蜂に刺されたときの応急措置は、毒を絞り出して洗い流した後、傷口に軟膏を塗るのがセオリーです。しかし、どの軟膏でも良いというわけではありません。ハチ毒による症状は蚊やダニに刺されたときよりも強く出るからです。
蜂と遭遇しそうな場所に行くときは、適切な塗り薬を準備しておきましょう。本記事では、蜂に刺されたときの塗り薬を症状別で解説します。後半では、代表的な塗り薬7選も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
このような方におすすめ
- 蜂に刺されたときの塗り薬の成分を知りたい方
- 市販薬で適切なものを知りたい方
- 市販薬と処方薬の違いを知りたい方
- 病院にも行くべきなのか知りたい方

※1 対応地域・対応する加盟店により異なります
※2 対応地域・加盟店・現場状況により、お事前にお客様の同意を得たうえで、調査・見積り費用をいただく場合がございます
※3 作業後1週間以内に同じ場所に再発した場合に限ります
目次
蜂に刺されたときの塗り薬の種類

蜂に刺されたときの塗り薬は主に次の3種類です。それぞれの効能の違いを詳しく解説します。
蜂に刺されたときの塗り薬
- ステロイド軟膏
- 抗ヒスタミン軟膏
- 抗生物質配合の軟膏
痛みや腫れにはステロイド軟膏
ステロイドは副腎で作られる副腎皮質ホルモンを人工的に合成したものです。人間が本来もっている副腎皮質ホルモンのひとつである、糖質コルチコイドの働きをします。具体的な成分の例は次のとおりです。
ステロイド(副腎皮質ホルモン)の例
- プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル
- ベタメタゾン吉草酸エステル
- フルオシノロンアセトニド
これらの成分の主な作用は、抗炎症・細胞増殖抑制・血管収縮・免疫抑制です。免疫抑制と聞くと良くないイメージがあるかもしれませんが、免疫の暴走を抑制することでアレルギーや自己免疫疾患に発展するのを防ぐ働きがあります。
腫れ、赤み、発熱(熱感)といった炎症にはステロイド軟膏が有効です。なお、鎮痛作用はありませんが、腫れや熱からくる痛みはステロイド軟膏で抑えられる場合があります。
ステロイド軟膏にはランクがある
ステロイド軟膏には5段階のランクがあり、市販薬として購入できるのは下から3番目のランクまでです。詳細は次の表をご覧ください。
| ランク | 成分の例 | 市販可否 |
| ストロンゲスト (最強) |
クロベタゾールプロピオン酸エステル ジフロラゾン酢酸エステル |
不可 (処方薬のみ) |
| ベリーストロング (非常に強い) |
モメタゾンフランカルボン酸エステル フルオシノニド |
不可 (処方薬のみ) |
| ストロング (強い) |
ベタメタゾン吉草酸エステル フルオシノロンアセトニド |
可 |
| ミディアム (中等度) |
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル ヒドロコルチゾン酢酸エステル |
可 |
| ウィーク (弱い) |
プレドニゾロン ヒドロコルチゾン酢酸エステル |
可 |
ストロンゲストやベリーストロングのランクは効果が強い分、副作用のリスクも大きいため医師の処方が必要です。
市販薬で購入できるのはストロング・ミディアム・ウィークのランクで、蜂刺されでは主にストロングやミディアムが選ばれます。子供に塗る場合はミディアムを選んでください。
ウィークはデリケートゾーンや赤ちゃんにも使用しやすいランクです。ただし、デリケートな肌は薬の影響を受けやすいため、医師に相談することをおすすめします。
かゆみが強いときは抗ヒスタミン軟膏
抗ヒスタミン軟膏は、かゆみの原因となるヒスタミンの作用をブロックするものです。具体的には、アレルギー反応によって生じるヒスタミンとH1受容体が結合することをブロックすることで、かゆみを抑えます。成分の具体例は次のとおりです。
抗ヒスタミン成分の例
- ジフェンヒドラミン
- クロルフェニラミン
抗ヒスタミン軟膏は急性かつ局所的なかゆみに有効です。掻きむしりによって蜂刺されの傷口が悪化することがあるので、かゆみが強いときは抗ヒスタミン軟膏が適しています。
傷口の化膿防止には抗生物質配合の軟膏
抗生物質は細菌の繁殖抑制、殺菌に有効な物質です。傷口で細菌が繁殖するのを防ぐことで、化膿防止につながります。具体的な成分例は次のとおりです。
抗生物質の例
- フラジオマイシン硫酸塩
- オキシテトラサイクリン塩酸塩
抗生物質は外用薬だけでなく内服薬にも配合されますが、市販薬で購入できるのは外用薬である塗り薬・目薬のみです。

蜂に刺されたときの市販の塗り薬7選
ここでは、蜂に刺されたときに有効な市販の塗り薬の代表例を紹介します。なお、市販薬ではステロイド成分・抗ヒスタミン成分・抗生物質の3種類が混ぜられたものも多いため、購入する商品は1つで済むことが少なくありません。
- 特定の疾患や妊娠、授乳中の方などは必ず医師にご相談ください
- 薬剤の成分でアレルギー症状を起こしたことがある方は必ず医師にご相談ください
- 商品に記載の用法・用量を厳守してください
- 市販薬で応急措置をした後は病院で診断を受けてください
フルコートf
| メーカー | 田辺ファーマ |
| 内容量 | 10g |
| ステロイド成分 | フルオシノロンアセトニド |
| 抗ヒスタミン成分 | ― |
| 抗生物質 | フラジオマイシン硫酸塩 |
| 効能 | 湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん |
| 禁忌事項 | ・抗生物質または副腎皮質ホルモンにアレルギーがある人の使用 ・水痘(水ぼうそう)、みずむし、たむし等のある患部への使用 ・湿潤、ただれのひどい患部への使用 ・目や目の周囲への使用 |
フルコートFは、市販薬の中では最も強いストロングランクのステロイド軟膏です。ステロイド成分としてフルオシノロンアセトニドを配合しています。また、抗生物質のフラジオマイシン硫酸塩も配合しているため、化膿予防にも有効です。
リンデロンVs 軟膏
| メーカー | シオノギヘルスケア |
| 内容量 | 10g |
| ステロイド成分 | ベタメタゾン吉草酸エステル |
| 抗ヒスタミン成分 | ― |
| 抗生物質 | ― |
| 効能 | 湿疹、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じん ましん |
| 禁忌事項 | ・水痘(水ぼうそう)、みずむし、たむしなどまたは化膿している患部への使用 ・湿潤、ただれのひどい患部への使用 ・目や目の周辺への使用 |
リンデロンVs 軟膏は、市販薬の中では最も強いストロングランクのステロイド軟膏です。ステロイド成分としてベタメタゾン吉草酸エステルを配合しており、腫れ、赤み、発熱(熱感)が強いときに適しています。
新リビメックスコーワW 軟膏
| メーカー | コーワ |
| 内容量 | 15g |
| ステロイド成分 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル |
| 抗ヒスタミン成分 | ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
| 抗生物質 | ― |
| 効能 | 湿疹、皮膚炎、かぶれ、かゆみ、あせも、虫さされ、じんましん |
| 禁忌事項 | ・水痘(水ぼうそう)、みずむし、たむしなどまたは化膿している患部への使用 ・湿潤、ただれのひどい患部への使用 ・目に入らないよう注意 |
新リビメックスコーワW 軟膏は、子供にも使えるミディアムランクのステロイド成分と抗ヒスタミン成分配合の、かゆみの対処に効果的な軟膏です。皮膚修復成分や血行促進成分も配合しているため、患部の修復の助けにもなります。
ベトネベートN軟膏AS
| メーカー | 第一三共ヘルスケア |
| 内容量 | 10g |
| ステロイド成分 | ベタメタゾン吉草酸エステル |
| 抗ヒスタミン成分 | ― |
| 抗生物質 | フラジオマイシン硫酸塩 |
| 効能 | 湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、じんましん |
| 禁忌事項 | ・水痘(水ぼうそう)、みずむし、たむし等への使用 ・目の周囲、粘膜等への使用 |
ベトネベートN軟膏ASは、市販薬の中では最も強いストロングランクのステロイド軟膏です。抗生物質のフラジオマイシン硫酸塩と患部を保護する油性基剤を配合しており、じゅくじゅくと化膿した患部にも使用できます。
ムヒアルファEX
| メーカー | 池田模範堂 |
| 内容量 | 15g |
| ステロイド成分 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル |
| 抗ヒスタミン成分 | ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
| 抗生物質 | ― |
| 効能 | 虫さされ、かゆみ、しっしん、皮ふ炎、かぶれ、じんましん、あせも |
| 禁忌事項 | ・水痘(水ぼうそう)、みずむし、たむしなどまたは化膿している患部への使用 ・湿潤、ただれのひどい患部への使用 ・目に入らないよう注意 |
ムヒアルファEXは、ミディアムランクのステロイド成分と抗ヒスタミン成分を配合した虫さされ用の塗り薬です。抗生物質ではありませんが、殺菌作用のあるイソプロピルメチルフェノール、かゆみを鎮めるクロタミトンのほか、清涼感のある成分も配合しています。かゆみが強いときに有効です。
オイラックスPZリペアクリーム
| メーカー | 第一三共ヘルスケア |
| 内容量 | 10g |
| ステロイド成分 | プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル |
| 抗ヒスタミン成分 | ― |
| 抗生物質 | ― |
| 効能 | しっしん、かぶれ、皮膚炎、じんましん、あせも、かゆみ、虫さされ |
| 禁忌事項 | ・水痘(水ぼうそう)、みずむし・たむし等又は化膿している患部への使用 ・目の周囲、粘膜等への使用 |
オイラックスPZリペアクリームは、子供も使えるミディアムランクのステロイド成分とかゆみを鎮めるクロタミトンを配合した軟膏です。皮膚の修復に役立つアラントインや炎症を鎮めるグリチルレチン酸、殺菌成分なども配合しています。
ドルマイコーチ軟膏
| メーカー | ゼリア新薬 |
| 内容量 | 12g |
| ステロイド成分 | ヒドロコルチゾン酢酸エステル |
| 抗ヒスタミン成分 | ― |
| 抗生物質 | バシトラシン フラジオマイシン硫酸塩 |
| 効能 | 化膿性皮膚疾患(とびひ、めんちょう、毛のう炎)、湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、しもやけ、虫さされ、 じんましん |
| 禁忌事項 | ・水痘(水ぼうそう)、みずむし・たむし等又は化膿している患部への使用 ・湿潤、ただれのひどい患部への使用 ・深い傷、ひどいやけどの患部への使用 |
ドルマイコーチは化膿予防に有効な軟膏です。ステロイド成分はウィークですが、抗生物質を2種類配合しています。化膿する可能性があるさまざまな症状に適しており、年齢を問わず使いやすい軟膏です。
市販の塗り薬は応急措置!蜂に刺されたら病院へ

市販の塗り薬は、蜂に刺された直後の応急措置としては有効ですが、応急措置の後は病院に行くことをおすすめします。その理由を2つに分けて解説します。
市販薬と処方薬の違い
ドラッグストアや通販で購入できる市販薬と、医師の処方が必要な処方薬では、配合する成分や配合量が異なります。これは、薬の目的が異なるためです。市販薬は症状の緩和までですが、処方薬は治療を目的としています。
また、強い薬は副作用のリスクが高いため、医師の管理下で使用する必要があることも市販薬と処方薬が異なる理由です。処方薬は医師が判断・指導するため強い効果の成分を使用できますが、市販薬には制限が設けられています。
体調不良がない場合でも、市販薬で患部の症状が緩和されなければ、早めに病院に行きましょう。症状に合わせた適切な薬を処方してもらえます。
ハチ毒アレルギー検査の重要性
蜂に刺されるとハチ毒アレルギーになることがあります。この場合、次に刺されたときにアナフィラキシーショックを引き起こす恐れがあるため危険です。病院でアレルギー検査をしてもらうことをおすすめします。
ハチ毒アレルギーであることがわかった場合、蜂がいるような場所に行くときは、事前に医師からエピペンを処方してもらえるようになります。エピペンはアレルギー症状を緩和させる事故注射薬で、適切な医療につなげるまでの時間を確保するために重要です。
次の記事では、アナフィラキシーショックのメカニズムとエピペンの重要性を詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
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医師の処方が必要な塗り薬(処方薬)

処方薬は成分が強い、または配合濃度が高いなどの理由で、医師の処方がなければ購入・使用できません。適さないケースでの使用には副作用の危険があるため、以前の蜂刺されや別の症状で処方された塗り薬が手元にある場合でも使用せず、医師に相談してください。
アンテベート
| メーカー | 鳥居薬品 |
| 成分 | ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル |
| 効能 | 湿疹・皮膚炎群、乾癬、虫さされ、薬疹・中毒疹など |
| 副作用 | 眼圧亢進、緑内障、白内障、皮膚の感染症、ざ瘡など |
| 禁忌事項 | ・細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患への使用 ・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者への使用 ・鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎への使用 ・潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷への使用 |
アンテベートはベリーストロングのステロイド成分、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルの軟膏です。成分が強いため、使用できるケースや手順、使用量、期間に細かな制限があります。
マイザー
| メーカー | 田辺ファーマ |
| 成分 | ジフルプレドナート |
| 効能 | 湿疹・皮膚炎群、痒疹群、虫さされ、乾癬など |
| 副作用 | 眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障、皮膚の感染症、ざ瘡、接触皮膚炎など |
| 禁忌事項 | ・細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患への使用 ・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者への使用 ・鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎への使用 ・潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷への使用 |
マイザーはベリーストロングのステロイド成分、ジフルプレドナートの軟膏またはクリームです。アンテベートと同じく成分が強いため、使用できるケースや手順、使用量、期間に細かな制限があります。
ロコイド
| メーカー | 鳥居薬品 |
| 成分 | ヒドロコルチゾン酪酸エステル |
| 効能 | 湿疹・皮膚炎群、痒疹群、乾癬、掌蹠膿疱症 |
| 副作用 | 眼圧亢進、緑内障、白内障、皮膚の感染症、ざ瘡、乾皮症様皮膚、過敏症など |
| 禁忌事項 | ・細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患への使用 ・本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者への使用 ・鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎への使用 ・潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷への使用 |
ロコイドはミディアムランクのステロイド成分、ヒドロコルチゾン酪酸エステルの軟膏ですが市販されていません。市販薬の配合濃度が0.05%であるのに対し、ロコイドでは0.1%と高濃度だからです。
蜂がいる場所に出かけるときは軟膏の携帯を検討しよう
山林や河川、バーベキュー場などの蜂と遭遇しやすい場所にでかけるときは、万が一に備えて蜂刺されに有効な軟膏を持っていきましょう。しっかりと毒を絞り出してから軟膏を塗れば、腫れやかゆみなどの症状を緩和できる可能性があります。
ただし、市販薬はあくまでも応急措置であるため、刺された後は病院で診断を受けてください。症状次第では、処方薬が必要になる場合があります。また、ハチ毒アレルギーの検査を受けることも重要です。
本記事を参考に軟膏を備えつつ、いざというときは適切な病院に迎えるよう、ハチ毒アレルギー検査に対応した病院を調べておくことをおすすめします。

※1 対応地域・対応する加盟店により異なります
※2 対応地域・加盟店・現場状況により、お事前にお客様の同意を得たうえで、調査・見積り費用をいただく場合がございます
※3 作業後1週間以内に同じ場所に再発した場合に限ります