ミツバチを飼育する養蜂の現場では、スズメバチによる誘拐や襲撃に悩まされることがあります。スズメバチは顎の力が強靭で飛行能力が高く、毒針も強いため、1匹同士で戦えばミツバチには勝ち目がありません。
しかし、ミツバチもただ黙ってやられるわけではありません。1対1では勝ち目がなくても、集団で立ち向かうことでスズメバチとの攻防を繰り広げています。
本記事では、スズメバチがミツバチを襲う理由からミツバチの防衛手段まで詳しく解説します。ミツバチとスズメバチの関係を知りたい人はぜひご覧ください。
このような方におすすめ
- スズメバチがミツバチを襲う理由を知りたい方
- スズメバチがミツバチを襲う手順を把握したい方
- スズメバチに対抗するミツバチの必殺技にご興味のある方
- ミツバチの巣作りや威嚇に関する防衛策も知りたい方

※1 対応地域・対応する加盟店により異なります
※2 対応地域・加盟店・現場状況により、お事前にお客様の同意を得たうえで、調査・見積り費用をいただく場合がございます
※3 作業後1週間以内に同じ場所に再発した場合に限ります
目次
スズメバチがミツバチを襲うのは幼虫のエサにするため

スズメバチは肉食ですが、成虫になると固形物は食べられなくなるため、肉を食べるのは幼虫のみ(※1)です。成虫は幼虫のエサのひとつとしてミツバチを襲います。
なお、ミツバチを襲うのは主にスズメバチ属(※2)のスズメバチで、その中でもオオスズメバチやキイロスズメバチ、モンスズメバチで多く見られます。コガタスズメバチやヒメスズメバチは稀です。
キイロスズメバチやモンスズメバチは、巣外にいる働き蜂を誘拐します。巣の周辺でホバリングしながら狙いを定め、さっと捕まえるスタイルです。その後は大顎で噛み砕き、前脚を使って肉団子にしてから持ち帰ります。
オオスズメバチの場合は巣外にいるミツバチだけでなく、巣内まで狙います。強靭な大顎を持つオオスズメバチならではの襲撃スタイルです。この点については次の「オオスズメバチによるミツバチの巣の襲撃手順」で解説します。
| (※1)栄養不足の場合に成虫が肉の汁を吸うことはあります。 (※2)日本には8種類のスズメバチ属が生息しています。 |
オオスズメバチによるミツバチの巣の襲撃手順

オオスズメバチは手順を踏んで、組織的にミツバチの巣を襲撃します。襲撃手順は次のとおりです。ステップごとに詳しく解説します。
スズメバチがミツバチの巣を襲撃するときの手順
- 偵察兵をミツバチの巣に派遣
- 偵察兵がフェロモンを放出
- 仲間がミツバチの巣に到着
- 巣の出入口を齧り取って拡大
- 複数匹で巣内へ進撃
1.偵察兵をミツバチの巣に派遣
まずは、オオスズメバチ1匹がミツバチの巣の周辺を偵察します。巣の出入口の確認や規模の把握が目的といわれています。偵察兵が単独で巣内に侵入することはありません。
2.偵察兵がフェロモンを放出
偵察が完了すると、仲間を呼ぶためのフェロモンを放出します。風向きなどにもよりますが、最大50m程度離れた場所でも、仲間のフェロモンを感知できるようです。
なお、このときのフェロモンはスズメバチが巣の周辺で放つ警報フェロモンとは異なります。警報フェロモンについては以下の記事をご覧ください。
こちらもCHECK
-
-
スズメバチの警報フェロモンは仲間への攻撃指令!群れの襲撃に要注意
スズメバチの警報フェロモンは、攻撃時または攻撃直前に放たれるものです。集団攻撃や失明などの被害に遭う恐れがあるため、警戒すべきスズメバチの習性のひとつといえます。 本記事では、警報フェロモンの意味や成 ...
続きを見る
3.仲間がミツバチの巣に到着
偵察兵のフェロモンを感知したオオスズメバチが集まってきます。十分な数が集まれば、襲撃準備完了です。偵察兵の情報に基づき、集団でミツバチの巣の出入口(巣門)に向かいます。
4.巣の出入口をかじり取って拡大
オオスズメバチは他のスズメバチと比べて各段に強力な大顎を持っています。巣門が狭く、自分たちが入っていけないと判断すれば、その強靭な大顎でかじり取って拡大します。
養蜂の場合、巣門の幅は6~7mmほどですが、オオスズメバチが入り込むには8~9mmの隙間が必要だからです。スムーズにいけば数十分ほどで巣門の拡大が完了します。
こちらもCHECK
-
-
スズメバチが木をかじるのはなぜ?スズメバチが好む木も紹介
スズメバチが木をかじっているところを見たことがある方もいるのではないでしょうか。何のために木をかじっているのか、気になるところです。 そこで本記事では、スズメバチが木をかじる理由を詳しく解説します。後 ...
続きを見る
5.複数匹で巣内へ進撃
拡大した巣門から複数匹で侵入すると、立ち向かってくるミツバチを大顎で噛み砕きながら進撃します。成虫・蛹・幼虫問わずを肉団子に変えていきながら、道中では蜂蜜を食べて栄養補給することもあるようです。
この襲撃は数日間にわたって続き、一部のオオスズメバチは夜間でもミツバチの巣に居残ります。そのため、ミツバチが防衛に成功しなければ、巣が全滅することもあります。
スズメバチの頻繁な飛来に困っているときは、周辺の巣の調査と駆除をご検討ください。
スズメバチの巣の調査と駆除はハチお助け本舗におまかせ

ハチお助け本舗の特徴
ハチお助け本舗の特徴
- 調査・見積無料(※1)
- 明朗会計
- 忌避剤の使用・巣の撤去処分費込み
- 再発保証付き(※2)
- 状況に応じた適切な加盟店を厳選
- 最速10分で到着
| ※1:対応地域・加盟店・現場状況により、お事前にお客様の同意を得たうえで、調査・見積り費用をいただく場合がございます ※2:1週間以内に同じ場所で巣が再発した場合に限ります |
スズメバチの駆除料金

基本料金はほとんどのスズメバチが1,980円(税込)~、危険性・駆除難易度の高いオオスズメバチのみ別途料金です。この基本料金に、巣の場所や大きさなどの条件別の加算料金がかかる場合があります。加算条件の例は次のとおりです。
| 条件例 | 概要 |
| 高所作業 | 地上4m以上が高所に該当。 危険手当や人員増、2段ハシゴや足場が必要となる作業。 |
| 狭所作業 | 床下や屋根裏など、退路を確保しづらく機材を選ぶ場所が該当。 危険手当や人員増、特殊薬剤の選定などが必要な作業。 |
| 巣の大きさ | 巣の大きさに応じた加算料金。 巣が大きくなるほどに働き蜂の数が増えて危険度が増すため、加算料金がかかる。 |
| 特殊作業 | 外壁や天井、機器の部分解体や補修、木や茂みの伐採などが該当。 |
ミツバチの必殺技は熱殺蜂球・窒息スクラム

ミツバチ単独の攻撃力ではスズメバチに適いませんが、集団で防衛する手段は持っています。ここでは、必殺技の「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」と「窒息スクラム」を解説します。その他の防衛手段は後半をご覧ください。
ニホンミツバチの「熱殺蜂球」
熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)は、スズメバチに集団で群がって蒸し殺すという攻撃手段です。群がる姿が球のように見えるため、熱殺蜂球という名称がついています。日本に生息する2種類のミツバチの中で、熱殺蜂球を用いるのはニホンミツバチだけです。
群がるだけでは大した熱になりませんが、羽と胸の筋肉を震わせて熱を発生させ、蜂球の中心部の温度を46〜48℃に上昇させます。スズメバチの致死温度の44~46℃を超えるため、スズメバチを殺せるという仕組みです。
熱殺蜂球の継続時間は30分ほどありますが、ほとんどの場合において、スズメバチは10分程度の段階で死亡しています。キイロスズメバチは例外的に長く耐えるようですが、復活しきれず、やがて死亡します。
なお、ミツバチは50℃近くまで耐えられますが、ノーダメージではありません。蜂球の中心部は二酸化炭素濃度も高く暑いため、中心部にいた個体は寿命が4分の1程度まで短縮すると言われています。
参考
菅原道夫「捕食者スズメバチに対するニホンミツバチの防衛行動−蜂球内でのスズメバチの死の原因解明−」
小野正人「益虫の機能を伸ばす研究が人類に 22 世紀の美しい景色を見せてくれる !?」(玉川大学脳科学研究所紀要, 2023)
菅原道夫「Heat and carbon dioxide generated by honeybees jointly act to kill hornets」
セイヨウミツバチの「窒息スクラム」
セイヨウミツバチも、スズメバチに襲われたときは蜂球を形成しますが、中心部の温度は44℃程度でスズメバチの致死温度として十分ではありません。そのため、以前はセイヨウミツバチの防衛力は脆弱であると考えられていました。
しかし、近年の研究によって「窒息スクラム(asphyxia- balling)」という技を見せることが明らかになっています。スズメバチは腹部のポンプのように動かして息をしているので、セイヨウミツバチは集団による圧迫でこの動きを止めます。
スズメバチの腹部を最小の状態で維持することで、呼吸を困難にするという仕組みです。これに中心部の温度44℃が加わると水分まで失います。結果として、血液中の二酸化炭素濃度が高まり、窒息死すると考えれています。
ただし、窒息スクラムでスズメバチを倒すには1時間ほどを要するともいわれているので、熱殺蜂球ほどの威力とはいえません。
参考
ミツバチのその他の防衛手段

熱殺蜂球と窒息スクラムはミツバチの必殺技ですが、それ以外の防衛手段もあります。代表的なものを4つ紹介します。
出入口が狭い場所を選んで巣を作る
ミツバチが養蜂箱で巣を作るのは、出入口となる部分が狭い閉鎖的な空間だからです。6~7mmの隙間の奥に広がる空間を好みます。この狭さなら、自分たちはスムーズに出入りできる一方で、オオスズメバチの侵入はブロック可能です。
また、ミツバチの巣には外殻がないため、屋根や壁がある場所に巣を作ることで防衛力を高める必要があります。養蜂箱はこの条件がすべてそろった場所です。
なお、野生のミツバチ(ニホンミツバチ)も養蜂箱に入居することはありますが、多くの場合は岩の隙間や木の洞、墓石の中などの狭い場所を選びます。
警戒フェロモンを放出する
必殺技の発動の前にもおこなう防衛行動のひとつに、警報フェロモンがあります。巣門の周辺で防衛活動を担っているミツバチが警報フェロモンを放つと、集団が臨戦態勢に入る仕組みです。
しかし、警戒フェロモンを放出したミツバチは、その場で絶命します。警戒フェロモンは毒針を放ったときに出るもので、ミツバチは毒針を放つと内臓も一緒に抜けて死んでしまうからです。自ら犠牲になることで集団を守ろうとする、社会的な習性といえます。
集団でスズメバチを押し返す
巣門から侵入しようとするスズメバチにミツバチが群がり、壁のようになって押し返すことがあります。これでスズメバチが侵入を諦めてくれれば、それ以上の被害拡大を防げます。
なお、スズメバチに対しては効果を期待できませんが、「ウイング・スラッピング」という防衛手段も持っています。アリなどの小さな虫を、羽ばたきによる風圧で遠ざける方法です。
追い払い行動「ウェーブ(シマリング)」
何千匹ものミツバチで形成された大規模な集団では、腹を上下に動かすことによって、群れ全体を波のように揺らがす「ウェーブ(シマリング)」という行動が確認されています。ウェーブを何度も繰り返すことによって威嚇し、困惑させて追い払うという守りの戦法です。
ただし、ウェーブは木の枝などの剥き出しな場所で巣を作る東南アジアのミツバチで見られる光景で、日本ではあまり見られません。日本に生息するミツバチは狭いところで巣を作るからです。
参考
Sajesh Vijayan「Defensive shimmering responses in Apis dorsata are triggered by dark stimuli moving against a bright background」
ナショナルジオグラフィック「“ウエーブ”で敵を撃退するミツバチ」
ミツバチとスズメバチの戦いは熾烈で巧妙
スズメバチとミツバチは蜂の仲間でありながら、捕食・被食の関係にあることがわかりました。その戦いは熾烈かつ巧妙です。スズメバチは偵察によって侵入・捕獲の成功率を高め、ミツバチは団結と自己犠牲によって巣を守ります。
しかし、養蜂においては防衛をミツバチだけに任せるわけにはいきません。スズメバチの襲撃によって、1年かけて集めた蜂蜜や溜め込んだローヤルゼリーが失われれば大打撃です。ミツバチの個体数も減るため、その後の採蜜活動にも影響します。
また、野生のニホンミツバチは個体数の減少が危惧されています。スズメバチも生態系のひとつであり重要な存在ですが、ミツバチを全滅させないように、必要に応じてスズメバチの駆除を検討しましょう。
スズメバチとミツバチの戦いに関するよくある質問
スズメバチはなぜミツバチを襲撃するのですか?
スズメバチの幼虫のエサとなる、重要なタンパク源だからです。スズメバチの成虫はミツバチの成虫・蛹・幼虫を狩り、肉団子にして幼虫に与えます。
ミツバチの防衛手段にはどのようなものがありますか?
ニホンミツバチには熱殺蜂球、セイヨウミツバチには窒息スクラムという防衛手段があります。
ミツバチVSスズメバチではどっちが勝ちますか?
1匹同士の戦いであればスズメバチが勝利します。ただし、数匹のスズメバチと集団のミツバチであれば、ミツバチが勝つことがあります。
養蜂にとってスズメバチは敵ですか?
スズメバチ全般が敵なわけではありませんが、キイロスズメバチやオオスズメバチなどのミツバチを狩るスズメバチは敵といえます。防虫ネットの設置や周辺の巣の駆除などで対策する必要があります。

※1 対応地域・対応する加盟店により異なります
※2 対応地域・加盟店・現場状況により、お事前にお客様の同意を得たうえで、調査・見積り費用をいただく場合がございます
※3 作業後1週間以内に同じ場所に再発した場合に限ります