷惑にならないよう、配慮する必要もあります。近隣の理解を得ることも含め、十分な準備の上で取り組むことをおすすめします。
巣作り場所に選ばれてしまったら駆除を検討する

分蜂蜂球自体は無害ですが、偵察結果次第では近所で巣を作られてしまうため、その点については厄介です。営巣が開始されたら駆除を検討しましょう。
屋根裏やガレージの中は要注意
ミツバチは閉鎖的な場所を好むため、屋根裏やガレージの中、空の空き箱などが巣作り場所に選ばれることがあります。群れで移動しているため、営巣開始からわずか数日で巨大な巣が完成する点に注意しましょう。
巣が完成すれば、その後は爆発的に働き蜂の数が増えていきます。放置せずに早急に駆除することをおすすめします。
ただし、ミツバチの駆除を自分でおこなうのは困難です。攻撃的な種類ではありませんが、巣を攻撃されれば大群で襲い掛かってきます。また、女王蜂を駆除できなければ再発するリスクもあります。巣の撤去にもノウハウが必要なので、プロに任せましょう。
ミツバチの巣の調査と駆除はハチお助け本舗におまかせ
ハチお助け本舗の特徴
※1:対応地域・加盟店・現場状況により、お事前にお客様の同意を得たうえで、調査・見積り費用をいただく場合がございます
※2:1週間以内に同じ場所で巣が再発した場合に限ります
巣の場所がわからない場合でも、調査・見積は無料です。ミツバチの飛来や営巣に困っている方は、ぜひご相談ください。
ミツバチの分蜂時期に対処しておくべきこと

ミツバチが好まない環境を作ることで、分蜂蜂球の滞在や営巣を防げます。その方法を3つに分けて解説します。
空き箱を撤去する
ミツバチは、閉鎖的で適度に湿度が保たれる場所を巣作りに適していると判断します。庭やベランダに放置された空き箱や不要な容器は、ミツバチの格好の営巣地となる可能性があるため、事前に片付けておきましょう。
その他、屋根裏に通じる亀裂や破損箇所がないことを確認する、ガレージや物置を開けっ放しにしないなどの対策も有効です。
屋根の破損や亀裂にお困りの方は、ぜひ屋根外壁お助け本舗へご相談ください。
花のプランターを室内に入れる
エサ場が近いこともミツバチにとっては好条件なので、分蜂シーズンは花のプランターを室内に入れておきましょう。室内に入れられない場合は、防虫ネットなどで対策することをおすすめします。
営巣に好む場所に忌避剤を散布しておく
ミツバチが嫌う臭いのする忌避剤や木酢液、ハッカ油を散布する方法も有効です。嫌な場所では分蜂蜂球も形成しないので、その後に営巣されるリスクを低減できます。
次の記事はスズメバチ向けの忌避剤を紹介していますが、ミツバチにも有効なのでぜひご覧ください。
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ミツバチの分蜂は引っ越しの最中で害はない
ミツバチの分蜂は女王蜂の引っ越しで、移動中に形成される蜂球には害がないことがわかりました。見た目に威圧感があるため驚きはしますが、分蜂中のミツバチの攻撃性は極めて低いため、放っておいて問題ありません。
ただし、その後に巣を作られれば厄介です。自分で駆除するのは難しいので、事前に防除することをおすすめします。3月下旬~5月上旬の分蜂シーズンに入る前に、できる対策は実施しておきましょう。
ミツバチの分蜂に関するよくある質問
ミツバチの分蜂に関するよくある質問4つに回答します。
ミツバチの分蜂とは何ですか?
女王蜂が働き蜂を引き連れておこなう引っ越しのことです。元の巣は新女王蜂のものとなり、母女王蜂(旧女王蜂)が引っ越します。
ミツバチが分蜂をするのはいつですか?
3月下旬~5月上旬、気温が20~25℃の春が目安です。翅が濡れないように晴れた日が選ばれます。
分蜂したミツバチが好んで休むところはありますか?
つかまりやすい突起物がある場所が選ばれます。軒下や木の枝、車のミラー、ベランダの手すりなどです。
ミツバチの分蜂を見つけたらどうすればいいですか?
3ミツバチの分蜂は無害なので放っておきましょう。攻撃性が低い状態なので、過剰に刺激しなければ刺される心配はありません。
※1 対応地域・対応する加盟店により異なります ※2 対応地域・加盟店・現場状況により、お事前にお客様の同意を得たうえで、調査・見積り費用をいただく場合がございます ※3 作業後1週間以内に同じ場所に再発した場合に限ります