冬に蜂の巣を駆除する方法とは?蜂の活動時期や駆除する際の注意点などについて紹介
冬場、蜂は活動しないと思われがちですが、それは間違いです。実は冬場でも蜂の被害が起こっています。とはいえ、自宅の壁やベランダ、庭に蜂の巣を見つけたら、あまり姿を見ることがない冬のうちに駆除するほうが安心でしょう。
今回のテーマは、冬に蜂の巣を駆除する方法についてです。蜂の種類ごとの活動時期や駆除する際の注意点も紹介するので、スムーズに蜂の巣を駆除するためにお役立てください。
目次
蜂は冬に活動するのか?
冬場には蜂を目にする機会がほとんどないことから「蜂は冬場に活動することがない」と、思っている方も多いかと思います。
しかし、実は冬場も蜂の駆除相談があったり、蜂に刺されたりした事例は発生しています。では、冬場にはあまり蜂を見かけないのはなぜなのでしょうか。
◇冬場の蜂の過ごし方
冬の過ごし方は蜂の種類によって異なり、冬を越せずに死んでしまう蜂もいれば、冬眠や越冬する蜂もいます。例えば、アシナガバチやスズメバチは、働き蜂と女王蜂でも違います。
アシナガバチやスズメバチの場合、働き蜂は、秋の終わり頃には寿命を迎えることが一般的です。働き蜂の寿命は1~2ヵ月程度と短いのが特徴で、冬を越すことができません。
これに対して、女王蜂の寿命は約1年であり、秋の終わり頃に生まれた新しい女王蜂のみが生き残り、冬の間は冬眠します。春先には女王蜂だけで巣を作り始めるので、巣作りに向けて体力を温存して備えているのです。
一方、ミツバチは寿命が長く、女王蜂にいたっては3~4年も生きるといわれています。巣の中に蜂蜜を蓄えられるため冬もエサには困りません。また、ミツバチは群れで集まって巣の温度を一定に保つことができるため、働き蜂も女王蜂も一緒になって冬を越すのが特徴です。
◇冬場の巣の様子
通常、ミツバチ以外の巣は冬場、空っぽになります。アシナガバチやスズメバチは巣とは別の場所で冬眠するためです。また、翌年その巣が再び使われることはありません。
しかし、アシナガバチが空っぽのスズメバチの巣を冬眠場所に選ぶケースもあります。基本的にはアシナガバチは1匹で冬眠しますが、種類によっては数十から数百ほど、ある種類では数千の大集団で冬眠していることもあるのです。
このように、いずれの種類の蜂も冬場には活発に飛び回ることはありませんし、巣も空っぽのことが多いといえます。しかし、蜂の種類や女王蜂の状況によっては刺される可能性もあり、実際に冬場の被害も発生しています。
そのため、冬場でもむやみに蜂の巣に近づくのは避けましょう。生き残って冬眠から目覚めた蜂に襲われる危険もありますので、十分に注意してください。
【種類別】蜂の1年間の活動について
ここでは、種類別に蜂の1年間の活動を見てみましょう。
スズメバチの1年間の動き
スズメバチの活動の流れは以下のとおりです。
・1月~3月
女王蜂は3月頃まで冬眠します。巣は空っぽで、冬眠後も前の巣に戻ることはありません。
・4月
冬眠から目覚める頃です。巣作りと産卵を開始します。働き蜂が産まれるまで、女王蜂だけで子育てと巣作りをこなします。
・5月~6月
働き蜂がどんどん誕生し、女王蜂は産卵に専念します。エサ取り、育児、巣作りはすべて働き蜂の担当で、働き蜂の数も増えていく時期です。
・7月~10月
最も活発に飛び回る時期です。攻撃性が高まり凶暴で、蜂に刺される被害が最も多くなります。巣もどんどん大きくなる頃です。
・11月
寒くなってくると、女王蜂を含めてほとんどの蜂が死んでしまいます。巣にも生きている蜂がいなくなり、活動が終了する頃です。残された新しい女王蜂はオスと交尾し、冬眠の準備を始めます。
・12月
オスとの交尾を終えたら、冬眠の時期です。暖冬の年には巣に蜂が残っていることもあるので、注意しておきましょう。
アシナガバチの1年間の動き
続いて、アシナガバチの活動の流れです。
・1月~3月
女王蜂の冬眠は3月頃までです。巣は空っぽで、冬眠から目覚めても前の巣には戻りません。
・4月
女王蜂は冬眠から目覚めます。そして新しい巣を作り、産卵を開始します。
・5月
5月に入り暖かくなってくると、働き蜂が羽化し始めます。巣作りは本格化し、どんどん大きくなっていく時期です。女王蜂は産卵に集中し、どんどん数を増やします。
・6月~8月
6~8月頃が活動のピークとなります。アシナガバチは基本的におとなしい性質ですが、この時期には攻撃性が増すため、蜂に刺される件数も同時に多くなります。スズメバチよりも活動期間が短いのが特徴です。
・9月
9月頃は活動することが少なくなり、ほとんどじっとしています。女王蜂は冬眠の準備を始める時期です。働き蜂は死に、スズメバチよりも1ヵ月ほど早い活動終了となります。
・10月~12月
10月にはすべての働き蜂が完全に死に絶え、女王蜂は冬眠を開始します。
ミツバチの1年間の動き
最後に、ミツバチの活動の流れです。
・1月~2月
2月頃までは冬越しの時期です。冬眠はせず、巣にためた蜂蜜を食料にして冬を越します。巣には数千匹の蜂がいることもあります。「蜂球(ほうきゅう)」といって、群れで集まって身体を震わせることで熱を発生させられるので、温度を保って生き延びられるのです。
・3月
立春から3月頃には、女王蜂が産卵を始めます。暖かい日には、働き蜂が外に出て花粉を集める姿が見られる頃です。
・4月~5月
春には、花の蜜を求めて活発に飛び回るようになります。子育てを始めるのもこの頃です。
・6月
6月はミツバチの数が急激に増加する時期です。新しい女王蜂は働き蜂を連れて新しい巣へ引越します。
・7月~8月
夏場の時期、日中の暑い時間帯は、ミツバチは日陰や巣で休んでいます。この時期にミツバチが動き回るのは、朝や夕方の涼しい時間帯です。
・9月
9月に入り涼しくなると増殖を開始します。この頃はスズメバチによる攻撃が始まるため、それに耐えるためにミツバチは神経質になる時期です。
・10月
10月は冬を越す準備を始める時期で、蜂蜜を蓄えます。
・11月~12月
蜂球になって過ごします。冬眠はせず、蓄えておいた蜂蜜で冬越しを始めます。
冬場でも蜂に刺される危険性がある
冬に起こる蜂の被害は、その多くが女王蜂によるものです。冬眠場所を探している女王蜂を刺激してしまったことが、おもな原因といわれています。特に近年では、暖冬で蜂の活動期間が長くなっていることも要因の一つです。
この章では、冬場の蜂の被害がどのような状況で起こっているのか、よく見られるケースを2パターン紹介します。
女王蜂に刺される被害
冬を越すための冬眠場所を探している女王蜂が、置いていた衣服や干している洗濯物に紛れ込むことがあります。そして、気付かないうちに洗濯物を取り込むことで女王蜂を刺激し、襲われてしまうのです。
このように、洗濯物や衣服に紛れ込んでいた女王蜂に刺されてしまうケースは少なくありません。ベランダや軒下で洗濯物を干す場所には、普段から蜂を寄せ付けないよう殺虫剤をスプレーしておくのがおすすめです。
また、洗濯物を取り込むときや着るときには近くに蜂が飛んでいないか、衣服に紛れ込んでいないか入念に確認しましょう。
冬眠していた蜂に刺される被害
アシナガバチは、住宅の屋根裏を冬眠場所に選ぶこともあります。事例としては少ないですが、住宅内で冬眠していたアシナガバチが、近年の暖冬や暖房によって目覚めて住民を刺してしまったケースも実際に起こっています。
また、前述のとおり、アシナガバチのなかには集団で冬眠する種類もいます。アシナガバチが一斉に目覚めれば、危険であることはいうまでもないでしょう。したがって、冬場であっても蜂を寄せ付けない対策が必要です。
冬場に蜂の巣を駆除する方法
紹介した事例のような被害にあわないためにも、蜂の巣を見つけたらできるだけ早く駆除しましょう。スズメバチとアシナガバチは冬場に別の場所で冬眠するため、巣は空っぽであることがほとんどです。そのため、自力でも比較的簡単に駆除できます。
この章では、冬場の蜂の巣の駆除方法を紹介します。
まず、駆除に必要なものを用意しましょう。
防護服(または厚手の白い服、ゴーグル、帽子、長靴)
ガムテープ(防護服が用意できない場合、蜂の侵入を防ぐため服の隙間を塞ぐ)
革手袋(または軍手。二枚重ね)
殺虫スプレー
長い棒
ゴミ袋
1.巣に殺虫剤をスプレーする
巣の中に蜂がいることを考慮し、まずは殺虫剤をスプレーします。10~30秒ほど十分に吹きかけてください。スプレーしたあとは、しばらく離れて様子を見ましょう。
すぐに作業をしたいところですが、時期や状況によっては巣の中に蜂が残っている場合があります。蜂がいないことを確認するまでは、むやみに作業するのは避けましょう。
2.棒で巣を落とす
蜂が完全にいなくなったことが確認できたら、用意した長い棒で巣をはたき落とします。
3.ゴミ袋に入れる
落とした巣は、ゴミ袋に入れましょう。2重にしてしっかりと口を縛ってください。蜂の巣は燃えるゴミとして出せますが、自治体によって異なる場合があるため、駆除前に確認しておきましょう。
なお、届く位置に蜂の巣がある場合は、ゴミ袋をかぶせた状態で取り除くと安心です。
また、巣の中に蜂の死骸がある場合は、絶対に触らないよう注意してください。死んでいる蜂でも、反射的に刺すことがあるため危険です。
4.再度殺虫剤をスプレーする
巣を撤去したら、巣があった場所にもう一度殺虫剤をスプレーしておきましょう。こうすることで、もし蜂が生き残っていた場合にも戻ってくることがなくなります。
なお、生き残っていた蜂が巣の近くにやってきた際には、決して近づかないようにしてください。巣がなくなったことで、蜂が攻撃的になっている可能性があります。
冬場に蜂の巣を駆除する際の注意点
冬場の蜂の巣を自分で駆除する際、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
巣の周りに蜂がいないかを確認する
蜂の巣駆除の作業前には、必ず周辺の状況を確認しましょう。巣の周りや近くに蜂が飛んでいないかどうか、離れたところで観察してください。冬場の蜂は攻撃性が高くなっている傾向にあります。女王蜂1匹だけでも襲いかかってくる可能性があり、非常に危険です。
基本的には冬場の蜂の巣は空っぽになっていますが、暖冬などの影響により蜂が残っている可能性があります。そういった場合に備えて、作業前には蜂の巣や巣の周りにも殺虫剤をスプレーしておくのがよいでしょう。
作業が終わっても、巣があった場所にはしっかりと殺虫剤をスプレーしておきます。万が一、生き残っていた蜂がいた場合、帰巣本能で巣があった場所の近くを飛び回ることがあるからです。
巣の中に幼虫がいないかを確認する
巣を撤去するときには、巣の中に幼虫がいるかどうかを確認しましょう。幼虫がいる場合、働き蜂もまだ生き残っていると考えられます。対策なしに巣を駆除してしまうと、蜂が戻ってきたときに攻撃される恐れがあるため、できれば幼虫がすべていなくなるまで駆除を待ちたいところです。
幼虫ごと駆除するときには、ゴミ袋内にも殺虫剤を入念にスプレーして、幼虫を完全に死滅させるようにします。また、何度もいうように、生き残っている蜂がいる可能性が高いため、もともと巣のあったところにも殺虫剤を振りかけておきましょう。
巣があった場所には近づかないようにする
生き残っている蜂がいる場合、巣を撤去しても帰巣本能でもとの巣の近くを飛び回ります。また、巣がなくなったことで攻撃性が高まっていて、非常に危険な状態です。
そのため、巣を撤去したあとには、必ず殺虫剤をスプレーし、しばらくは近づかないようにしましょう。
撤去した巣の処分の仕方に注意する
撤去した巣は、燃えるゴミとして処分します。ゴミに出す前に庭などで巣を燃やして捨てるのも構いませんが、火災の危険性があるため、あまりおすすめはしません。
ゴミとして出す場合には、巣の中の蜂が生きていると非常に危険ですので、完全に死んでいることを確認してから捨てるようにしてください。自治体によっては処分方法が異なる場合もあるため、事前に確認しておくとスムーズです。
まとめ
冬場は活動しないと思われがちな蜂ですが、まったく活動しないというわけではありません。そのため、冬場に蜂の巣を駆除する場合にも、十分に注意して行なう必要があります。
基本的には冬場は蜂の巣が空っぽになるため、駆除自体は比較的簡単です。しかし近年では、暖冬のために冬眠時期がズレ、冬でも巣の中に蜂が残っていることも考えられます。駆除するときには決して油断せず、生き残っている蜂に注意しながら、紹介した手順や内容にしたがって作業してください。
ただし、自分で蜂の巣を駆除するのが怖い、不安という場合は、無理せずプロに任せるのが安心です。確実に素早く蜂の巣を駆除したい方は、ぜひハチお助け本舗にご相談ください。