アナバチ科

ジガバチとは?特徴・巣・危険性・日本の5種類を画像付きで解説

ジガバチの名前は聞いたことがあっても、どのような蜂なのか知らない人も多いのではないでしょうか。ジガバチは狩人蜂、カリバチと呼ばれる蜂の代表的存在です。細さが目立つ独特のシルエットで、一般的な蜂のイメージとはシルエットが異なります。

本記事では、ジガバチの分類から名前の由来、特徴、日本に住む種類まで画像付きで詳しく解説します。ジガバチを詳しく知りたい人はぜひご覧ください。

ジガバチとは

ここでは、ジガバチの分類と名前の由来、主な特徴を解説します。

アナバチ科の一種

ジガバチはミツバチ上科ミツバチ科あなばチはミツバチ上科アナバチ科に属するジガバチ亜科の総称です。

狭義ではジガバチ亜科の一種であるサトジガバチのみを指すこともあります。

名前の由来は「ジガジガ」という活動音

営巣時や狩りの際に羽音が「ジガジガ」と鳴ることから、日本ではジガバチと命名されました。漢字では「似我蜂」と書きますが、音が由来であるため「似我」は当て字とされています。

一方、「似我蜂」という表記が狩りの習性に由来すると考えられる逸話もあります。代表例は江戸時代の「慶長見聞集」です。この見聞集には、ジガバチが他の虫に「我に似よ」と呪いをかけることで蜂に変えるとする一節があります。ジガバチはエサを生きたまま巣穴に運ぶので、このように考えられたようです。

井上治彦「ジガバチの系譜」伊丹市昆虫館研究報告 第5号 2017年3月

腹柄が細長いことが大きな特徴

ジガバチには、胸部と腹部をつなぐ部分に、細長い腹柄(ふくへい)があります。他の蜂にも腹柄はありますが、短いためジガバチほど目立ちません。

ただし、ジガバチに似た腹柄をもつ蜂もいるため、同定(見分け)のひとつの材料として考えましょう。

脚を垂らして飛ぶ

長い中脚と後脚をダランと垂らして飛ぶのもジガバチの特徴のひとつです。腹柄と腹部は胸部と水平または上がります。

脚を垂らす様子はアシナガバチにも似ていますが、飛んでいるときの方が細長い腹柄が目立つので、見分けられるでしょう。

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ジガバチの巣

ジガバチの多くは地面に穴を掘って営巣します。しかし、ジガバチは非社会性の蜂でコロニーを形成せず、熱心に子育てすることもないため、巣で成虫が暮らすことはありません

巣穴に生餌を入れて卵を産みつけると、自分は外に出て巣穴の入り口に小石や砂を詰めて蓋をします。これで親蜂としての役割は完了です。その後は巣から飛び去ります。巣穴の幼虫が蛹を経て成虫になり、外に出るのは翌年の春です。

ジガバチの狩り

ジガバチは狩人蜂の代表的存在で、他の虫を狩る蜂です。蝶や蛾の幼虫を好んで狩ります。

STEP
毒針を刺して麻痺させる

蝶や蛾の幼虫に毒針を刺して麻痺させます。生餌にするためです。

STEP
生きたまま巣穴へ運ぶ

生餌を顎と脚で抱え込み、巣穴の横まで運ぶと一度置きます。

STEP
1度巣穴に入ってから生餌を運び入れる

巣穴の蓋をとって巣穴に潜ると、体勢を変えて顔を出し、かたわらに置いていた生餌をくわえて巣の中へ運び入れます。

STEP
生餌に卵を産みつける

運び入れた生餌に卵を産みつけます。生餌の中で孵化したジガバチの幼虫は、生餌を食べながら大きくなります。1つの生餌に産みつけられる卵は1つです。なお、生餌が小さく幼虫が育つのに十分でないときは、卵1つのために複数匹の生餌を狩ることもあります。

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ジガバチの危険性

ジガバチの危険性は蜂の中では低い方です。毒針はありますが、毒性は芋虫を麻痺させる程度のもので強くありません。また、非社会性で働き蜂がいないため、集団攻撃される心配もありません。性格もおだやかなので、巣を踏み抜かなければ攻撃してくることはまずないといえるでしょう。

ただし、ハチアレルギーのある人は要注意です。蜂の種類に限らず共通している毒の成分によって、アナフィラキシーショックを引き起こす恐れがあります。

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日本に住むジガバチ5種

ここでは、日本に住むジガバチ亜科を5種類紹介します。

フジジガバチ

和名フジジガバチ
学名Ammophila atripes japonica
見られる時期5~9月
体長メス:20~35mm
オス:25~30mm
見た目の特徴腹柄と脚が赤い(メス)
その他のボディは黒
羽は褐色
分布本州、九州、沖縄
巣の場所土の中
幼虫のエサ蛾や蝶の幼虫
※成虫が狩ったもの
成虫のエサ花の蜜、虫

フジジガバチは環境省レッドリスト2020で準絶滅危惧種に指定される希少種です。メスは腹柄と脚の鮮やかな赤色が目立ちます。一方、オスは全体的に黒く、やや青みがかった光沢が特徴です。脚や腹柄の一部には赤色が入っています。

タイワンジガバチ

和名タイワンジガバチ
学名Ammophila clavus formosana
見られる時期5~9月
体長20~30mm
見た目の特徴腹柄と脚が赤い(メス)
その他のボディは黒
羽は褐色
分布南西諸島(沖縄島以南)
巣の場所土の中
幼虫のエサ蛾や蝶の幼虫
※成虫が狩ったもの
成虫のエサ花の蜜、虫

上記画像はオス蜂です。フジジガバチの琉球亜種で、メス蜂・オス蜂ともに見た目や生態にフジジガバチとの大きな違いはありません(画像はオス蜂)。南西諸島~台湾に生息するものがタイワンジガバチといえます。

サトジガバチ

和名サトジガバチ
学名Ammophila vagabunda
見られる時期5~9月
体長10~25mm
見た目の特徴腹柄~腹部上部が赤
その他のボディは黒
羽は褐色
前胸背板にシワがある
分布北海道、本州、四国、九州、対馬、屋久島、種子島、口永良部縞
巣の場所土の中
幼虫のエサ蛾や蝶の幼虫
※成虫が狩ったもの
成虫のエサ花の蜜、虫

狭義ではサトジガバチをジガバチと呼びます。日本全国に生息しており、ジガバチの代表的な存在です。腹柄の中間~腹の上部までが赤色で、他の部分は黒です。極めて似ているヤマジガバチとの違いは、小型であることと前胸背板にシワがある点があげられます。ヤマジガバチは次で紹介します。

ヤマジガバチ

和名ヤマジガバチ
学名Ammophila infesta
見られる時期夏季~初秋
体長22~27mm
見た目の特徴サトジガバチと似ている
前胸背板にシワがない
分布本州、四国、九州、対馬
巣の場所土の中
幼虫のエサ蛾や蝶の幼虫
※成虫が狩ったもの
成虫のエサ花の蜜

ヤマジガバチとサトジガバチは極めて似ていますが、ヤマジガバチの方が大型で、前旨背板にはシワがありません。また、サトジガバチが低地を好むのに対し、ヤマジガバチは山地を好みます。狩る虫の数も異なり、サトジガバチが基本的に1匹を狩る一方で、ヤマジガバチは複数の虫を巣穴に入れるようです。

ミカドジガバチ

和名ミカドジガバチ
学名Hoplammophila aemulans
見られる時期夏季~初秋
体長23~27mm
見た目の特徴全体的に黒い
腹部中間より上の一部が赤い
分布本州、四国、九州、対馬
巣の場所樹上の空洞、竹筒
幼虫のエサシャチホコガ類の幼虫
※成虫が狩ったもの
成虫のエサ花の蜜

ミカドジガバチは腹柄~腹部上部(背側)までが黒で、腹部の中間よりも上の一部が赤い色をしたジガバチです。他のジガバチとは異なり、地面ではなく竹筒などの既存の穴を活用して営巣するのが大きな特徴といえます。巣穴の蓋に使うのは小石や木片です。

ジガバチと混同しやすい蜂

ジガバチと見た目が極めて似ている2種の分類を紹介します。

ドロジガバチ亜科

ドロジガバチ亜科は蜂そのものの見た目はジガバチそっくりです。大きな違いは営巣方法で、地面に穴を掘るジガバチとは違い、壁面などに泥を固めた巣を作ります。日本にはヤマトルリジガバチやキゴシジガバチが生息しています。

ギングチバチ科ジガバチモドキ属

ジガバチモドキ属は名前のとおり、ジガバチそっくりの蜂が属する分類です。とくに似ているのはオオジガバチモドキで、フォルムや色合いでジガバチと区別するのは困難といえます。しかし、体のサイズはジガバチよりも小さく11~16mmで、芋虫ではなく蜘蛛を狩ります

ジガバチは細い腹柄が独特な蜂

ジガバチは胸部と腹部をつなぐ腹柄が細長い蜂です。非社会性でコロニーを形成せず、巣に長期間留まることもないため、営巣期間中に巣を踏み抜かない限りはほとんど害がありません。刺激しないように気を付ければ、独特のフォルムや飛行の様子を観察できるでしょう。

ただし、毒針は持っているためハチアレルギーのある人は要注意です。アナフィラキシーショックを引き起こす恐れがあるため、近づかないようにしましょう。

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ジガバチに関するよくある質問

ジガバチは人を刺しますか?

ジガバチの攻撃性はほとんどありませんが、巣を踏み抜いたり、素手で捕まえたりすれば刺してくることがあるようです。

ジガバチの駆除方法は?

成虫が近くにいないことを確認し、巣穴に網をかぶせます。その上から蜂用殺虫剤をスプレーしてください。その後で穴を埋めれば、自然と土にかえります。

ジガバチは駆除すべきですか?

コロニーを形成して大規模になるような蜂ではないので、放っておいても問題ありません。巣穴にいる1匹の幼虫は、春に成虫になれば巣を去ります。ただし、複数の個体が同じエリアで営巣することはあるので、数が多ければ駆除を検討しましょう。

ジガバチは益虫ですか?

農作物や園芸にとっては益虫です。葉の食害をもたらす蝶や蛾の幼虫(芋虫)を狩ってくれます。

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ハチお助け本舗 編集部

ハチお助け本舗編集部は、生活を脅かすハチの情報を発信する専門チームです。 「ハチ被害をなくしたい」という強い思いのもと、 現場で得た知識や経験を活かし、 ハチ駆除の専門家から寄せられた意見も参考にしながら、 読者の皆様にとって本当に役立つコンテンツを目指します。

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