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クマバチはかわいいけど巣は厄介?飛べないといわれる理由も解説

クマバチはかわいい見た目や航空力学上は飛べないといわれていることなど、人の興味を引く要素にあふれた蜂です。クマバチ・クマンバチ・大工蜂などさまざまな呼び方もあり、幅広い人に親しまれている蜂といえるでしょう。しかし、存在は知っていても、生態や巣の様子などの詳細を知らない人は多いのではないでしょうか。

本記事では、クマバチの生態や見た目、飛べないといわれる理由を詳しく解説します。とくに営巣に関しては人への被害が甚大になる場合があるため、詳細を把握しておくことをおすすめします。後半では日本に生息するクマバチ5種を画像付きで紹介紹介するので、ぜひご覧ください。

クマバチの基本情報

分類 ミツバチ科クマバチ亜科
体長 2~3cm
見た目の特徴
  • 黒色がメイン
  • 胸にふわふわと毛が生えている
  • 丸くずんぐりとしたフォルム
毒性 弱い(メスのみ)、オスは毒針を持っていない
性格 おだやか
巣の場所 枯れ木・柱・梁
食べ物 花の蜜・花粉

クマバチはクマンバチ大工蜂とも呼ばれる、ミツバチ科クマバチ亜科の総称です。以前はコシブトハナバチ科に分類されていたようですが、現在は変更されています。

体長は2~3cmと比較的大きく、ぽってり・ずんぐりとしたお尻やふわふわの胸毛で横幅もあるため、発見しやすい蜂です。また、羽音も大きいため、遭遇すればすぐにどこにいるかわかるでしょう。

メス蜂は毒針を持っていますが、毒性はそれほど強くありません。ただし、針が太いため、刺された瞬間の痛みは強烈です。

巣作りに関しては厄介者で、住宅や事務所に営巣されると躯体に致命的なダメージを及ぼす恐れがあります。この点は後述の「クマバチの巣は家に作られると厄介なので要注意」で解説します。

クマバチがかわいいといわれる理由

クマバチはまさに熊のような見た目で、かわいいと言われることが少なくありません。「かわいい」を構成する要素は次のとおりです。

  • 丸くずんぐり、ぽってりしたフォルム
  • ふわふわの毛
  • 大きな目
  • ふわふわで丸っこく見える足
  • 花の蜜を吸う(花の周りを飛ぶ)
  • 見つけやすさ

かわいい見た目に加えて、花の蜜を吸う行動や見つけやすさも「かわいい」と認識される要素の一つといえます。

ふわふわの毛はクマバチの食べ物のひとつである花粉を付けるためのものです。花粉を手で丸めて花粉団子を作ると、後ろ足の付け根あたりにくっつけて巣に戻ります。

このように、せっせと働く様子もかわいい要素といえるでしょう。持って帰った花粉団子は幼虫のエサになります。

なお、かわいくない要素は羽音です。ブーンという威圧感さえある大きな音を出します。音だけを聞くと危険な蜂と思ってしまうことが少なくないようです。

クマバチが飛べないといわれる理由

クマバチが飛べないと言われているのは「航空力学上は飛べない」という意味のようです。航空力学は飛行機などの航空機が飛ぶための基礎的な研究分野で、設計や重量、重力の影響などを考えます。

航空力学の視点では、クマバチの体は大きく羽が小さいため飛べるバランスではないとされました。しかし、実際は空気抵抗(空気の粘度のようなもの)があるため、大きな飛行機と小さなクマバチでは飛ぶ原理が異なります

空気抵抗を理解する上でわかりやすい例は落下実験です。高いところから重い鉄球を落とすと速く落ちますが、羽を落とすとゆっくりと落ちます。

軽い羽にとっては空気の存在が抵抗となり、落下速度を低下させるからです。抵抗がない状態、つまり真空状態で実験すると、羽と鉄球は同時に地面に着きます。

この実験と同様にクマバチは軽く、羽で空気抵抗を掴めるため、で落下せずに飛び続けられます。

クマバチの巣は家に作られると厄介なので要注意

クマバチの巣

飛んでいるクマバチはほとんど無害ですが、家に巣を作られると甚大な被害が出ます。その理由を詳しく解説します。

柱や梁にドリルで開けたような穴を掘る

クマバチは木のやわらかい部分を掘り進めて、ドリルのような穴の巣を作ます。掘られた部分は湿気や雨水が入りやすくなるほか、穴の中に産卵し、花粉と蜜を溜め込むため腐食するリスクもあります。

家の木材に穴があいており、木くずが落ちていればクマバチが巣を作っている証拠です。発見次第早急に対処する必要があります。

なお、営巣は成虫1匹でおこない、働き蜂の群れを形成することはないため、巣の周辺でも集団に襲われる心配はありません。

数年間放置すると躯体がもろくなる

巣に気づかずに数年間放置すると、家が倒壊するほどの甚大な被害発展する恐れがあります。

クマバチは毎年同じ巣を使いまわすこともあるため、数年にわたって掘り続けられると柱や梁などの重要な木材がスカスカになり、折れたり歪んだりするからです。

床がぶかぶかとたわむ、壁がゆがむ、凹むなどの症状が出ている場合、既にクマバチの被害が深刻化している可能性があります。一度、蜂駆除業者にチェックしてもらいましょう。

シロアリ被害に及ぶこともある

クマバチが開けた穴からシロアリが入りこみ、シロアリ被害に及ぶこともあります。シロアリは木材を食べるため、家の躯体への被害が大きくなる恐れがあり注意が必要です。

シロアリ被害に発展させないためにも、クマバチの巣に気づき次第、駆除を手配しましょう。

 

日本のクマバチ5種類

最後に、日本に生息するクマバチ5種類を紹介します。

種類 画像 体長 分布
キムネクマバチ 20~30mm 北海道南部、本州、四国、九州、津島、竹島、種子島、屋久島など
アマミクマバチ 20~30mm 口永良部島、奄美大島、喜界島、徳之島
オキナワクマバチ 20~30mm 沖永良部島~沖縄諸島
アカアシセジロクマバチ 20~30mm 多良間島、水納島、石垣島、竹富島、黒島、西表島、与那国島
オガサワラクマバチ 20~30mm  小笠原諸島

①キムネクマバチ

体長 20~30mm
見た目の特徴
  • 体の色は黒めで大型
  • 胸に鮮やかな黄色い毛が密集
  • 翅は暗褐色
性格 おだやか
分布 北海道南部、本州、四国、九州、津島、竹島、種子島、屋久島など

キムネクマバチは日本のクマバチの代表的な存在です。北海道南部から屋久島にかけて、日本に広く分布しています。

キムネクマバチは体長20~30mmです。体は黒く、胸には鮮やかな黄色い毛が密集しています。翅は暗褐色で、光の角度によって紫色に輝くのが特徴的です。大きくがっしりした体つきで、空中でホバリングする姿が目立ちます。

②アマミクマバチ

体長 20~30mm
見た目の特徴
  • 体の色は黒めで大型
  • 胸に鮮やかな灰白色の毛が密集
  • 翅は暗褐色
性格 おだやか
分布 口永良部島、奄美大島、喜界島、徳之島

アマミクマバチは南西諸島の固有種です。口永良部島、奄美大島、喜界島、徳之島に分布しており、11月~2月も比較的暖かいため、長期間活動する可能性があります。

体長は20~30mm、全体的に黒く、胸に灰白色の毛が生えており、白黒の対比が鮮やかです。

③オキナワクマバチ

体長 20~30mm
見た目の特徴
  • 全体的に黒い
  • 体全体が黒い毛で覆われている
  • 羽は青い光沢
性格 おだやか
分布 沖永良部島~沖縄諸島

オキナワクマバチは沖永良部島~沖縄諸島の固有種です。全体的に黒く、羽には青い光沢があります。なお、アマミクマバチと同様に沖縄県に住む蜂ですが、分布は重ならず、ひとつの島にひとつの種類が住んでいます。

④アカアシセジロクマバチ

体長 20~30mm
見た目の特徴 ・体の色は黒めで大型

・胸に白い毛、足に赤い毛

・翅は暗褐色

性格 おだやか
分布 多良間島、水納島、石垣島、竹富島、黒島、西表島、与那国島

アカアシセジロクマバチは、胸に白い毛が密集し、脚には赤錆色の毛が生えている蜂です。同じく沖縄に生息するアマミクマバチ・オキナワクマバチとは分布が重なりません。

⑤オガサワラクマバチ

体長 20~30mm
見た目の特徴 ・体の色は黒めで大型

・オスは全身が黄色で、メスは全身が黒

・翅は暗褐色

性格 基本的に穏やか
分布 小笠原諸島

オガサワラクマバチは小笠原諸島にだけ生息する固有種であり、国の天然記念物です。オスとメスの見た目が大きく異なり、オスは全身黄色、メスは全体的に黒い見た目をしています。

クマバチは家に巣を作られなければ害がない

クマバチはかわいいフォルムで親しまれており、航空学上では飛べないという点でも興味を持たれる蜂です。刺すことはほとんどなく、おだやかな性格なので周辺を飛び回っている分には、人間にとって害がありません。

しかし、家に巣を作られれば被害は甚大です。柱や梁に穴を開けて脆くするため、家の傾きや損傷につながります。穴と木屑を見つけたら、早急に蜂駆除業者に依頼しましょう。市販の薬剤や道具では巣穴の奥まで対処できないことが多いため、自分で駆除するのは得策ではありません。

5~7月の巣作りシーズンに、家の木材部分に穴がないかをチェックしてみましょう。詳しくは次の記事をご覧ください。

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