アシナガバチはスズメバチと比べれば攻撃力が低いため、自分で駆除を試みる人も少なくありません。しかし、状況によっては危険で、プロに任せるべきケースもあります。
そこで本記事では、アシナガバチの巣の駆除を自分でできるかどうかの判断基準と駆除方法を詳しく解説します。後半ではプロ(蜂駆除業者)に依頼する際の料金相場も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
アシナガバチは自分で駆除できる?判断基準を解説

アシナガバチを自分で駆除できるか、プロに任せるべきかの判断基準を次の3つに分けて解説します。
- アシナガバチの種類
- 巣の大きさ
- 巣の場所
アシナガバチの種類で判断する
日本では11種類のアシナガバチが確認されており、種類によって攻撃力や毒性の強さが異なります。自分で駆除しやすいアシナガバチとプロに任せるべきアシナガバチに分けて解説します。先に11種類の詳細を確認しておきたい人は、次の記事をご覧ください。

自分でも駆除しやすいアシナガバチ
- フタモンアシナガバチ
- トガリフタモンアシナガバチ
- ヤマトアシナガバチ
- オキナワチビアシナガバチ
上記4種は、アシナガバチの中では比較的おだやかな性格で、毒性も強くありません。巣に近づく外敵に対しては攻撃してきますが、スズメバチや他のアシナガバチと比べると冷静に対処しやすい蜂です。
ただし、過去に何らかの蜂に刺されたことがある人は、上記の蜂であっても必ず蜂駆除業者に駆除を依頼しましょう。微弱な毒であっても、ハチアレルギーによるアナフィラキシーショックのリスクがあるからです。
蜂駆除業者に任せたいアシナガバチの種類
- セグロアシナガバチ
- キアシナガバチ
- コアシナガバチ
- キボシアシナガバチ
- ナンヨウチビアシナガバチ
- ヒメホソアシナガバチ
- ムモンホソアシナガバチ
上記のほとんどは攻撃性と毒性が強いアシナガバチです。とくにセグロアシナガバチとキアシナガバチは体長が大きく、攻撃性・毒性ともにアシナガバチの中でトップクラスなのでハイリスクといえます。大きな個体に集団で襲われるとパニックになりやすいので、プロに依頼しましょう。
なお、ナンヨウチビアシナガバチに関しては攻撃性・毒性は低いものの、プロによる徹底的な駆除が求められている種類です。生態系を破壊する総合対策外来種に指定されているので、発見次第、自治体に問い合わせましょう。
アシナガバチの巣の大きさで判断する
アシナガバチの巣は開放的な場所に作られることが多く、全体像を視認できます。駆除の難易度は巣の直径が10cmを超えているかどうかが一つの基準です。
10cm以下なら自分でも駆除しやすい
直径10cm以下のアシナガバチの巣の多くは、春に目覚めた女王蜂が単独で営巣を開始したタイミングのものです。働き蜂が羽化するまでは巣が肥大化しないため、女王蜂にさえ気を付ければ安全に駆除できます。時期の目安は4月中旬から6月頭頃までです。ただし、10cm以下でも働き蜂が羽化していれば、攻撃をしかけてくるため注意しましょう。
10cmを超えたらプロに依頼するのが安全
巣の直径が10cmを超えるということは、働き蜂が羽化して営巣に加わっていることを示します。働き蜂は女王蜂とは違い、巣の防衛任務も担っているため攻撃的です。羽化している働き蜂の数が増えれば増えるほど、巣の駆除は困難になります。
なお、アシナガバチの巣の最大直径は種類によっても異なりますが、15~20cmで最大というケースが少なくありません。遠目から見ると小さく思えても、実は最大規模ということがあるので注意しましょう。
営巣のピーク時期の目安は7~8月です。9~10月は営巣をストップする傾向がありますが、攻撃性は高まっている時期なので近づかないようにしましょう。
アシナガバチの巣の場所で判断する
自分でも駆除しやすい場所とプロに任せるべき場所に分けて解説します。
自分で駆除しやすい場所
- 1階の軒下
- 1階の外壁
- ベランダの柵、軒下
- 低木の枝
- 葉の裏
上記のような、比較的低所・開けた場所であれば自分でも駆除できる可能性が高いといえます。転落やケガのリスクが少なく、退避ルートを確保しやすいからです。また、手を伸ばせば蜂用の殺虫スプレーが到達する位置であることも重要なポイントといえます。
プロに任せるべき場所
- 室外機の中
- 給湯機周辺
- メーターボックスの中
- シャッターボックス(戸袋)の中
- 床下
- 屋根裏
- 2階以上(地上3m以上)の軒下
室外機やメーターボックスなどの機器周辺で市販の蜂駆除スプレーを使用するのはハイリスクです。機器に薬剤の成分が付着すると、故障や電気系統のショートにつながります。
シャッターボックス(戸袋)は、外側から見て営巣規模を判断できないため危険です。シャッターボックスの隙間にスプレーを差し込んで噴射した際、大群が飛び出してくるリスクがあります。プロ用の防護服が必要です。また、駆除しきれたかどうかも判断できないので、再発のリスクがあります。
床下や屋根裏、2階以上の軒下は退避ルートを確保しづらいため危険です。脚立の使用や屋根に上がる行為は、万が一襲われたときに慌ててしまい、転落するリスクがあります。床下は狭所で身動きがとりづらいため、襲われると危険です。これらの場所は、慣れているプロに依頼しましょう。
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アシナガバチの巣の駆除方法

厚手の長袖・長ズボン、2重にした軍手、マスク、ゴーグルを着用しましょう。肌の露出を極力抑えること、毒針が皮下に到達しにくいように厚手にすることが重要です。
巣を落とした後で回収しやすいように、あらかじめビニール袋を広げておくと便利です。
アシナガバチが体当たりをしてきても怯まず、30秒間継続して噴射を続けてください。これによって巣内にスプレーの成分が行き渡ります。
巣の駆除ができた後もアシナガバチが飛来するケースがあるので、スプレーで撃退します。巣の駆除用と撃退用でスプレーを2本用意しておきましょう。
働き蜂の活動がないことを確認してから、棒で突くか高圧洗浄機を使って巣を落としましょう。
巣の破片やアシナガバチの死骸が散らばるので、ホウキとチリトリで丁寧に掃除しましょう。他の害虫のエサになったり、ハウスダストに変化したりするのを防げます。なお、回収した巣とゴミは燃えるゴミとして廃棄できるケースが多いものの、自治体によって異なる可能性があるのでルールは個別に確認してください。
狩りに出かけていた蜂が戻ってくることがあるので、忌避剤を散布しておきましょう。忌避剤を散布しておけば、万が一、女王蜂を取り逃がした場合でも営巣の再開を防止できます。
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アシナガバチの駆除料金の相場

アシナガバチの駆除料金はスズメバチ・ミツバチと比べると比較的手ごろな、6,000~30,000円が相場です。料金の項目ごとの相場表でより詳しく見てみましょう。
| 料金項目 | 料金相場 |
|---|---|
| 基本料金 | 5,000~10,000円 |
| 巣の大きさごとの価格 | 0~5,000円 |
| 巣の数(2個以上で追加1つあたり) | 1,000~2,000円 |
| 出張費 | 0~3,000円 |
| 高所作業(※) | 4,000~6,000円 |
| 狭所作業(※) | 6,000~10,000円 |
| 特殊作業・その他(※) | 3,000円~5,000円 |
アシナガバチの基本料金は5,000~10,000円です。巣の大きさが10cm未満、なおかつ高所・狭所・特殊作業が必要なければ基本料金のみの価格が提示されるでしょう。巣の大きさに応じた加算料金は、10~20cmの場合で4,000~5,000円が相場です。アシナガバチの巣は20cm以上になることは稀なので、この価格が目安と言えます。
ただし、実際にプロに依頼されるアシナガバチの巣の駆除は、高所や狭所、機器周辺など難易度が高いところが多い傾向があります。当サービス「ハチお助け本舗」に入電のあったデータから算出したアシナガバチ駆除の平均価格は26,052円でした。
かかる金額も含めて自分で駆除するか判断したい場合は、問い合わせ段階で巣の状況を伝え、仮見積を聞いてみましょう。明確な料金は現地見積次第ですが、予算の把握には役立ちます。
自力でアシナガバチの巣を駆除できる条件は限定的
アシナガバチを自分で安全に駆除するには、危険な種類ではないこと、10cm以下であること、スプレーが十分に届く位置であることがポイントです。また、機器周辺は避ける必要があります。これ以外の条件では、プロ用の防護服や特殊な薬剤・機材・脚立等が必要になります。
自分で駆除する場合は、防護服相当のウェアを着用し、安全を確保するように努めましょう。駆除担当者以外の人に遠くから見守ってもらい、万が一の際に救急車を呼べる体制を整えておくことも大切です。
少しでも危険・困難に感じるときは、プロに相談してください。状況によっては、プロに依頼する方が安く抑えられることもあります。
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