蜂を自分で駆除する場合、蜂の活動が弱まる夜が推奨されています。しかし、モンスズメバチは夜でも活発な時間が長く、刺してくる可能性があるため注意が必要です。
本記事では、モンスズメバチの習性から駆除に適したタイミングまで詳しく解説します。モンスズメバチに悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
モンスズメバチとは

和名 | モンスズメバチ |
---|---|
学名 | Vespa crabro |
分類 | ハチ目スズメバチ科スズメバチ属 |
体長 | 21~28mm(女王蜂は28~30mm) |
見た目の特徴 | 腹部は黄色と黒の波模様 腹部上部が赤い個体も多い 胸は黒~褐色 |
性格 | 攻撃的 |
毒性 | 強い |
幼虫の捕食対象 | セミ、トンボなどの昆虫、クモ ※成虫が狩ったもの |
成虫の捕食対象 | 花蜜、樹液、果実の汁 |
分布 | 北海道、本州、四国、九州、佐渡島 |
巣の場所 | 土の中、木の洞、岩の隙間、民家の壁、床下 |
モンスズメバチはスズメバチ科スズメバチ属の蜂です。スズメバチ属の中でも攻撃的な部類で、巣の防衛力が高いことでも知られています。詳しい習性は以下で解説します。
モンスズメバチは夜も活発な特異タイプ

一般的な蜂は日没後2~3時間で活動が低下し、巣に戻って休みます。しかし、モンスズメバチは例外です。日本で最も日が長い夏至の頃の日没時間19時を基準として、一般的な蜂とモンスズメバチの活動時間を比較します。
時間 | 一般的な蜂 | モンスズメバチ |
---|---|---|
18:00 | 外で活発 | 外で活発 |
19:00(日没) | 巣に戻る | 外で活発 |
20:00 | 活動が低下 | 外で活発 |
21:00 | 休む | 外で活発 |
22:00 | 休む | 巣に戻る |
23:00 | 休む | 活動が低下 |
24:00 | 休む | 休む |
翌4:25(日の出) | 出かける | 出かける |
モンスズメバチは日没後も、採蜜のために活動します。日没が19時だった場合、21時頃まで活発に飛び交っているケースが少なくありません。また、夜遅くまで活発にもかかわらず、日の出とともに活動を再開します。
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モンスズメバチが夜でも活発に活動できる理由

モンスズメバチが夜でも活発に動けるのは、外敵を避けるために進化したからです。ここでは、モンスズメバチが進化によって獲得した特性を解説します。
複眼が発達している
モンスズメバチの複眼では桿体細胞(かんたいさいぼう)が発達しています。桿体細胞は「暗順応」という機能をもつ、網膜の細胞の一つです。暗闇の中でも光を感知し、物体を見ることに使われます。モンスズメバチは他の蜂と比べて桿体細胞が多く、わずかな光でも利用できるため、日没後でも活発な活動が可能です。

寒さに強い
日没後は気温が低下するため、多くの蜂にとっては寒い環境です。そのため、日没後は巣に帰って集団であたたかく過ごします。一方、モンスズメバチは脂肪を蓄積することで、外気温の低下に対応できるように進化しています。体温を維持できるため、長時間の活動が可能です。
外敵が少ない時間帯で営巣
巣作り中は営巣担当の働き蜂と警戒体制をとる働き蜂に分かれるため、守備が手薄になりがちです。そこでモンスズメバチは、外敵となる熊や鳥の活動が低下する夜に巣作りをするように進化しました。夜に襲われた場合でも、わずかな光で機能する桿体細胞がはたらくため、防御体制は万全です。
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モンスズメバチの危険度は?

モンスズメバチは最強クラスのオオスズメバチやキイロスズメバチと比べれば攻撃性の低い蜂です。しかし、攻撃能力は高いため注意が必要です。
サイズが大きく毒量が多い
蜂の種類 | 体長 |
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オオスズメバチ | 2.7~3.7cm |
モンスズメバチ | 2.1~2.8cm |
キイロスズメバチ | 1.7~2.7cm |
チャイロスズメバチ | 1.7~2.7cm |
モンスズメバチは国内最大のオオスズメバチに次ぐ大きさです。サイズに伴って保有する毒量も多いため、刺されると重症化する可能性があります。
巣に近づく存在に対しては攻撃的
積極的に人に襲い掛かるような性格ではありませんが、巣に近づく存在に対しては攻撃的です。顎をカチカチと鳴らす警告音を発するときは、巣が近いことを示しています。
警告音を無視してさらに巣に近づくと、害意の有無に関係なく外敵とみなされるため注意しましょう。1匹が攻撃をしかけたのを合図に、巣内で待機していた働き蜂の集団が襲い掛かってくる恐れがあります。
追跡距離が25mもある
モンスズメバチの追跡距離は25mあり、危険性の高いスズメバチ属の中でも上位クラスです。一度外敵とみなされれば25mもの距離を追跡される恐れがあるため、逃げることが難しくなります。30m以上離れるまでは油断せず、静かに離れる行動をとりましょう。
巣の場所がわかりづらいため危険
モンスズメバチは土の中や木の洞(うろ)、岩の隙間、床下などの狭く視認しづらい場所に営巣します。とくに夜は人にとっては視界が悪いため、気づかぬうちに巣に近づいてしまうリスクがあり危険です。
巣の場所を探すなら昼の時間帯、なおかつ巣がありそうな場所からは距離をとったうえで周辺を観察しましょう。スマホのカメラの拡大機能などを使うのがおすすめです。

モンスズメバチを自分で駆除するなら24時~翌2時

まず、モンスズメバチの巣を自分で駆除できるのは以下の条件がそろっているときです。
- 5~6月前半
- 巣の大きさが10cm以内
- 防護服相当のウェアを準備できる
6月も後半になると巣が大きくなり、働き蜂の数が増えている可能性があります。防護服相当のウェアを着用していても差されるリスクが高く危険です。巣が小さく働き蜂が少ない期間に限って、自分で駆除することを検討しましょう。
その上で、モンスズメバチの活動が低下する24時以降を狙いましょう。ただし、日の出とともに活動が再開するため、日の出の2時前までには駆除作業を終わらせる必要があります。5~6月前半の日の出の時間は4時半前後であることを考慮すると、翌2時頃には駆除を完了している状態がベストです。
なお、夜間の光源の確保には赤いライトが有用です。防護服相当のウェアの作り方も含め、以下の記事で必要なものを詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

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よくある質問
モンスズメバチの駆除はプロに任せるのがおすすめ
モンスズメバチは外敵から身を守るために独自の進化をとげた、面白い蜂であることがわかりました。しかし、親しみを持つには危険な蜂でもあります。巣に近づいただけでも攻撃される可能性があるため、注意が必要です。刺されれば痛みや腫れ、アナフィラキシーショックなどの危険があります。
また、モンスズメバチの巣の駆除は高難度です。発見しづらい上に、比較的安全に駆除しようと思えば真夜中に作業する必要があります。赤いライトによる光源の確保などのノウハウも必要です。攻撃性が高く毒性も強いため、自分で駆除するのは難しいと判断したときはプロに任せましょう。
