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悪質な蜂駆除業者の手口とは?騙されないためのポイントを解説

蜂の駆除業者を探している中、悪質業者のウワサを聞いて依頼に不安を感じる人もいるでしょう。たしかに、業者の中には根拠のない加算請求や、ずさんな駆除を行う業者が存在します。一見すると良い業者に見えることもあるため、業者選びは注意が必要です。

本記事では、悪質な蜂駆除業者の事例と特徴、騙されないためのポイントを解説します。後半では、優良な蜂駆除業者の特徴と万が一の際の相談先も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

蜂駆除のトラブル事例

ここでは、実際にあった詐欺事例2つとずさんな駆除作業という悪質な事例1つを紹介します。

【事例①】10万円を超える高額請求

引用

5センチ大の蜂の巣を見つけたので、ネットで調べた業者に電話をした。その際、料金を確認すると「蜂の巣1個で4千円。他の処置をしても2万円まで」と言われたので依頼した。作業終了後、巣を1個だけ持参し「これ以外にも2個巣があった」と合計11万円の明細を見せられた。他の2個分の巣は見せられていない。車に乗せられ銀行に行って支払ったが、高額ではないか。(60歳代 女性)

国民生活センター「蜂の巣の駆除で思わぬ高額請求

実際の蜂の巣の数がわからない状況で、巣の数に応じた追加料金を請求されたケースです。蜂の巣の数・大きさの虚偽報告は悪質な蜂駆除業者の手口のひとつに挙げられます。

【事例②】危機感を煽って100万円の契約を迫る

引用

自宅の庭で大きなスズメバチの巣を見つけ、駆除を依頼しようとネットを見ていたら、「24時間365日対応」「最短10分で到着」「見積もり無料」と表示しているサイトがあった。サイト上で簡易見積もりをしたところ「参考見積価格約700円~」と表示された。サイトの作りが丁寧だったので信用して電話相談をしたところ「今すぐにそちらに向かう」と言われ業者の訪問を受けた。調査が行われた後、「このままではハチに刺されて死ぬ」「近所の人が刺されて死ぬと裁判になり大変な費用がかかる」「今なら約150万円を約100万円にする」「はやく駆除した方が良い」などと業者から言われ不安を覚えてその場で契約した。契約書には、サービス内容は「一式」とだけ記載があり、具体的なサービス内容を確認することはできなかった。作業は1日では終わらず、また後日続きをしてもらうことになったが、冷静に考えると業者の話は不審なところがあり契約金額も高すぎる気がしてきた。代金はまだ支払っておらず、解約したい。 (2023 年11月受付 50歳代 女性)

国民生活センター「ネットの価格と全然違う!?害虫・害獣駆除のトラブルにご注意 -若い年代でトラブル急増中!-

100万円という高額請求であったため、支払う前に悪質性に気づけたケースです。危機感を煽る行為は悪質な業者の手口といえます。

【事例③】ずさんな駆除で家が焼失

上記までは悪質な詐欺のケースですが、プロの技術をもたない自称「蜂駆除業者」の作業という悪質なケースもあります。2014年には、次のような事件がありました。

業者への依頼内容 家の屋根裏のスズメバチの巣の駆除
ずさんな作業内容
  • 巣の場所を特定せず広範囲にスプレーを噴霧
  • 興奮した蜂を撃退するために発煙装置に点火
結果 充満したスプレーに引火。家は焼失。

参考:産経新聞「スズメバチ駆除で爆発、自宅炎上 「どこがスペシャリストやねん!」家族怒り心頭、法廷闘争の行方

上記のような甚大な被害以外にも、次のようなトラブル事例があります。

  • 室外機内の巣の駆除で室外機が故障
  • 屋根裏・床下の配線が薬剤によってショート
  • 天井裏の作業で梁・柱が損傷
  • 3日以内に同じ場所で巣が再発

経験不足・ノウハウがない業者に依頼すると、機器の買い直しや家の修繕、再依頼などの支出が増える恐れがあります。詐欺に気をつけるだけでなく、業者の実績も確認することが重要です。

悪質な蜂駆除業者の4つの手口

100万円を超える高額請求や見積・請求内容の詳細が一切不明の場合は詐欺に気づきやすいものの、10万円程度かつ請求内容が詳細な場合は疑いづらいため注意が必要です。ここでは、悪質な蜂駆除業者の手口を4つ解説します。

【手口①】蜂の巣の数・大きさの虚偽報告

蜂の巣の駆除料金は巣の数や大きさで変動するのが一般的です。悪質な業者は、その金額算出方法を悪用します。見積時は安い金額を提示して契約を獲得し、蜂の巣を駆除した後で数や大きさを偽装して追加請求するケースです。具体例を見てみましょう。

項目

見積時の内容・金額

偽装内容・金額
(追加請求)

水増し分
(追加請求-見積)

蜂の巣の数  1個 2個  +1個
蜂の巣の数に応じた金額
(基本料金に含まれる)
2,000円 +1,000円
蜂の巣の大きさ 19cm 25cm +6cm
蜂の巣の大きさに応じた追加料金 4,000円 8,000円 +4,000円

上記の加算金額自体は相場通りですが、事実とは異なる報告をすることで金額をつり上げる手法です。加算金額が相場通りだと、その場で調べても悪質性を見極めきれない可能性があります。

巣の数や大きさを水増しされやすいのは、依頼者が蜂の巣の全体像を視認できない場合です。次のようなケースが該当します。

  • 2階以上の軒下
  • 屋根裏
  • 床下
  • 屋外の換気扇フードの中

駆除が完了した後で破砕された巣を見せられても、実際の数や大きさを判断できません。「見積もり段階ではわからなかったが、実際は奥まで巣が広がっていた」などと説明されれば、支払いを拒否できないと感じる依頼者もいるでしょう。その良心につけこむ手口です。

【手口②】蜂の種類を偽る

蜂の種類によって危険度が異なるため、種類ごとに基本料金の設定が異なるのが一般的です。悪質業者はこれを悪用し、見た目が似ている蜂で種類を偽ることがあるようです。

代表的な例は、大きさ以外の見た目が似ているオオスズメバチとコガタスズメバチです。オオスズメバチは日本国内最強の蜂であるため、基本料金だけでも相場は 15,000~30,000円がかかります。一方のコガタスズメバチの基本料金の相場は、他のスズメバチと同様の10,000~15,000円です。

コガタスズメバチをオオスズメバチと偽られた場合、差額15,000円程度が上乗せされる恐れがあります。しかし、大きさ以外の見た目は似ているため、予備知識がなければ、写真を見せられても判断できません。次の記事では蜂の種類を詳しく解説しているので、一度チェックしておきましょう。

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【手口③】防護服などの不要な費用の追加請求

次のような物品は蜂駆除業者の通常装備であるため、真っ当な事業者であれば個別の購入費用を依頼者に請求することはありません。

  • 防護服の購入費用
  • 脚立の購入費用
  • 高所用スプレー噴霧器の購入費用

悪質な業者の場合は、これらの金額も見積に含めることがあります。見積内容に合意して契約すると取り消すのは難しいため、見積の段階でこれらの費用が含まれていないかチェックする必要があります。

【手口④】実際には不要な特殊作業の追加請求

蜂の巣の場所や規模によっては特殊な作業が必要な場合がありますが、悪質な業者の場合は実際には不要なケースもで、特殊作業料金を追加することがあります。具体例は次のとおりです。

  • 手が届く場所にも関わらず追加する高所作業代
  • 必要人員以上のスタッフを配置した料金
  • 実際には使用していない特殊薬剤の料金
  • 不必要な場所への忌避剤の散布料金

手が届く場所への高所作業代は違和感に気づきやすいものの、必要なスタッフ数や薬剤の種類、散布場所の是非に関してはプロでない限り判断が難しいため、合意してしまうことが少なくないようです。対策は後半で解説します。

注意すべき蜂駆除業者の特徴

悪質業者が見るからに怪しい態度で来ることはありません。むしろ、人当たりが良いことも多いため、注意が必要です。言葉の端々や説明の内容で判断しましょう。具体的なポイントを解説します。

危機感を煽る・契約を急かす

危機感を煽ったり、契約を急かしたりする営業トークには次のようなものがあります。

  • 今すぐにでも駆除しなければ危険です
  • この地域では私たち以外で駆除できない規模の巣です
  • 今契約してくれるならこの金額です

このような営業トークは、他社との相見積をさせないためのものです。他社と金額や作業内容を比較されると、誤った内容が露見するため、悪質業者は危機感やお得感をアピールして契約させようとします。

たしかに、蜂の巣を放置すれば蜂の数が増え、巣も大きくなるため危険ですが、数日間で急激に巣が肥大化することはありません。焦らずに複数社を比較しましょう。

料金について明確に説明しない

蜂の巣の駆除の料金は、基本料金と追加料金で構成されます。基本料金は蜂の種類ごとに設定されており、巣の大きさは直径10cm以内が基準です。その基本料金に、巣の数・大きさ・場所・諸条件に応じた料金が加算されます。つまり、料金の項目ごとに明確な理由があるということです。

悪質業者の場合は理由がなく追加料金を記載することが多いため、作業内容を明確には説明できません。「蜂駆除とはこういうものです」というような、曖昧な説明しかなされない場合は悪質性を疑いましょう

極端に安い金額設定

相場より極端に安い金額を提示された場合は、適切なサービスを受けられない可能性があるため避けてください。次のように、ずさんな対応をされるケースがあります。

  • 巣にスプレーをかけるだけ
  • 女王蜂を取り逃がす(確認しない)
  • 忌避剤を散布しない

巣にスプレーをかけただけで作業完了と主張し、巣の撤去は別料金とする悪質なケースもあります。また、女王蜂を取り逃がせば短期間で巣が再発する可能性が高いため、駆除の効果を十分に得られません。忌避剤の散布がおこなわれないケースも含めて、他社に再依頼することになるでしょう。

悪質な蜂駆除業者に騙されないためのポイント

悪質業者に騙されないためのポイントは次の4つです。それぞれを詳しく解説します。

  • 見積と相場料金を比較する
  • 料金体系と見積の品目を確認する
  • 他社と相見積をする
  • 口コミや評判を調べる
  • すぐに契約しない

見積と相場料金を比較する

相場を知っておけば、極端に安かったり高額すぎたりする業者を避けられます。蜂の種類ごとの相場・平均価格は次のとおりです。

蜂の種類 基本料金 基本料金+追加料金の相場 平均価格
スズメバチ 10,000~15,000円 10,000~40,000円 37,651円
アシナガバチ 5,000~10,000円 6,000~30,000円 26,052円
ミツバチ 10,000円~ 10,000~40,000円 35,376円

巣の初期段階、直径10cm以内で手が届く開けた場所であれば、基本料金に近い金額で駆除を依頼できるでしょう。追加料金がかかるのは、巣が大きい場合や難易度の高い場所にあるときです。

平均価格が相場の中でも後半の金額になっているのは、巣がある程度大きくなった段階で発見し、依頼するケースが多いものと考えられます。

なお、地域によっても相場価格には違いがあります。地域ごとの差や追加料金項目の詳細も含めて、次の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

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料金体系と見積の品目を確認する

見積の品目(項目)には次のようなものがあります。

  • 基本料金(蜂の種類別の設定)
  • シーズン料金(繁忙期の加算)
  • はしご・脚立料金
  • 高所作業代
  • 狭所作業代
  • 巣の大きさによる加算料金

2階の軒下などの高所や床下などの狭所は危険度が高く、従業員手当てが必要な分、料金が加算される傾向にあります。これ自体は不当な請求ではありません。ただし、高所ではない場所であるにもかかわらず高所作業代が加算されていれば、指摘すべきポイントです。

このような品目をチェックして、理由不明の加算料金がないかどうかを確認わからないことがあれば質問しましょう。説明が曖昧な場合や納得感がない場合は、他社にも見積を依頼して同じ結論が出るかどうかを確認することをおすすめします。

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他社と相見積をする

エリア内で蜂駆除を実施できる業者が複数ある場合は、相見積もりをして比較するのが確実です。金額や作業内容を照らし合わせてみましょう。複数社で共通している項目と個別の項目がわかるため、質問もしやすくなります。

ただし、比較して安いところを選ぶというのは一概におすすめできません。次のポイントも考慮して、信頼できる業者を選びましょう

  • 料金体系がわかりやすい
  • 見積の項目が詳細
  • 品目の説明が丁寧、わかりやすい
  • 巣や現場の状況も説明してくれる
  • アフターフォローが充実している(再発時の対応など)

業者の選び方をさらに詳しく知りたい人は、次の記事をご覧ください。

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口コミや評判を調べる

悪質な業者でもホームページのデザインなどはリッチに作られていることがあるため、判断が難しい場合があります。WEBの検索窓やSNSなどで事業者の名称を検索し、口コミや評判を見てみましょう。

悪質な事業者の場合は「詐欺」「高額」「注意」「追加請求」などキーワードが書かれている可能性が高く、判断の材料になります。逆に、優良な業者であれば「迅速」「親切」「丁寧」などのキーワードが中心です。

すぐに契約しない

蜂の巣を長期間放置するのは危険ですが、1日2日で肥大化するようなものではありません。見積当日に契約しなくても問題はないため、冷静に判断できる材料がそろってから契約に進みましょう。

また、口頭で交わした約束ごとなどがあっても、基本的には契約書・同意書に書いてあることがすべてだと考えて、内容をしっかり読んでからサインすることをおすすめします。

見積依頼・契約前に確認しておくと安全なこと

蜂駆除業者に直接連絡して見積依頼をする場合は、次に解説する3つのポイントを確認しておきましょう。

事業者として適切な登録が済んでいる

大前提として、「建築物ねずみ昆虫等防除業」という事業者登録が済んでいなければ、蜂駆除を事業者として請け負うことが認められません。

事業者の住所がある各市区町村のホームページで、「建築物衛生管理業登録業者名簿」や「建築物事業登録営業所の一覧」などの名目でまとめられているので確認してみましょう。

(例)東京都健康安全研究センター「建築物事業登録営業所の一覧」

会社が実在する

悪質な蜂駆除業者の中には、会社の実態を伴わないものがあります。

たとえば、会社のホームページに住所の記載があるものの、Googleマップなどで調べると私書箱やバーチャルオフィスというケースです。架空の住所が記載されていることもあります。

住所が書いてあるから安全というわけではないので、実在するかどうかを調べてみましょう。法人であれば、国税庁の法人番号公表サイトから屋号・住所・法人番号などで調べられます。

実績と内容

ホームページなどで実績が公開されている場合は、詳細を確認してみましょう。次のような実績があれば、幅広い作業に対応できる可能性が高いといえます。

  • さまざまな種類の蜂の駆除実績
  • 高所作業の実績(2階の軒下や木の上など)
  • 狭所作業の実績(屋根裏や床下など)
  • 室外機の中などの特殊な場所

たとえば、駆除を依頼したい蜂がオオスズメバチの場合、危険度が最も高い種類であるため経験のある業者に任せたいところです。このように、依頼したい内容と合致する実績があるかを確認しましょう。

業者とトラブルになった場合の相談先

万が一、悪質業者に依頼してしまった場合の相談先は主に次の3つです。

消費生活センターは、生活全般で取引される商品やサービスの苦情・相談を受け付けている公的な機関です。トラブル解決のためのアドバイスを受けられます。消費生活センターが直接事業者に問い合わせて確認してくれることもあるため、相談してみましょう。

法テラスは国が設立した、法的トラブルを解決するための案内所です。適用できる法制度や的確な相談先を案内してもらえます。弁護士・司法書士費用の建て替えサービスもあります。

悪質業者の特徴を知っていればトラブルを避けやすい

悪質な蜂駆除業者でも、第一印象は良いということが少なくありません。言葉巧みに契約を迫ってくるため注意が必要です。

緊急性が高いときほど冷静に判断することをおすすめします。焦って依頼しても、悪質業者だった場合は適切に駆除してもらえない恐れがあるからです。

手口を把握しておけば、トラブルを避けやすくなります。本記事を参考に、蜂駆除業者を見極めましょう。

  • この記事を書いた人

ハチお助け本舗編集部

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