蜂の寿命は、蜂の種類や環境などによって大きく異なります。また、同じ種類でも、女王蜂と働き蜂、オス蜂では寿命に大きな差が見られます。
本記事では、街中や住宅地でも見られるミツバチ、スズメバチ、アシナガバチの寿命や生態について詳しく解説します。各蜂の生態を知ることで、駆除に適したタイミングも図れるようになります。ぜひ参考にしてみてください。
ミツバチの寿命
ミツバチは花から蜜を集める習性があり、養蜂でも活用されています。また、花粉を媒介することで植物の受粉・実りを支えている有益な虫です。
ミツバチの寿命は、女王蜂と働き蜂、オス蜂という役割によって大きく異なります。それぞれの寿命の目安をみていきましょう。
女王蜂
ミツバチの女王蜂は、蜂の中でも特に長生きだとされており、一般的に2〜3年、それ以上のケースもあります。
ミツバチの女王蜂が長く生きられる理由は、餌の違いです。女王蜂は生まれた時から、「ローヤルゼリー」と呼ばれる特別な栄養食を継続的に摂取しています。ローヤルゼリーにはアミノ酸やビタミン、ミネラルなどの栄養が豊富に含まれており、この特別な餌が長寿に一役買っているといえるでしょう。
ちなみに、すべてのミツバチの幼虫は、生まれてから3日間は「ローヤルゼリー」を与えられます。生後4日目から花粉やはちみつを与えられた個体が働きバチに、そして4日目以降もローヤルゼリーを食べて育った個体が、女王蜂になるのです。
働き蜂
ミツバチの働き蜂の寿命は1〜6ヶ月程度です。個体によって差はありますが、他の蜂の働き蜂よりも長い寿命といえます。これは、ミツバチの働き蜂は越冬できることが関係しています。
ミツバチの働き蜂は冬を迎えると、巣の中でエネルギーの消耗を抑えながら、温め合って過ごします。また、エサが減る冬でも蓄えておいた蜂蜜という保存食があるため、越冬することが可能です。
オス蜂
ミツバチのオス蜂の寿命は短く、1~2ヶ月程度とされています。オス蜂の役割は「女王蜂との交配」です。女王蜂とオス蜂は空中で交尾を行いますが、交尾を終えたオスはそのまま死んでしまいます。
オス蜂は数が多いため、中には交尾ができないオス蜂も出てきます。役目を果たせなかったオス蜂は、働き蜂によって巣から追い出されてしまうため、生き残ることはできません。
スズメバチの寿命
スズメバチは攻撃性が高く、危険な蜂として知られています。スズメバチやスズメバチの巣を見つけた時は、むやみに近寄ったり刺激したりしないように気をつけましょう。
ミツバチと同じく、スズメバチも女王蜂と働き蜂、オス蜂によって寿命が異なります。詳しく解説します。
女王蜂
スズメバチの女王蜂の寿命は1~2年程度です。そのライフサイクルを簡単に見ていきましょう。
スズメバチの中で、女王蜂だけは越冬します。女王蜂は4〜5月頃に冬眠から目覚めると、巣作りを開始します。働きバチが増加し巣が大きくなる夏頃には、オス蜂との交尾を終え、次の女王蜂を産卵します。次の女王蜂は9~10月頃に羽化し、元の女王蜂に育てられるのです。
次の女王蜂が安全な場所で越冬の準備をする11月頃、元の女王蜂は死んでしまいます。
働き蜂
スズメバチの働き蜂の寿命は1~2ヶ月程度で、短ければ10日ほどで死んでしまう個体もいます。
卵の状態から1ヶ月ほどで成虫になった働き蜂は、エサ集めや幼虫の世話などの役割を果たします。スズメバチは寒さに弱く、11月頃にはほぼ全ての働き蜂が死に、越冬することはありません。
オス蜂
スズメバチのオス蜂は、1~3カ月ほど生きるといわれています。
スズメバチのオス蜂もミツバチのオス蜂同様に、女王蜂との交尾を済ませて寿命を迎えるか、交尾できなければ巣を追い出されて死んでしまいます。
アシナガバチの寿命
アシナガバチは都市部や住宅街でもよくみられる蜂です。スズメバチほど攻撃的ではありませんが、刺されることもあるため十分な注意が必要な蜂といえます。
生態はスズメバチと似ていて、女王蜂だけが越冬することで知られています。
女王蜂
アシナガバチの女王蜂の寿命は、1年程度です。
3〜5月頃に冬眠から目を覚ました女王蜂は巣を作り始め、6〜7月頃になると産卵に専念し、次の女王蜂を産みます。
9〜10月頃には次の女王蜂が巣立ち、安全な場所で越冬の準備をします。この頃には、元の女王蜂が寿命を迎えます。
働き蜂
アシナガバチの働き蜂の寿命は、1〜2ヶ月程度です。働き蜂は巣作りや幼虫の世話などの仕事をします。新しい女王蜂が巣立つ9〜10月頃になると、越冬することなく寒さで死んでしまいます。
オス蜂
アシナガバチのオス蜂は1~4ヶ月程度です。他の蜂と同様に、アシナガバチのオス蜂も女王蜂との交尾が唯一の仕事となります。そのため、女王蜂との交尾を終えた個体は死んでしまいます。
蜂の寿命は環境によっても変わる
蜂の寿命は、気温や湿度、外敵の有無などの環境条件によっても大きく変わります。
例えば、アシナガバチは、温暖で適度な湿度が保たれた環境では比較的長生きしますが、寒冷地や乾燥地では活動期間が短くなり、寿命も短くなりがちです。
また、外敵の有無も蜂の寿命に大きく影響します。鳥や大型昆虫などの天敵に襲われるリスクが高い環境では、巣全体が危険に見舞われることもあり、敵との戦いにより多くの個体が命を落とすことも出てきます。ミツバチにとってはスズメバチが代表的な天敵です。
このように、蜂の寿命は置かれた環境によっても大きく変動するといえるでしょう。
蜂の寿命を知って駆除に役立てよう
蜂の寿命は、種類や役割によって異なります。どの蜂にも共通するのは、女王蜂が最も長生きするということです。女王蜂の寿命は、ミツバチは2〜3年、スズメバチは1~2年、アシナガバチは1年程度とされています。一方、働き蜂やオス蜂は短命です。
スズメバチやアシナガバチは、基本的に女王蜂以外は越冬できません。冬眠から目覚め活動を開始するのは春頃です。そのため、蜂の巣を駆除するのであれば、冬から春先が良いタイミングといえるでしょう。
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