エアコンから蜂が出てきたり、死骸が落ちてきたりして、びっくりしたことがある人もいるでしょう。エアコンの中から出てくるというのは極めて稀なケースですが、可能性がないわけではありません。とくに春から夏にかけては蜂が活発になるため、注意が必要です。
そこで本記事では、エアコンから蜂が出てくる原因と追い出し方を詳しく解説します。後半では、再発防止の予防策も解説するので、ぜひ参考にしてください。
蜂がエアコンから出てくるのはなぜ?考えられる侵入経路

エアコンから蜂が出てきたときの侵入経路は主に次の2つです。それぞれを詳しく解説します。
- 排水ホース(ドレンホース)
- 壁と配管の隙間
排水ホース(ドレンホース)から侵入するケース
エアコンの排水ホース(ドレンホース)は、室内で発生した結露水を外へ排出するためのものです。エアコンとつながった排水ホースは壁を貫通し、地面やベランダの床面に向かって伸びています。一般的な排水ホースの直径は14~18mmで、先端は外部に開放されているため、横幅が14~18mm以下の虫であれば侵入可能です。
多くの蜂の横幅は1cmに満たないため、十分侵入可能であることがわかります。排水ホースを伝って侵入し、エアコン内部の結露の受け皿(ドレンパン)から出てくるという経路です。
壁と配管の間に隙間があるケース
エアコンの冷媒配管は壁を貫通して室外機につながっています。冷媒配管と壁の間に隙間があると、蜂が室内に入り込む可能性があります。この場合はエアコン自体からは侵入はしていませんが、室内に入り込んだ蜂が隠れ場所を探して稼働していないエアコン内に入る可能性は考えられます。
エアコン取り付け時、基本的には冷媒配管と壁の間に隙間がないように施工されますが、施工時のミスや経年劣化によって隙間が生じている可能性はあるので、一度チェックしてみましょう。
なお、室外機とつながっている冷媒配管から侵入することはありません。冷媒ガスが循環しており、蜂が生きたまま上ってこれるものではないからです。エアコンではなく室外機への侵入・営巣に悩んでいる人は次の記事をご覧ください。

エアコンから侵入した蜂の追い出し方・駆除方法

蜂がエアコンから室内へ侵入した際に、安全に追い出す方法を紹介します。なお、大声を出したり、大きな動作をしたりすると蜂が興奮して攻撃してくる恐れがあるので、静かにゆっくり行動するのが基本です。
部屋を暗くして窓の外に誘導する
蜂は明るい場所に向かって飛ぶ習性があります。部屋を暗くして窓に誘導するのは、この習性を活かした追い出し方です。次の手順を静かに実践しましょう。
- 1か所の窓を開ける(光源を確保)
- 1で開けた窓以外の窓のカーテンを閉める
- 部屋の明かりを消す
ただし、この方法は窓の外に光源があるときしか使えません。外が明るくないときは、ベランダや庭などの窓の外に懐中電灯を設置して、光源を確保する必要があります。光源を確保できないときは蜂を見失うだけなので、やめておきましょう。
扇風機を利用して窓の外に誘導する
蜂の飛行は風で妨げられるため、無風の場所を選んで飛ぶ習性があります。扇風機の利用は、この習性を利用したものです。蜂に進行してほしくない方向へ風を当てると、進行ルートを妨害できます。
窓を開けた状態で風の角度を調整し、蜂が室内の奥に入るのを妨害しましょう。風の角度を徐々に変えて窓の外へ追い込むことで、追い出せる可能性があります。
ただし、風が強すぎると蜂が予期せぬ方向に飛んでいくこともあるため、注意が必要です。蜂から距離がある場合は「強」でも問題ありませんが、近距離の場合は「中」「小」に設定しましょう。
蜂用殺虫剤スプレーで駆除する
蜂用殺虫スプレーが手元にある場合は、噴射することで駆除できる可能性があります。狙いを定めて、1本を使い切る勢いで噴射を続けましょう。一瞬スプレーがかかった程度では死なないからです。また、駆除後に死骸を素手で回収するのはNGです。スズメバチの場合は死後も反射で刺してくることがあります。
ただし、狙いを外すと蜂が興奮して襲ってくることがあるため、防護服相当のウェアの着用は必須です。厚手の長袖、長ズボン、二重にした軍手、マスクなどを着用しましょう。また、蜂の種類によっては毒噴射の能力を持っているため、ゴーグルの着用が必要な場合もあります。
防護服相当のウェアの詳細や駆除に必要なものは、次の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

駆除する場合のNGポイント
以下の条件に合致する場合は、駆除をあきらめて追い出すことを考えましょう。
- 一般的な殺虫剤しか手元にない
- 小さな子供やペットがいる
蜂用ではない殺虫剤は蜂には効かないため、使用を避けてください。蜂を興奮させるだけで、攻撃されるリスクが高まります。また、蜂用殺虫スプレーには人間にも有害な成分が含まれていることがあるため、体がまだ丈夫ではない小さな子供やペットがいる室内空間には向いていません。
どうしても使用したいときは別の部屋に移動してもらい、駆除後の掃除を徹底的におこないましょう。床やテーブルなどはもちろん、おもちゃなどの舐める可能性があるものも拭いておくことをおすすめします。
エアコンへの蜂の侵入を防ぐための予防策

最後に、エアコンへの蜂の侵入を防ぐ5つの方法を解説します。蜂以外の害虫にも有効な方法が多いため、ぜひ実践してみてください。
排水ホースに防虫キャップを取り付ける
まずは排水ホース(ドレンホース)に防虫キャップをつけましょう。排水ホースの先端に装着できるもので、ホームセンターや通販で購入できます。
ただし、購入前にエアコンの取り扱い説明書または実測で、排水ホースの内径を確認してください。防虫キャップが対応できる内径は商品によって異なるため、エアコンの仕様と適合する防虫キャップを選びましょう。
排水ホース周辺に忌避剤を散布する
蜂用の忌避剤をホームセンターや通販で購入し、排水ホースの周辺(屋外)に散布しましょう。排水ホースに蜂が寄り付かなくなるため、侵入を防ぐ確率が高まります。毒性のある成分を撒きたくない場合は、蜂が嫌う臭いを放つ木酢液でも効果的です。
ただし、忌避剤・木酢液ともに室外機にはかからないように注意してください。スプレーの成分が基板や配線に付着するとショートさせる恐れがあり、木酢液は金属に錆を生じさせる要因となります。
なお、忌避剤や木酢液の効果は永続ではないため、1~3カ月を目安に再散布しましょう。山や林に隣接しており蜂との遭遇率が高い場合には、プロに依頼するのもおすすめです。持続効果が長い忌避剤の使用を相談できます。

配管と壁の隙間をパテで塞ぐ
冷媒配管と壁の間に隙間があるときは、外壁用パテと内壁用パテで埋めましょう。外壁の隙間に手が届かないときは、内壁用パテだけでも詰めておくことをおすすめします。隙間が大きいときは、発泡ウレタンフォームを検討しましょう。いずれもホームセンターまたは通販で購入可能です。
なお、エアコンの購入店または設置業者の保証期間内であれば、業者に依頼して再施工してもらうのがおすすめです。市販品のパテの寿命は5~7年が目安で、状況によっては5年未満になることもあります。業者の施工であれば、より耐久性の高いエアコンスリーブなどで対応してもらえる可能性があります。
エアコンの使用頻度を増やす
蜂は振動や音の少ない、静かな場所に巣を作る傾向があります。エアコンの稼働で生じる振動や運転音は、蜂にとって不快なので、蜂が寄り付きにくくなります。春から夏にかけての蜂の活動が活発になる時期は、使用頻度が少ない部屋も含めて定期的にエアコンを稼働させると良いでしょう。
定期的に室外機や排水ホースを点検する
エアコンの室外機や排水ホースを定期的にチェックしましょう。とくに注意したいのは春先(3月〜5月頃)です。この時期は女王蜂が冬眠から目覚め、新たな巣を作り始めるタイミングなので、この時期に蜂を寄せ付けないことが夏以降の被害抑制につながります。主なチェックポイントは次のとおりです。
- 室外機の中
- 室外機の裏
- 排水ホース周辺
- 配管と壁の貫通部
エアコン周辺以外もチェックしたい人は、次の記事をご覧ください。

蜂がエアコンから侵入しないよう、あらかじめ対策をすると安心
排水ホースを伝ってエアコン自体に蜂が侵入するのは稀なケースですが、壁の隙間からの侵入や室外機への被害は少なくありません。パテで埋める、忌避剤を使用するなど、あらかじめできる対策は実践しておきましょう。
蜂が侵入してしまった場合は、光源や風による誘導で窓の外に追い出す方法がおすすめです。蜂用殺虫スプレーで駆除するのも手段の一つですが、狙いを定める必要があるため焦っているときは、うまくいかまいこともあります。防護服相当のウェアの着用も必要です。確実に実行できること、できるだけ安全な方法で対処しましょう。
エアコンに限らず蜂の来訪が多く困っているときは、巣の場所の特定から駆除、撤去まで任せられる蜂駆除業者への相談もぜひ検討してください。