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幸せを呼ぶブルービー(青い蜂)とは?生態・地域・種類を解説

蜂といえば黄色と黒のイメージがありますが、実は美しい青色の蜂もいます。日本でも複数種類が存在し、その中でもナミルリモンハナバチが「幸せを呼ぶ青い蜂」と呼ばれているようです。

本記事では、ナミルリモンハナバチの特徴・習性・地域・観察スポットを詳しく解説します。後半では、国内に住むその他の青い蜂や世界の青い蜂も紹介するので、ぜひご覧ください。

ブルービー(ナミルリモンハナバチ)の特徴と習性

和名 ナミルリモンハナバチ
学名 Thyreus decorus
分類 ミツバチ科ルリモンハナバチ属
体長 13mm
見た目の特徴 鮮やかな青色と黒の模様
腹部は2つに分かれた縞模様
頭部~胸部には青の斑紋
翅は黒
性格 おだやか
毒性 弱い
幼虫のエサ 花粉、花蜜
※ケブカハナバチに労働寄生
成虫のエサ 花粉、花蜜
見られる時期 8~11月
分布 本州、四国、九州、対馬
巣の場所 なし(自分では巣を作らない)
※ケブカハナバチの巣は土の中

分布は日本全国ですが、地域は限定的です。後述しますが、ケブカハナバチ(ケブカコシブトハナバチ)の巣に寄生するため、ケブカハナバチの生息域に左右されます。

鮮やかな青色と黒の模様が大きな特徴

光の加減によっては水色に見えることもありますが、ナミルリモンハナバチの青色は高発色です。ベースの色は黒で、頭部から胸部までは青色の斑紋、腹部は中央で2つに分かれた青色の縞模様が目立ちます。体長は13mmと小さい種類ですが、人の目から見ると自然界には少ない色なので、近くに来てくれれば見失わずに済むでしょう。

ブルービーはなぜ青い?

ナミルリモンハナバチは青色が目立ちますが、ボディーカラー(外殻の色)は黒です。青色の毛が密集して生えているため鮮やかな青に見えています。

なぜ青色に進化したのかは文献がみつかりませんでしたが、虫の色の見え方は人間とは異なるため、実はカモフラージュ色である可能性は考えられます。あるいは、交配の相手を探しやすくするために、目立つ色に進化した可能性もあります。虫と人間の色の見え方の違いは、次の「蜂の目」に関する記事をぜひ参考にしてください。

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温暖な気候で蜜源が豊富な場所を好む

ナミルリモンハナバチは本州の一部と四国、九州、対馬に分布していますが、地域は限定的です。温暖な気候の低山地や草原を好み、蜜源となる花が豊富な場所を選びます。

成虫が見られる時期は8~11月が中心です。とくに夏~秋に開花する、アキノタムラソウやキツネノマゴ、オミナエシなどの周辺で発見される傾向があります。



  • アキノタムラソウ


  • キツネノマゴ

  • オミナエシ

労働寄生で成長する

ナミルリモンハナバチは自分では巣を作らず、ケブカコシブトハナバチの巣に産卵して労働寄生します。労働寄生とは、自分では子育てせず、寄生相手の親に子を育てさせることです(代表例はカッコウの托卵)。卵から孵った幼虫は、ケブカコシブトハナバチの親蜂が、我が子のために持ってきた花粉や花蜜をいただいて成長します。

このように、ナミルリモンハナバチの親蜂は育児をしないため、分布や繁殖の数は寄生相手に左右されます。ナミルリモンハナバチにとってはエサが多い好条件の環境でも、ケブカハナバチにとって巣作りしにくい場所では生息できないということです。

ケブカコシブトハナバチを含めたコシブトハナバチ亜科の詳細は次の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

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ルリモンハナバチは希少種・絶滅危惧種

ナミルリモンハナバチを含め、ルリモンハナバチは希少種です。種類や地域によっては絶滅危惧種に指定されています。ルリモンハナバチには次のような種類がいます。

和名 学名 分布 発色
ナミルリモンハナバチ Thyreus decorus 本州、四国、九州、対馬 鮮やかな青色
ウスルリモンハナバチ Thyreus centrimacula 本州、四国、九州、対馬 青白色(ほぼ白)
ヒマラヤルリモンハナバチ Thyreus himalayensis 与那国島 鮮やかな水色
タカオルリモンハナバチ Thyreus takaonis 南西諸島 青白色(ほぼ白)

ナミルリモンハナバチよりもさらに希少とされるウスルリモンハナバチは、東京都では絶滅、千葉県や福岡県では絶滅危惧Ⅰ類、兵庫県や岡山県では準絶滅危惧種に指定されています。ヒラヤマルリモンハナバチ、タカオルリモンハナバチは分布自体が限定的です。

いずれも労働寄生で成長する蜂なので、寄生相手(ホスト)が減少すれば比例して減少します。種を守るためには、ルリモンハナバチだけでなく、ホストを含めて住みやすい環境の保全が必要です。

ブルービー(ナミルリモンハナバチ)を見られる場所

ナミルリモンハナバチは地域によっては絶滅危惧種に指定されており、自宅周辺で見つけるのは困難です。比較的遭遇率が高いとされるおすすめスポットとして、熊本県の「葉祥明阿蘇美術館」を紹介します。葉祥明阿蘇美術館の基本情報は以下の通りです。

名称 葉祥明阿蘇美術館
住所 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽5988-20
営業時間 10:00〜16:00
※最終入館は閉館30分前
休館日 冬期休館(1月10日〜3月6日:毎週火・水)
入館料 大人 500円/ 中高生 300円/小学生 200円
電話番号 0967-67-2719
メールアドレス aso.ehon.m@song.ocn.ne.jp
公式サイト 葉祥明阿蘇美術館
アクセス JR豊肥線にて赤水駅下車後タクシーで10分
熊本空港より車で約45分

※2025年3月時点の公式サイトの情報を記載しています。

葉祥明阿蘇美術館では、約2万坪の広大な敷地に、ナミルリモンハナバチが好む美しい自然が整備されています。ブルービーに関するグッズや絵本の購入も可能です。

なお、ナミルリモンハナバチとの遭遇率が高いのは8月の10時~15時といわれています。遠方の人は夏休み期間を利用して訪れてみましょう。

ブルービー(ナミルリモンハナバチ)を観察するポイント

ナミルリモンハナバチを観察する際のポイントは次のとおりです。

観察時のポイント

  • 暖かく晴れた日の日中
  • 花の多い場所
  • 静かに接近する

ナミルリモンハナバチは、アキノタムラソウやキツネノマゴ、オミナエシなどの花によく訪れます。そのため、ブルービーを見つけるには、これらの花が豊富に咲いている場所を探すのが効率的です。

また、ナミルリモンハナバチは午前中から日中にかけて活動が活発になります。暖かく晴れた日の午前中から探し始めると、見つけやすくなるでしょう。

ただし、警戒心が強いため、人の気配を感じると逃げてしまいます。またハナバチの仲間は温厚な性格ですが、危害を加えると人を刺すこともあります。ブルービーに出会えたら捕まえたり驚かせたりせず、静かに観察しましょう。

日本に住むその他の青い蜂

日本にはナミルリモンハナバチ以外にも青色が目立つ蜂がいます。代表例を3種類紹介します。

アオスジコシブトハナバチ

和名 アオスジコシブトハナバチ
学名 Amegilla dulcifera
分類 ミツバチ科コシブトハナバチ亜科
体長 14mm
見た目の特徴 ボディカラーは黒がベース
腹部に青い縞模様
胸部や脚には褐色の毛
性格 おだやか
分布 奄美大島、喜界島、石垣島など南西諸島
見られる時期 4~11月

アオスジコシブトハナバチは腹部の青い縞模様が目立つ蜂です。ブルーバンディッドビーとも呼ばれます。次の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

オオセイボウ

和名 オオセイボウ
学名 Stilbum cyanurum
分類 セイボウ科セイボウ亜科
体長 12~20mm
見た目の特徴 緑から菫(すみれ)色の構造色
宝石のような輝き
目と翅は黒
性格 おだやか
分布 本州、四国、九州、沖縄
見られる時期 6~10月

宝石蜂とも呼ばれるほどの輝が美しい蜂です。緑から菫(すみれ)色の金属的な光沢を持ち、光の加減によっては鮮やかな青色が目立ちます。毒針はなく、植物の食害もないため人にとっては無害です。しかし、スズバチやトックリバチに労働寄生するため、他の蜂からすると迷惑な存在といえるでしょう。

ルリチュウレンジ

和名 ルリチュウレンジ
学名 Arge similis Vollenhoven
分類 ハバチ亜目(広腰亜目)ミフシハバチ科
体長 9mm前後
見た目の特徴 黒がベース
青藍色に輝く構造色
細長い
性格 おだやか
分布 北海道、本州、四国、九州、沖縄
見られる時期 4~10月

ルリチュウレンジは金属的な青藍色の光沢が美しいハバチです。美しい見た目の反面、幼虫がツツジの葉を好んで食べるため、園芸においては害虫とみなされています。なお、ミツバチやスズメバチが属する細腰亜目ではなく、広腰亜目に属しています。全体的な見た目は細いものの、胸部と腹部の間(腰)にくびれがありません。

世界の青い蜂

世界にも青い蜂は存在します。代表例を2種類紹介します。

青いクマバチ(Xylocopa caerulea)

和名
学名 Xylocopa caerulea
分類 ミツバチ科クマバチ亜科(属)
体長 23mm
見た目の特徴 黒いボディ
青色の毛
全体的に丸いシルエット
性格 おだやか
分布 東南アジア、インド、中国

日本にはいませんが、アジアでは広く分布しているクマバチです。黒いボディに青くふわふわの毛が生えています。

クマバチの習性や日本に住むクマバチの種類は次の記事をご覧ください。

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シタバチ(Euglossini)

和名 シタバチ
学名 Euglossini
分類 ミツバチ科ミツバチ亜科シタバチ族
体長 15~20mm
見た目の特徴 緑・青・金色の構造色
長い舌(蜜を吸うとき)
性格 おだやか
分布 アメリカ、南米

シタバチはミツバチ科ミツバチ亜科シタバチ族の総称です。シタバチ族に分類される蜂の多くは緑や青、金色の構造色を持っています。分類としての和名はありますが、日本には生息していません。植物のラン(蘭、orchid)と共生関係にあるためorchid beeとも呼ばれます。

ブルービー(ナミルリモンハナバチ)を観察してみよう

ブルービー(青い蜂)は、その美しい体色とユニークな生態で多くの人々を魅了しています。日本ではナミルリモンハナバチが代表的な種として観察されています。しかし、さまざまな地域で絶滅危惧種に指定されており、なかなか出会う機会はありません。

温暖な地域の夏~秋に目撃例が多いため、探す時期と場所は選びましょう。おすすめは8月の葉祥明阿蘇美術館です。希少種なので、ストレスをあたえないよう静かに観察することをおすすめします。

なお、ナミルリモンハナバチは希少ですが、他の青い蜂の中には出会いやすいものもいます。オオセイボウやルリチュウレンジは分布も広いので、ぜひ周辺を観察してみてください。

ブルービーに関するよくある質問

ブルービーとは何ですか?

ナミルリモンハナバチのことです。希少性が高く、幸せを呼ぶ青い蜂ともいわれています。

ブルービーが少ないのはなぜですか?

労働寄生の習性があり、寄生相手の分布・個体数に左右されることがひとつの要因です。

ブルービーが好む場所は?

温暖で花の多い場所を好みます。とくにアキノタムラソウやキツネノマゴ、オミナエシなどの周辺で目撃事例が多い傾向にあります。

ナミルリモンハナバチ以外にも青い蜂はいますか?

日本ではアオスジコシブトハナバチ、オオセイボウ、ルリチュウレンジが代表的です。

ブルービーにはどこで会えますか?

熊本県の「葉祥明阿蘇美術館」がおすすめです。

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ハチお助け本舗 編集部

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