細い蜂を見かけたとき、色や羽音は蜂らしいにも関わらず、見た目が細すぎて蜂なのかどうか迷うものもいるでしょう。たしかに、蜂の中にはイメージとは大きく異なる、奇妙なほど細い蜂がいます。
細い蜂は基本的には細腰亜目に属する蜂です。しかし、細腰亜目の中にも見た目が細いとはいえない蜂もいます。そこで本記事では、細腰亜目の中でも細い蜂を中心に、画像付きで紹介します。
細腰亜目14種類!その中でも細い蜂を画像付きで紹介
見た目が細い蜂は基本的に、細腰亜目に分類される蜂です。次のような科目に大分類できます。
- ヒメバチ
- タマバチ
- コバチ
- セイボウ
- アナバチ
- スズメバチ
- クモバチ(旧ベッコウバチ科)
- ツノヤセバチ
- カギバラバチ
- ヒゲナガクロバチ
- ヤセバチ
- クロバチ
- ハラビロクロバチ
- ミツバチ
この細腰亜目の中でも細い見た目の蜂に注目し、画像付きで解説します。
ヒメバチ
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ヒメバチは細い見た目の蜂が多い種類です。他の生物に寄生して育つ寄生蜂の代表的存在で、腰部分が極めて細く、長細い胴体や長い脚・触覚をもっています。3~4cmほどの体長があるものが多いため、細い蜂として視認しやすい種類です。
タマバチ
タマバチは細腰亜目ですが、頭や胸、お尻は丸いため腰以外は細いとは感じにくい蜂です。ヒメバチと比べると、蜂らしい見た目をしています。体長が1.5cmほどになるものや1cmに満たないものなど種類はさまざまで、宿主も多様です。
コバチ
コバチも細腰亜目ですが、腰以外は丸いため見た目は細くありません。ハナバチやアナバチに寄生するシリアゲコバチや後ろ足が太いアシブトコバチなどがいます。写真はアシブトコバチの一種です。
セイボウ
鮮やかな青や緑、赤の金属的な光沢を持つセイボウ亜科が属する寄生蜂の種類です。脚が長く全体的に細いアリモドキバチや腰がえぐれているように細いカマバチなども属しています。
アナバチ
土の中やコンクリートの壁などに巣を作る蜂です。全体的に華奢なボディで、頭・胸・腹の接続部分が細くくびれています。飛び回ることはほとんどなく、せっせと土を掘っているだけなのでアリと間違われることが多いようです。
単独行動で交尾のとき以外は1匹で過ごします。性格もおだやかなので人が襲われるリスクはほとんどありません。また、バッタや蛾の幼虫などの農業における害虫を駆除してくれる益虫です。
ジガバチ
ジガバチはアナバチ科の一種で、極めて細い腰が特徴の蜂です。他のアナバチと同様におだやかな性格をしています。
スズメバチ
スズメバチも細腰亜目の一種ですが、キイロスズメバチやオオスズメバチに細い印象はないでしょう。ここでは、スズメバチ上科に属する、スズメバチ科アシナガバチ亜科やドロバチ科などの細い蜂を紹介します。
アシナガバチ
画像はムモンホソアシナガバチ
スズメバチ上科スズメバチ科アシナガバチ亜科は細い見た目の蜂が多い種類です。とくに腰が細いムモンホソアシナガバチなどが属しています。
アシナガバチを詳しく知りたい人は、次の記事をぜひご覧ください。
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ドロバチ
ドロバチは名前のとおり、泥をこねて巣をつくる蜂です。スズメバチ科ですが性格はおだやかで、危険性はほとんどありません。ドロバチの危険性が低い理由など、詳しく知りたい人は次の記事をぜひご覧ください。
クモバチ(旧ベッコウバチ科)
クモバチはヒメバチに良く似た、細いベッコウバチが分類されている種類です。ヒメバチとは違い寄生することはありません。クモを狩るのが特徴です。
ツノヤセバチ
ヒメバチと似た細い寄生蜂です。日本ではニッポンツノヤセバチやリュウキュウツノヤセバチ、オガサワラツノヤセバチなどが確認されています。横から見たとき、頭部の尖りが小さなツノのように見えるのが特徴です。甲虫の幼虫に寄生します。
カギバラバチ
腰のくびれがカギのように折れて見えることから名づけられた蜂です。その手順は独特で、さまざまな虫に寄生して成虫になります。
- 卵を蝶や蛾の幼虫(中間宿主)に食べさせる
- 中間宿主の中で孵化する
- 中間宿主がスズメバチに肉団子にされる
- 肉団子としてスズメバチの幼虫(寄主)に食べられる
- 宿主の中で脱皮を繰り返す
- 宿主が蛹(繭)になる
- 宿主から出て、外側から宿主を食べ尽くす
- 蛹の中で繭になる
- 羽化する
羽化しても1cmに満たないほど小さな体です。
ヒゲナガクロバチ
ヒゲナガクロバチも寄生蜂です。ハエ目の幼虫に寄生するといわれています。幼虫になるとアマドコロやナルコユリなどの、キジカクシカの植物の葉を食べるようです。
幼虫の初期段階では白色ですが、脱皮のたびに黒くなり、成虫になると真っ黒になります。成虫でも9mmほどと小型です。
ヤセバチ
胸は丸みがあるものの腹~尻が極めて細く小さいため、後体節がないように見える蜂です。足はアシナガバチよりも長く、独特なフォルムなので蜂には見えないこともあるでしょう。日本にいるヤセバチはゴキブリヤセバチで、名前のとおりゴキブリの卵に寄生します。
クロバチ
クロバチも寄生蜂です。クロバチ上科からイシハラクロバチ科やツツハラクロバチ科などに分岐します。いずれも1cmに満たない小ささで腹が細く、くびれているのが特徴です。種類によって宿主とする虫は異なります。
ハラビロクロバチ
クモやハエに寄生する蜂で、腹部が細長いタマゴクロバチなどが属しています。ただし、すべてのハラビロクロバチが細い見た目なわけではありません。頭・胸・腹の接続部分は細くても、全体的に丸くコロンとした見た目のものもいます。
なお、以前はタマゴクロバチ上科のハラビロクロバチ科として分類されてましたが、現在はハラビラクロバチ上科に変更されました。タマゴクロバチ亜科とハラビロクロバチ亜科に分岐します。
ミツバチ
ミツバチも細腰亜目ですが、細いのは腰だけで胸やお尻は丸いため、細い印象はありません。