スズメバチは春から初冬にかけて活動し、特に夏から秋にかけて被害が増加します。そのため、この時期に適切な対策を取ることが重要です。
本記事では、スズメバチの活動時期とその理由、注意すべき場所や対策について詳しく解説します。スズメバチに遭遇しても安全に対応できるよう、ぜひ参考にしてください。
平均的なスズメバチの活動時期は4~11月
スズメバチは次のようなスケジュールで活動します。春夏秋冬ごとに詳しく解説します。
月 | 攻撃性 | 活動 |
1月 | ― | 女王蜂単体で冬眠 |
2月 | ― | 女王蜂単体で冬眠 |
3月 | ― |
|
4月 | 弱い | 女王蜂が巣作り場所を探し始める |
5月 | 弱い |
|
6月 | 強い |
|
7月 | 強い |
|
8月 | とても強い |
|
9月 | とても強い |
|
10月 | 極めて強い |
|
11月 | 弱い |
|
12月 | ― | 新女王蜂単体で冬眠 |
春に女王蜂が目覚める
4月頃、気温によっては3月下旬に女王蜂が冬眠から目覚めます。土の中から外へ出て、巣作りに適した閉鎖的な場所を探し始める時期です。
巣作り場所を決めると、女王蜂1匹で巣作りを開始します。初期段階の巣はとっくり型や提灯型が多い傾向にあります。キイロスズメバチの場合は、女王単体で小さな丸型まで仕上げるようです。
夏には働き蜂が増加し巣が大きくなる
6月頃から働き蜂が羽化し始め、巣の作り手が増えるため肥大化していきます。8~9月頃まで営巣が継続されるため、放置すればするほど巣が大きくなり、働き蜂の数も増えていきます。
巣の周辺を警戒して飛び回る働き蜂が多く、夏から秋までは近づくのも危険です。
秋に新女王蜂が誕生
秋になるとスズメバチの巣は最大規模に達し、働き蜂の数もピークを迎えます。ブドウなどの秋の味覚の果汁を求めて、果樹園に飛来することも少なくありません。
また、秋は新しい女王蜂とオス蜂が生まれる時期です。新女王蜂とオス蜂が交尾をおこなう間、働き蜂は女王を守るために一段と高い攻撃性を持つようになります。
スズメバチの種類によっては長距離を追いかけてくるため、巣には絶対に近づかないようにしましょう。
冬にはスズメバチの活動が終わる
冬になると気温が下がり、スズメバチの活動は徐々に終息します。働き蜂は寒さに弱く、オス蜂も交尾を終えると死ぬためです。
一方、交尾を終えた新女王蜂は次の春に備えて冬眠に入ります。冬眠に用いる場所は土の下や朽ち木などです。
11月~12月頭頃には、スズメバチの巣は空になります。ただし、アシナガバチの女王蜂が越冬のために引越してくるケースがあるようです。巣を撤去するときは注意しましょう。
スズメバチの種類による活動時期の違い
スズメバチの種類によって、活動時期には微妙な違いがあります。具体例は次のとおりです。
スズメバチの種類 | 活動時期 |
キイロスズメバチ | 4~11月 |
オオスズメバチ | 5~11月 |
モンスズメバチ | 5~10月 |
チャイロスズメバチ | 5~10月 |
キイロスズメバチは活動期間が長い
キイロスズメバチは都市に適応しているため、人の生活圏で生活できます。屋根裏や床下などの温かで外敵の少ない場所に巣作りできるため、長く生活できるようです。また、肉や魚、ジュースの飲み残しなど人間の飲食料も捕食しています。
オオスズメバチは土が温かくなってから活発に
オオスズメバチは自然環境を好み、土の中に巣を作ることが多いため、土の中の温度が上がってから活発になります。5月からは他の昆虫の数も増え、豊富な餌があることも理由と考えられます。
逆に初冬の11月は土の中の温度が下がり切っておらず、比較的長く活動できる傾向にあります。
モンスズメバチは活動期間が短め
モンスズメバチも自然の環境を好むため、寒さの影響を受けやすい種類です。営巣は10月中頃には終了し、11月には女王蜂が冬眠に入っています。
チャイロスズメバチはスタートが遅い
チャイロスズメバチはキイロスズメバチやモンスズメバチの巣を乗っ取る、社会寄生性をもった蜂です。寄生する相手の巣ができる頃に女王蜂が動き出すので、5月が活動開始の目安になります。
その後、働き蜂が増えると乗っ取った巣を手放し、自ら巣を作り始めます。そして、10月に新女王蜂が誕生し、交尾を終えると冬眠に入ります。
スズメバチが活動しないのは冬~初春まで
スズメバチは4~11月と長期間活動できることがわかりました。6~8月に働き蜂の数が増えていき、9~10月でピークを迎えます。秋は新女王蜂も誕生し、防衛本能によって攻撃性が高まるため危険です。
活動しないのは、女王蜂が冬眠に入った後の11月下旬~3月中旬頃までの短い期間です。これ以外の時期には、スズメバチの巣に近づかないようにしましょう。駆除のために接近する必要があるときは、防護服または防護服相当の装備の着用が必須です。